今はまだ「人の心がないラブコメ」ではないですけど。

本作品は、MF文庫Jにて『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。』等を執筆している涼暮皐先生が放つ新感覚ラブコメディ、いや、アンチ恋愛コメディである。

なお、本作品は過去LINEノベルにて掲載されいていたが、(以下、略)。
カクヨム掲載にあたって、短編が追加されているので既読者も是非ご覧頂きたい。

さて、本作品の面白さを語るのであれば、

まずは、新感覚恋愛阻止型六角形ラブコメ、とうたう、涼暮先生らしい混み合った、面倒くさいとも言える設定。六角形がどう形成されるかは読んでのお楽しみ。

そして、それを構成する、愛すべきアホの子たちであるAGO部員たちであろう。主人公、恋と彼らのトークが実に軽妙で楽しいし、そしてなにより彼らの行動が面白い。

つまりコメディなのである。


おっと、ラブの話はこれからである。

恋愛とは制御できるものではない。きっかけは、ささないことだってあるし、思いの大きさや形も人それぞれ。何よりも万事がうまく運ぶわけでもない。

ふと、AGO部員たちを見守っていると、そんなことを考えてしまう。

特筆べき点としては、やはり蝶野ぼたんの存在であろうか。
私はこの作品において彼女が大変気に入っている。(涼暮先生のクレバーで自覚ありの後輩キャラですね、つよい)
彼女がどんな存在で、どんな思いを抱いてるのかは、是非、ご自分の目で確かめて欲しい。

つまり、今はまだ「人の心がないラブコメ」ではないですけど、となる。

最後に、主人公の恋は、涼暮現代作品のなかでも結構ひどいことをする。
彼も涼暮主人公らしく魅力あるキャラであるが、当然、闇もある。でも、彼の行動原理を支える部分は1章では明らかにならないので今後に期待したい。

第1章ではいきなりラブコメ擬態を解除したりしないので、油断して読んで欲しい。面白いよ!!