第6話

「これで大丈夫」


 保健室の先生。彼女の液体で、ぐしょぐしょに濡れていた。それを、タオルで拭いている。


「悲惨なことになっていたわ。痛かったでしょうに」


「そんなに、ですか?」


「はじめて、だったのね。中が傷だらけで、かなり痛々しかったわ」


「そうですか」


 はじめてだったという言葉に、かなり衝撃を受けた。あの求め方は、尋常ではなかった。なのに、はじめて、なのか。


「あなたのほうは、大丈夫?」


 確認する。


「大丈夫ですね。特に何も」


 身体は、もともと頑丈だった。近くで爆発物が爆発しても、無傷だったりする。だから、正義の味方もできる。


「あなた。よく出さずに耐えたわね。出していたら、もっと処置が大変だった」


「出す?」


「奥によ」


「いや、出しようがないというか」


 生理反応で立ちはするが、知らない人間に出すほどのものを持ち合わせてはいない。それだけだった。


「あなたが出さなかったから、彼女も続けたのでしょうけど」


「なんだったんですか、あれは」


「愛が欲しかったんだと、思うわ」


「愛」


 そんなもの。持っていなかった。

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