第19話 この手を離さず







ここからの話は、少し駆け足で僕たちの大学生活の終わりまでと、それからの間の少しの生活を追っていこうと思う。


その前に、僕の誕生日の話をしよう。



僕の誕生日は四月の十日だ。母さんは誕生日の前日に僕の部屋に来て、「ごめんなさい、明日は父さんの講演についていくから、今のうちに渡しておくわね」と言って、綺麗な万年筆の入った小さな箱をくれた。


「ありがとう、母さん」


「本当に、元気でここまで育ってくれて、よかったわ」


母さんは赤ちゃんだった頃の僕を見る優しさと、大人に育った僕を見る感動を目に浮かべて少し目元を拭っていた。


「もう遅いわね。おやすみなさい」


「おやすみなさい」





その翌朝、僕が朝食を食べ終えて食事室から出る時に、自室へと急いでいるらしい父さんと鉢合わせした。父さんは、「おお、おはよう馨。二十歳の誕生日おめでとう。忙しくてすまないな、ちょっと待ってろ」と言ってバタバタと走って自室に行き、書類の封筒と小さな長方形の木箱を持って戻ってくると、僕に木箱の方を渡してくれた。


父さんからもらった木箱には、英語で宛名や企業名、輸送中の品質管理の注意書きなどが書いてあり、中に「HAVANA」ともあったので、持った感じも、父さんが愛煙する葉巻だとわかった。僕の好みではないし、興味もそこまではないけど、前もって何も聞かずに自分の好みでプレゼントを用意してしまうのが父さんらしくて、少しおかしくて笑いが込み上げた。


「ありがとうございます、父さん」





それから僕は学校へ行き、帰りに美鈴さんの家に上がり込んだ。





「今日はごはんどうする?いつもカレーじゃ飽きない?」


美鈴さんは小さなキッチンに据え付けられた一人暮らし用の背の低い冷蔵庫をしゃがんで覗き込んでいた。


「そうだね、今日は違うものでもいいかなあ」


僕はそう言いながら、鞄を置きに奥の居間に入っていった。


「よし!じゃあ私の得意なものでもいい?」


「うん、お願いするよ。楽しみだな」




しばらくして、キッチンからは温かそうな醤油の香ばしさと、まろやかな砂糖の甘さの混じった香りが漂ってきた。僕はそれでどうにもおなかがすいてしまって、思わず立ち上がってキッチンにふらふらと歩いていった。


「何作ってるの?」


「んー?秘密~」


美鈴さんが向かい合っている鍋には、落し蓋の代わりなのかキッチンペーパーがかぶせてあり、中身は見えなかった。でも、どうやらお肉が入っているらしく脂の香りや、さっき嗅いだような砂糖と醤油の香りが胃袋に吸い込まれていくと、今すぐにでも食べたいと唾液が湧き出してきた。


それでも仕方なくまた居間のローテーブルの前で待っていると、お湯を沸かしているような音がして、最後にコンロの火が消えてキッチンはぴたりと静かになった。それから、「馨さーん、ちょっと手伝ってー」と、美鈴さんののんびりした声が聴こえてきた。





「うわあ…!豚の角煮だあ!すごい!」


「でしょ?」


鍋の中には、てらてらと脂で光り、醤油の色がしっかりと染みて、大きくぶつ切りにされた豚肉がゴロゴロと入っていた。鍋の隅にはきちんと煮玉子も二つ入っていて、これまた白身に薄茶色になるまで味を染みさせてある。見ていて、匂いを嗅いでいてどこか懐かしくなってくる、そしてなんとも食欲をそそる光景だった。


僕は丼ぶりに盛られたごはんの上に豚の角煮をたっぷりと乗せてもらい、それを二つ、トレイに乗せて運んだ。


「いただきまーす!」


「いただきます」


美鈴さんの作った豚の角煮は、本当に美味しかった。お肉はとても柔らかく味わい深く、煮玉子は半熟のままだった。とろりと溶け出す黄身の濃厚さと、甘辛い豚肉の柔らかさを一緒に味わったりして、たった十分ほどで僕は食べ終わってしまった。


