作品の感じ方によって読み方が変わります。

簡単にあらすじを書きますと『グランブラー氏』は、観光列車のなかで悪態をつく人がいて、主人公が不快な気持ちを堪えようとする内容です。オチのために悶々とした感情を強調して書いています。
「たしかにこれは辛い。私の苦手なタイプの話でした」
あの人はラストよりうんざりしている主人公にダメージを受けていましたが、「あー、やだなー」って気持ちをちゃんと書き込んでおかないとオチにインパクトがなく中途半端になっていました。カタルシスというやつです。嫌な気持ちを抑えて抑えて最後にスカッとさせる構造となっています。
ただあの人の場合、「どうしてこんなにも苦痛をつらつらと書くのか自分に納得がいくように理由を考えていたらオチが読めてしまった」と申し訳なさそうでした。

ちなみに僕は「その作品はホラーだからどんな結末を迎えるのだろう?」とあれこれ考えながら読み進めました。それで、こんなことを考えていました。おそらく男は仕事の愚痴をぼやいていたのでしょう。しかしそういう念は仕事場や嫌いな人につく筈なんです(今まで怖い話を見聞きした経験則により)。通勤の電車でしかグチれないならまだしも、舞台は観光列車。まさかとは思うけど、主人公に生き霊がついていて、でも主人公はその声の主に気づいていない…とかじゃないですよね。
この考えをあの人に伝えると「作者はそこまで考えていない」と言われてしまいました。

以上、人の感情に敏感な人とホラー好きな人の感想でした。コメント欄を見るとタイトルに食いつく人がいましたが他の人はどんな感想を持つのでしょう?