生まれてくるのは不幸なのか

生まれてくるから苦しむのであり、生まれてくるのは不幸だという価値観が多数派の世界でのお話。

登場人物たちの名前など、キーワードにキリスト教のものが採用されていて、人の思想に関するストーリーとあいまって、とても宗教的です。

私は最後の方のアダムの父アダンが生きてるのが苦しいと嘆くシーンが好きですね。
そりゃあこの人はこう思って当たり前だよなあ、というやりきれなさがあります。

ネタバレになるので、内容知らずに読みたい人はここから先は読まないで欲しいのですが













私は最初、命に肯定的だったアダムが自死を選ぶのに若干納得いかなくて「ん?」と思いました。

ですが作中で、「親は子よりも先に死んでしまう。その時、子供を守ってやれないのが不憫だから生むべきではない」という旨の主張が出てきます。
ならばこれは、自分たちが先に死んでも子どもたちは大丈夫、ということなのかな、とか思ったり……。

読み終わった後で「ここどう思う?」って他の読者に話を振りたくなる小説だなあと思いました。