「ごちそうさまでした」


僕がそう言って手を合わせる前に、美鈴さんは急に人差し指を立てて僕の顔の前で横に振り、「ちっちっちっ」と茶目っ気のある声を出した。


「まだあるんだなぁ、これが」


そう言って何かを企んでいるような微笑みを浮かべた美鈴さんは、うきうきとしたままキッチンへ引き返していく。僕は食器をトレイに乗せて、それを追いかけた。


「まだあるって、何が?」


冷蔵庫を開ける美鈴さんの後ろで、僕は無造作に食器をシンクに置き、水道の蛇口をひねって丼ぶりの中に水を溜める。前に美鈴さんがそうしていたから。


美鈴さんは、「大丈夫。あっちで待ってて」と言って、「はやくはやく!」と僕を席に戻るように追い立てた。僕は、「もしかして、誕生日ケーキを買っておいてくれたのかな?」と察しがついたので、黙って席に戻った。



キッチンの方へ耳をすましていると、ストン、ストン、ストンと、包丁が何か硬いものを切ってまな板にぶつかる音が聴こえ、それから、カチャカチャと薄い陶磁器の擦れる音がちょっとだけ聴こえていた。そして、すぐに美鈴さんが僕の前にケーキの乗ったお皿を置いてくれた。


「あれ…?これ…」


それは、ガトーショコラの一切れだったけど、お店で買うもののような均一な生地のへこみではなく、表面が少しまばらにぽこぽことしていた。美鈴さんを見上げると、にこっと笑い、「時間かかったんだよ?」と彼女は何気なく言った。


「ええっ!美鈴さん、ケーキも作れるの!?」


僕がびっくりして叫ぶと、美鈴さんは嬉しそうな顔で、自分の分もテーブルに置いて、フォークを渡してくれた。


「時間がかかったって言ってもね、冷やすのに冷蔵庫に何日か入れてただけ。これね、炊飯器で作れるの。簡単なもので悪いけど…」


「そうなんだ~。いやあ、すごいよ。じゃあ、食べてもいい?」


「どうぞめしあがれ。美味しいと思う」


僕はちょっと緊張しながら、ガトーショコラをフォークでひと口分切ると、口に入れて噛んでみる。それはどっしりとした噛み応えで、でも、すぐにチョコレートが溶けた濃厚な口当たりと甘みが口の中いっぱいに広がり、後味にしっかりしたカカオが香った。僕はその美味しさに酔いしれて自分の顔がほころぶのを感じた。


「うーん!美味しい!」


「ふふ、よかった」


「美味しい~!」


「はいはい」


美鈴さんは、美味しい美味しいとまたあっという間に食べ切る僕を見ながら、自分も嬉しそうにガトーショコラを頬張った。





それから美鈴さんは「はい、誕生日おめでとう」と言って、小さい包みを渡してくれた。「開けていい?」と僕が聞くと、「うん」と美鈴さんが返す。


濃紺の紙包みを開けると、透明なフィルムに包まれた、同じく紺色だけど少し浅めに染めた、ハンカチが出てきた。それは、縁の部分に、深い紅色と黄緑に近い線がプリントされていた。


「わあ、ありがとう」


僕がフィルムを剥がして、まだ糊の効いたハンカチを広げてからまた畳みなおしていると、美鈴さんは、「ごめんね、そんなに高いものじゃないんだけど…」と小さくつぶやいたので、僕は彼女の体を胸に引き寄せ、抱きしめる。



