私は犬になりたかった。そして、僕は人間になりたかった…

結芽

プロローグ

僕にできることって何だろう?

僕には何ができるだろう?


不器用で未熟な僕が、

あなたにできる事って何だろう…。


その答えに、僕はいつかたどり着ける事が出来るのだろうか?



平成27年。とある春の木漏れ日がさす暖かい日。

大型ショッピングモールで、僕はあなたに出逢った。出逢って間もなく、理由も分からないまま…。


僕はあなたの家に行くことになった。


初めて会った人の、どういう人かも分からない人の家に行くという事は、とっても勇気がいることだ。


これから僕はどうなるのだろう?どうなっていくのだろう?不安しか浮かばない。不安を抱えたまま…いや、不安しかない中で、僕はあなたの家に着いた。


「ただいま。ゆうたさん。今日から家族が増えるんです。この子が新しい家族。可愛いでしょ?」


「はぁ?勝手に買って来たのかよっ!?何が新しい家族だ!知らねーよ。俺はソイツの面倒なんてみねぇからな。全部かおりがやれよ。」


「大丈夫。あなたに迷惑はかけないから。私が責任を持ってこの子を育てるから。だから、家族として迎え入れていいでしょ?」


「ふんっ!勝手にしろ‼️」



初めて行ったあなたの家には大人の男の人がいた。凄く感じの悪い男の人だ。


僕はこれからどうなるのだろう。僕は一人では何も出来ない。誰を頼りにすればいいのだろう。


だって、僕は…



犬なのだから。

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