17.やだやだやだ!

くしゅんっ!…ぐずっ…。

「うぎゃっ!顔にかかった!」

失敬。

「もぉ~。こんな至近距離でくしゃみしないでよぉ~」

しょうがないじゃないか、君がいきなり抱き上げるんだから。

タイミングが悪い君が悪いんだ。

ずずっ…。

ぬ?風邪引いたか?


くしゅんっ!

ぬ…またか。

「うわぁ!髪の毛に着いた!汚いな、もう!」

生理現象だ!しかたないだろぉ。

「ママに言いつけてやる。」

なっ、それはダメだ。

というか、僕は何も悪くない!

昨日の夜、君が僕の布団を奪ったんだろ?

全く、いつになったら1人で寝れるんだ。

あっ、こらっ!連れていくなよ!


「ママ!なんか、くしゃみ出てるよぉ!」

「ん?あんたの事?」

「違うよぉ!こっち!」

ずいっ。

おいおいっ!ママに僕を差し出すんじゃない!


「あら?ほんとね。鼻水が垂れてるわよ。」

ふぁ!カッコいい僕がそんなこことするわけないだろ!

ずずっ…。

「んん?なんだか目も据わってるし…しんどいのかしら?」

目が据わってるのは通常運転だ!

それにしんどくなんてない!

これくらい寝てたら治るよ!

だから…嫌だよ?


「心配だわ。何かあっても隠すんだから。」

「そうそう!画鋲が刺さった時も、カーテン登って落ちた時も何もなかった顔してたくせに、血は出てるわ、腰は打ってるわで大変だったもんね。」

「そうね…今回も何もなかったらいいんだけど…心配だから行こうか。」

「わかった!バック持ってくるよ!」

‥‥行く?

どどどどどどこに?


はっ!こここの匂いは…。

「ママ―このバックだよね?病院用って!」

‥‥。

うぎゃぁぁぁあああああ!

やだやだやだやだ!

僕は絶対、行かないぞ!


「あっ!逃げた!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る