「君がくれるものなら、なんでも嬉しいよ」






僕たちはそんなふうに日々の喜びを分かち合い、二人で会うことも少ないけど、二人きりの時には喜びを交わした。


大学で三年次、四年次と進んで、僕たちは大学での最後の大仕事、卒業論文に手をつけていた。


僕のテーマは「タイムパラドクスの可能不可能についての数理的論証」、美鈴さんは「時間の無限の否定のための、無限の否定」だった。僕は苦手だった数学をあえて中心に据えて複雑な問題についての回答を与えようとし、美鈴さんは自分が取り掛かりたいと思うテーマについての、最初の一歩を踏み出したのだった。


僕は必死で綻びがないか見直して何枚も何枚も書き損じを破り、美鈴さんも同じように行き詰まっては進むのを繰り返しているようだった。そしてできあがった論文について、僕は教授から「難しいながらも努力した甲斐はきちんと見える」とそれ相応の評価をもらって、美鈴さんは優秀な成績として太鼓判を押され、僕たちは学校を卒業した。





「ぷは~っ!美味しい!」


目の前では、美鈴さんが喫茶レガシィのメロンソーダに向かって、解放感のある笑顔を浮かべている。僕はココアを飲んでいた。マスターのココアは、濃く、甘かった。


「やっぱり疲れた時には甘いものだよね~」


美鈴さんの前にある、背が高くて胴長の足つきグラスには、しゅわしゅわと泡が湧き続けて立ち上ってゆく真緑のメロンソーダがいっぱいに注がれ、白くてまあるいバニラアイスが重たそうに乗っかり、ちゃーんと真っ赤なサクランボも添えてあった。美鈴さんは脇にあった細長いスプーンに巻かれたナプキンを取り去って、スプーンでアイスをつつく。そしてそれを食べてまた「美味しい!」と言って、微笑んだ。


「美鈴さんは、やっぱり院に?」


「うん、だからこれからは受験勉強になるかな」


「そうなんだ、頑張って」


「任せなさい!」


美鈴さんは溶けたバニラアイスを唇の端にくっつけて、大胆にも親指を立ててみせる。彼女はまったくの研究者志望だから、もちろん大学院に行くみたいだ。まあ、あれほどの実力があれば心配はないと思うけど、と僕も思うけど、やっぱりここまではっきりと言い切れる彼女はすごい。


「アイス、はしっこについてるよ」


僕は自分の唇の、美鈴さんから見て同じところを指差した。すると、美鈴さんは慌てて脇にあった皺の寄ったナプキンを広げて口を拭う。


「ところで、馨さんはすぐに会社に入るの?」


「うん、明日からかな」


僕がそう言うと、急に美鈴さんがちょっと不安げな顔をしてこちらを見つめる。僕はちょっとうつむいて首を横に振り、ひと口温かいココアを飲んでから顔を上げ、彼女に笑った。


「最初は本社で研修から始まるし、あと半年は日本に居るよ」


「半年…」


やっぱり、彼女には「半年」は短かったかと思って僕も落ち込んだけど、美鈴さんの頭を撫でて、「忙しくはなるけど、必ず会いに行くから」と慰める。


「うん…」





僕たちはお互いに忙しかった。彼女は大学院の博士課程の受験勉強と、それから個人的にもう研究しているテーマがあるから、それを追うこと。それから僕は、「跡取り」だからと職場の仲間としては見てもらえず社員の全員から遠ざけられながら、社内研修や、各地の工場視察、そして経営の勉強、事業内容の勉強…。目の回りそうな毎日だ。


僕は車が苦手だから電車通勤なので、朝はとても早くに起きる。一日のスケジュールや仕事内容を確認したら食事をしてスーツに着替え、美鈴さんとメッセージで「おはよう」を言い合って、家を出て電車に乗り、会社へ。父さんには、「車が嫌いなんてつまらない男だ」と絶えず文句を言われている。


会社に着いたら作業内容を見直して、一日中それからは自分のデスクと部長のデスクや書類棚、あとはトイレとの往復。体中が凝り固まりそうなほど座ってばかりなのに、仕事が終わる夜の十時頃にはぐったりと力も入れることができず、僕は足を引きずり、また電車で来た道を戻る。


仕事はとにかく煩雑で膨大な量があって、一人が担うには潰されそうになるくらいだけど、僕は手を抜くことはしなかった。将来は社長になろうというのだから、仕事はもっと高度に、そして辛くなることくらい予想がつく。時に部長から、「もう少し力を抜いては」と持ち掛けられたけど、僕はそれをすることはできなかった。


そうしているとだんだん、僕のデスクの周りから少しずつ、心を許した励ましや労いをくれる人が現れることもあった。


「そんなに根を詰めていたら、この先もちませんよ」


「そうですね、すみません」


僕はそう言って、やっぱりまた仕事に戻った。そんな僕の様子を見てみんな困っていたり、少し心配だったみたいだけど、僕は本当なら、同じ部署の人のように部長に酷く叱られたり、朝早く来て掃除をしたりしているはずなのにと、物足りなさまで感じていた。「跡取り息子は慎重に扱わないと」。そういう計らいなのか、僕は朝の掃除は免除され、部長に怒鳴られることはなかった。


みんな勘違いをしていると、僕は思っていた。これから僕は、「この会社で一番仕事が良くできて、一番行動の早い人間」である、「社長」になろうというのだから、いくらでも覚えることはそれこそ山積みなのに。そう思いながら僕は、仕事場というもののルールや暗黙の了解を少しずつ飲み込み、あとは黙々と、自分が今持っている仕事の精度を上げることにひたすら注力した。





そんな忙しいばかりの日々の中、九月になったある日、仕事が終わって自宅近くの地下鉄駅を降り、改札を出た時のことだ。僕は美鈴さんのことを考えていた。


彼女の大学院の合格発表はちょうどその日で、「仕事が終わったら連絡するよ」とメッセージした。電車の中では眠ってしまっていたので、スーツのポケットの中にあるスマートフォンを取り出し、美鈴さんに今からメッセージをしようと電源ボタンを押した。



「馨さん!」


急に僕は後ろから大声で声を掛けられ、慌てて振り向くと、地下鉄の通路を僕の居る改札前に向かって、僕に駆け寄って来る美鈴さんが居た。


「美鈴さん!」


僕も彼女の元へ走って行き、僕たちは二人で、地下の雑踏の中で向かい合った。僕の体の疲れは、もうどこかへ蒸発してしまったようだった。


「どうだった?」


僕がそう聞くと、彼女はウインクしてちょっと体を傾ける。


「ばっちし!」


「受かったんだ」


「うん」





僕たちはそのまま一緒に地下鉄に乗り、美鈴さんの家の最寄り駅まで向かった。僕の家の近くでは、美鈴さんが帰る時に大変だろうと思ったから。僕たちは二人ともちょうど夕食を食べていなくておなかがすいていたので、夜が遅くて開いているレストランもないけど、牛丼屋のチェーン店に入った。


お店の中は二、三人のお客がカウンター席に掛けているだけで、僕たちは四人掛けのテーブル席に就いた。夜の空気は店の正面のガラスを透かして店内いっぱいに広がっていて、一日の終わりにくたびれたようなお客と、お客が少ないのでのんびりとした店員のそれぞれに、僕たちは存在すら気遣われることもなく、二人の時間を楽しんでいる。


「あーおなかすいた。カレー早く来ないかなー」


美鈴さんはテーブルいっぱいに腕を広げて、ちょっと甘えた声で待ちわびている。僕は牛丼普通盛り、美鈴さんは大盛りのカレーライスに牛肉とチーズをトッピングして店員さんに頼んでいた。


「それにしても、相変わらずすごい量」


「だって美味しいものはたくさん食べたいじゃん」


そう言いながら美鈴さんは机の上に肘をついて、顎を手のひらに乗せる。その腕はとても細くて、彼女が着ているボーダー柄のロングTシャツからは、手首の骨がくっきり浮き出ているのが見えた。どういうからくりであれほどの食べ物を食べてもこの体型なのかと、僕は笑ってしまった。


