コンテスト期間を終えて、反省と今後
夜も更け、夜会が終わり、真白の月が夜の街を照らし出す。石畳の積もった雪が輝き、闇の中にぼんやりと道が浮かび上がるようだ。
そろそろ王室の面々もそれぞれ自室にて休む時分になっても良い頃、のはずなのだが、例の如くあるはずの姿が見えない。だが咎め立てする者もいない。時になれば帰るのは解っているし、大仕事を終えた今日くらいはまあ夜遊びも良いだろうということである。付け加えるならば、止めるはずの人間も一緒に出ているからという話もある。
宿屋街にある小綺麗な店の奥で話し込んでいるのは一見すればただの年の離れた兄妹。。
「今日はロスも止めないで一緒に来るのね」
品書を手渡しながら、妹の方が揶揄うように兄とは別の連れに言うと、ロスと呼ばれた方ではなく兄が代わりに答える。
「外遊の場合はよくあることだけどな。その土地のものも珍しいからと」
「ああ、なるほど。夜会は堅苦しいものね、わかるわ」
すると品書きを適当にめくりながら男が口を挟んだ。
「まあ半分は合ってますよ。たまには息抜きも必要でしょう。でも半分は盾がわりですよ。色々大変なんです、これでも」
ロスの後ろで他の女性客の視線は隠そうにも隠しきれずに兄の方へ集中していた。しかしロスが二人への視線を阻む位置に座っているため、見ように見られず焦ったそうに首を動かす者もいる。地元の店っていう楽しみもありますけどね、と呟きながらロスは妹の方へ品書きを返した。
「で、今年は終わりましたけれど、この後の政務は昨年通りではないとか仰ってましたね」
「ああ。今年は昨年以上に忙しくなるのが目に見えているし、今回も比較的余裕のない状態での参加だったからな」
「おかげで他国との交流も昨年よりできなかったものね。あ、すみません」
妹が卓のそばを通った女性店員に声をかけ、飲み物を三人分頼んだ。注文を終えて二人に向き直り、続ける。
「そういうわけだから準備だけは早めに始める予定よ。他の仕事が激務になりそうだもの」
「それを見越してもう始めている。ロスにもいくつか指示は出しておいただろう?」
「ああ、あれですか」
合点が行った、という様子の従者に、兄妹二人は頷いた。しかしすぐに、妹の方が言葉を濁す。
「ただね、まだ決定打がないのよね。断片的にしかできていないというか」
「草案から早くに出すよう各部署には示してあるから、いくつかはもう受け取っている。それらをどう纏めて決着をつけるかがまだ固まっていなくてな」
「かなりまたきつくなりそう、ということですか。休みなしですね」
国民の日々の営みが止まることはない。その意味では国を動かす立場に大して休みはない。政務とはそういうものだろうが、ここ一年を振り返ると気が滅入りそうだった。
「今年の反省もしなければならないしな」
「それはユークレース側とも連絡を取り合うのでしょう?」
「ええ。あとからすぐに来るはずよ」
***
カクヨムコン、お疲れ様でした。なんだか終わってしまうと寂しいですね。この前の回で終わったその次の日のPVの伸び率がすごい、と書きました。単純計算では三人に完読していただいてあまりが出るPVだったのですが、今日はもうさっぱりです。コンテストすごいなぁ。フォローしている方々の更新は、もう短編新作を出していらっしゃったりすごい!
さて私はといえば。
カクコン総まとめはなんとなくまだです。落ち着いた時間が取りづらいというのが大きな理由なのと、あとちょっと寂しいので。
ということで他の作者様に倣って少し、今後についてを。昨年、今年の執筆状況を振り返ってみますと、どちらも未完結作品は既存作途中まで執筆済みの参加でした。それも一度は途中まで改稿をかけているという代物。
私の場合、短編はそこまでではないのだけれど、長編にすごく時間がかかることを実感しました。
その反省から、もう今から(出すとしたら)来年の準備しなくちゃだめじゃない?
と先日から思っていて……。
構想を練り始めています。
一つはしレア国シリーズ第三弾です。しかし彼と彼女のその後が入るとなると、やっぱり既存作のネタバレにはなりますね。それでも話としては単独完結にする予定です。また単独で読めるように、続きでも楽しめるように。
問題がなくはないです。ネタバレになっちゃうから遡及して既存作を読んでいただくと既存作の面白みが減ることは間違いない、というのが欠点かな。この解決は難しいかも。
さて、その第三作は、なんとなくの構想は前々からもう萌芽していて、新しい登場人物も決まっていて、いくつかの場面は頭にある——のですが、一番重大な作品を貫くテーマが固まりきっていないのです。どこに焦点を当てるかは決めているけれど、軸にするための理屈が見つけられていない状態。
その軸を模索したいものの調べ物をしている暇がないので、とりあえずあとからの執筆の助けになればと思って、今から思いついたシーンの台詞だけでも書き留め始めました。
もう一作は書けるかどうか分からないものの、シリーズではない新作を描きたいなぁとも思っています。
去年は作品数少ないながらも筆致企画で短編はまあまあ数を書きましたし、今年は短編書いている暇があったら長編にシフトしないといけないかもしれません。
一番大きな理由が、仕事が今年度の倍になる予定だからなんですけれどね(汗)
もうすでに頭の中では一部場面の動きが浮かんでいるので、何とか形にしたいよーと思います。もう、長編量産なさっている作家様方、本当にすごい! どうしてそんなことできるんですか!? 話の種も、筋の作り方も、執筆能力も私には足りないよう!
あ、ただ今現在は同題異話SRも練っています。軽く書きたいです。読んでいただくとなるとやっぱりしっかり書きたいのだけれど、軽く書きたいです。『楽園』の番外編も軽く書いて喜んでいただけたので、まぁいいのかな、とも甘えが出始めています。
番外編、誰か絶対に「クエルクス押し倒しちゃえよ!」に近いところを仰る方いらっしゃるのではないかしら、と思っていたものの、意外にもどなたもいらっしゃらなかったなぁ、と思ったら本日らせんさん。いつも私の期待に大当たりのコメントをくださってありがとうございます(感謝)。
クエルがそうなるのは、とりあえず今のところは私には無理です。どなたか別の方が書いてくださったら楽しみに読みに参ります(笑)
そして読み直しもせずにアップするエッセイ。誤字とかあったら失礼!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます