第4話

 あの後も。


 女を探したけど、見つからなかった。

 自分の見間違いだったのかと、思う。


 探すのと仕事を両方こなしていたので、学校には久しく行っていなかった。出席を取るだけだが、出席自体も仕事だと言えば出席扱いにできる。つまり、行っても行かなくてもいい場所。ときどき、気分で行くだけ。

 正義の味方をやる関係上、博士以上のものはすでに取得している。資料の閲覧レベルやリスト照会に暗号化された内容があったりもする。


 ひさしぶりの学校。


 出席だけをとる。

 その日は、他の正義の味方も来ていた。打ち合わせと情報共有ができる。便利だから来ただけ。


 そのとき。


 彼女を、見つけた。


「ごめん。打ち合わせ抜ける」


 通信を切って。

 女を探す。さっき一瞬、廊下にいた。

 やはり。見間違いではない。彼女は、たしかにここに、存在する。


 監視カメラを呼ぼうとして、やめた。前と同じなら、結局見つからない。自分の目だけが頼りだった。

 廊下を走って、探す。この方向。


 いた。


 彼女。

 また、男子生徒に何か持ちかけている。胸ぐらをつかんでいた。駆け寄って、その手を男子生徒から引き離す。


「おい。おまえ、また同じことを」


 暴れられたので、しかたなく腹の横を少しだけ押した。


「う」


 ここを押すと、呼吸がちょっとだけできなくなる。静かになった。


 男子生徒を、手で追い払う。


 通信で応援を呼ぼうとして。

 口を塞がれた。

 彼女の顔が、目の前にある。そのまま。押し倒された。激しく求めてくる。

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