第13話 お姉さんはね、和樹くんの事…
リビングに入ると雪森さんはテーブルじゃなくって、ソファーの方に行って、そこに置いてある、ローテーブルにクッキーを置いて、ソファーに座った。
「ん?どうしたの、和樹くん?そんなところで立ってないで、お姉さんの隣においで」
「え。あっ、はい」
俺は色んな事を考えてたせいで、少しボーっとしていた。雪森さんの隣に座り、
「はい、和樹くん、あーん」
クッキーを持って、雪森さんが食べさせようとする。
「だ、大丈夫ですよ。自分で食べますから」
「ダーメ、お姉さんが食べさせてあげるから素直に甘えなさい」
「わ、分かりました」
雪森さんが作ったクッキーを雪森さんに食べさせてもらえるなんて、幸せな状況だ。
クッキーはもちろん、凄く美味しいかった。食べやすいサイズで口の中で噛むごとに、ほんのりとココアの味が広まる。
「凄く美味しいです」
「そう?なら、良かった」
「和樹くん、なにか悩みでもある?」
「え、」
次のクッキーに手を伸ばそうとした時、雪森さんが聞いてきた。
「悩みなんて、、」
「また、隠すの?言ったでしょう?お姉さんにはなんでも言ってって」
いつもは、年上のお姉さんみたいに甘やかすのに、急にそんな真剣な顔になると、こっちまで緊張してしまう。
「そ、その、なんで雪森さんみたいな、綺麗で優しい人が俺なんかに構うのかって考えてて…」
「……」
雪森さんは何も言うとしない。
俺は続けた、
「雪森さんは優しいから、誰にでもこうしてるかもですけど、俺みたいな地味で人とろくに話したことない奴は無理って分かってても、期待しちゃうんですよ…でも俺はそんな事を望んじゃダメなんです、、」
「期待しちゃうって、何を?」
いつもとは違う、胸に突き刺さるような声で雪森さんが聞いてきた。
「え。そ、その、これからもずっと雪森さんといたいって言う、、」
「ちょっとごめんなさい」
「え、」
そう言って、雪森さんは俺の頭を両手で引き寄せ、雪森さん側に横になった。というか、させられた。
「ちょ、雪森さん、このソファー狭いから、僕落ちちゃいますよ!」
「じゃ、こうすればいいじゃん?」
ぎゅー
雪森さんが俺をもっと抱きしめてきた。
「これで大丈夫でしょう?♡」
「そ、それはそうですけど、、」
「和樹くんは、私が誰にでも優しくって、甘やかしたり、甘えたりすると思ってるの?」
「い、いや、そういう意味じゃなくって、俺なんかになんでっていうか、、」
「バカね」
チュッ
おでこになにか柔らかい物が当たった。そう、お察しの通り、雪森さんが俺のおでこにキスをしてきた。
「もっと自分に自信を持って。私は和樹くんだから良いの。」
「え、」
「だって、
「だ、ダイスキ?!」
「あ、やっぱり赤くなった。うん、聞いた通りだよ。和樹くんはお姉さんの事どう思ってるの?」
「す、好きです、、」
「それだけ?」
「大好きです、」
「うん、よく出来ました。よしよし、偉い偉い♡」
こうして、俺と雪森さんは付き合う事になった。
そして、雪森さんの服を涙でびしょびしょにしてしまった…
「泣き虫な和樹くんもお姉さんは大好きだよ」
「っんぅ//」
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