第3話 戦闘後!!

「や、やったのか?」


 船を自動操縦に切り替える、つまり俺が操作する前のあの浮かんだ状態にして、俺はブリッジから外に出て、船の後方を見渡した。船の背後には胴体に大きな風穴を開けたあの怪獣が佇んでいた。


「俺がやったのかあれ…」


「そうですよ勇気様!しかし初戦で、これとは私もびっくりしてしまいました。やはり我が主が選んだだけはありますね!」


 ちょうどエルが俺のことを褒めてくれた時だった。怪獣の死体が爆発したのは、あまりにも唐突に爆発するものだから俺は驚き間抜けな声を出してしまう。


「ひょぅわ!」


 エルはそんな俺に気にすることもなく冷静に分析し始める。正直言ってありがたい、ひょぅわ!は恥ずかしい。


「この不自然な爆発…魔法の様ですね。あのドラゴンの死がトリガーとなり起動する魔法のようです。」


 もう魔法とか言われても慣れてしまったな俺は。


「よくわかるねエルさ…エル!」


「ええ!この爆風に乗って不愉快な魔力が漂ってきますから!」


 魔力を感じられるのかそれはすごい、俺は全く何も感じない、感じたのは衝撃波ぐらいなものだ。


「すごいんだなエルさ…なぁ申し訳ないがエルさんでいいか?どうやら俺はエルさんに対して尊敬の念があるみたいだ。どうも呼び捨てになんてできない。」


「え、ええ!そ、尊敬だなんてそんな!」


 当然である。彼女がいなければおそらく俺は今頃あの怪獣の腹のなか、もしくは人間ステーキ(焼き加減、ミディアムレア)になっていたことだろう。


「どういうわけでエルさん、これからもよろしくな!」


「え、ええ!尊敬…フヘヘ…」


 顔を綻ばせてエルさんは喜ぶ。そういえばまだ聞いていないことがあった。俺は改めてエルさんに聞かなければいけないことがあったのだ。


「そういえばエルさんに聞きたいことがあった。」


「はい!何でしょう!エルさんにおまかせください!」


 自信満々にそう答えたエルさん、何という頼もしさだろうか。


「何で俺って呼び出されたんだ?」


「あ、あー!そういえば!言うのを忘れていました!改めて説明しますね。」


 エルさんは慌てふためいて説明をし始める。


「勇気さんあなたは選ばれたのです。この世界の人々の切なる願いによって…」


「切なる願い?」


「ええ!人々が願う!助けてほしいなぁ!みたいな願いが天に届いた時、神は選ぶのです!あらゆる次元から適した存在を!その適した存在が勇気さんだったと言うわけです!」


「なるほど!わかったような!わからん様な気がするがわかった!つまりなんだ何をすればいいんだエルさん!」


「わたしにもわかりません!!」


「そうか!ってなんだって?」


 思わず、スルーしそうになってしまったが、エルさんにもわからないとはどう言うことだろうか?


「待ってくれエルさん!エルさんは知っているんだろう?俺の選ばれた理由!つまり人々の願いの内容!」


「実は漠然とした内容しか、天界には届いていないんです。わかっているのはぼんやりと助けを求める、願いとしか…」


 なるほど、わからないものはしょうがない、つまり自分で考えて動くしかないと言うことか。ではやることは一つだ。


「よし、情報収集だ!」


 そこまで思いついた時俺は思い出す。集落のことを。


「あ、そういえば集落は!?」


 しまった一番大事なことだった。怪獣を倒した達成感でどうやら頭から集落のことが抜けてしまった様だ。

 俺は急いでブリッジに戻り、集落を探すべく高度あげた。なにせ夢中だったため集落の正確な位置さえ覚えていないまずは高いところから探すのが的確だと思った。


「エルさん!集落探すのを手伝ってくれ!」


「わかりました!千里眼!」


 エルさんがそう叫ぶとすぐさま「ありました」と返事が返ってきた。


「どうやら無事な様です!被害はありません!」


「よかった…」


 そこで俺は妙案を思いつく。


「そうだあそこの村で情報収集と行こう!」

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