今晩の美鈴さんはボーダーのシャツに、細身のオーバーオールを着て、ラフなサンダル姿だった。小柄な彼女にはオーバーオールの丈は少し長くなってしまっているように見えたけど、それがまた可愛らしい。


「おなかすいたなあ」とこぼしてお水のコップを両手で口へと運ぶ彼女は、実際より幼く見えるけど、僕に向けてくれる微笑みは、やっぱり僕の疲れを癒してくれる。



僕たちはそれから運ばれてきたメニューを食べ終えて、しばらくは僕の仕事の話、それから美鈴さんが大学院に進んだらどうしたいのかなどを、楽しく話し合っていた。でも、そのうちに話は途切れて、僕たちは黙り込む。


夏も終わって少しずつ暑さも薄れる夜中、美鈴さんは斜めにうつむいて、僕は、少し前に美鈴さんに送ったメッセージのことを思い出していた。



“あと少しで、海外に行く日どりが決まると思うんだ”



僕はコップにあと少しになってしまった水をひと口含んで、氷も溶けた冷たい水を喉に送る。冷えていく胸にちらと悲しみが湧いて、さみしさが染みていく。それから、ゆっくり口を開いた。


「来月の…十三日だと思う。その日に…」


美鈴さんは顔を上げなかったけど、首だけを僕の方に向けた。


「日本を、出るんだね」


「うん…」


「そっか」


僕は不安になった。美鈴さんを一人で日本に残していくことというより、そのことについて彼女が、なるべく僕に元気のない様子を見せまい、不安を口にすまいとしているように見えることが。僕の胸を不安が急き立てて、痛みや悲しみが言葉を急がせる。それなのに出てこない。僕はぐるぐる回りながらあちこち調べて回り、やっと一つだけ、彼女を慰められそうなものを見つけた。


「…でも、八カ月で帰ってこれる。それに、あと一カ月あるから、その間の休みの日に時間を作るよ」


そう言うと美鈴さんは「八カ月」に少し安心してくれたのか、顔を上げて、それでも力なく笑った。僕は彼女に本当の気持ちを言って欲しかったけど、なぜか、それを聞くと彼女を深く傷つける気がして、怖くてできなかった。僕は彼女の手をテーブル越しに取って、温めようとするように握る。


「さみしい思いをさせることになって、ごめん。僕も、君に会えないのはさみしい。でも、僕は仕事にかまけて君を忘れたりしない。僕はいつでも、まずはただ君の恋人で、その他のことは、そのあとだよ」


僕が美鈴さんを見つめてそう言うと、美鈴さんは切なそうに眉を寄せ、泣きそうになるのを一瞬堪えた。それからまた笑おうとする。僕は、「日本を出る前になんとか美鈴さんの気持ちを聞き出さなきゃいけないんじゃないか」と思っていた。


でも、彼女を悲しませない言葉、彼女が心を痛めない方法がわからなかった。だからその日は、「また連絡する。君の家で、二人で過ごそう」と美鈴さんに言って、僕たちは別れた。




僕は、僕と彼女の関係の中で彼女を悲しませることがあるとしたら、いつもそれは僕なんじゃないかと思う気持ちに心の底で悩まされていた。でも、それならなんとしても、僕がそれを拭わなければいけない。また彼女の笑顔がもらえるように。でも、今はそれをすることができない。だから、「変え難いものに僕たちの関係が飲み込まれて、消えてしまうんじゃないだろうか」と不安で、それから、美鈴さんが必死に堪えているんだろうことが心苦しかった。



僕はいつも彼女を元気づけて、安心させてあげるために彼女の近くに居たかったけど、これじゃあ彼女の助けになんかなれてないじゃないか。そう思って僕は強く自分を責めることしかできず、家に帰ってからは、憂鬱な眠りに入っていった。







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