学校怪談・ウワサ調査団

鬱見(ウツミ) 朔羅(サクラ)

第1話 転校先の学校

 「はじめまして、播磨中等高等学校から来ました。暁月あかつき彩芽あやめです。よろしくお願いします」


 ざっと2、30人はいるであろう教室の黒板に堂々と大きく書かれた私の名前。

 そ、そんなに大きく書く必要はあるのかな...?


「では暁月さんの席は...あそこね」


 一番後ろの席を指差す。

 みんなの視線が集まる中、私は席まで行った。


「え、えーっと...よ、よろしくね...?」


 席に座って隣になった女の子に声をかけてそう言った。


「ええ、よろしくお願いします。暁月さん」


 チャイムが鳴った。ガヤガヤと廊下や教室内が騒ぎ始める。


「暁月さん、播磨ってどんなところなの!?」

「え、えーっと...」

「好きなアイドルとか俳優は!?」

「ア、アイドル...?は、俳優...?」

「あと、どんな男の子がタイプ!?」


 転校生によくある質問攻め状態...どの質問から答えていいかわからないよ...


「貴方達、暁月さんが困ってるわよ。その辺にしといたら?」


 隣の席の子がそう言ってくれた。


「えー、三來みらいのケチー!」

朔来さくら、逆の立場になってみなさい。彼女の気持ちがよくわかるわよ」

「三來ちゃんは席が隣だから沢山話せるんだよ...いいなぁ...」

朔磨さくま、貴方よからぬこと考えているんじゃないでしょうね?あと其処は私の机よ。寄っかからないで頂戴」


 机の端っこに座ってポケットに手を突っ込んでいる朔磨さん。

 隣でむっつりしている朔羅さん。


「...お二方って御姉弟ごきょうだいですか?」

「あー、よく聞かれるけど違うよ〜」

「友達だけど赤の他人だ」

「何その言い方、酷いよ!」


 ポカポカと背中を叩く朔来さんに朔磨さんが痛い痛いやめろと言う。


「あ、あと私達はクラスメイトだしタメでいいよ。ね?いいでしょ?サク、ライ」

「あー、俺はいいぞ」

「...私も大丈夫よ」

「って事で自己紹介しよー!」


 チャイムが鳴った。


「残念だけど、放課後にしましょう」

「えー、...ん?1時間目なんだっけ?」

「...代数よ」

「わぁ...最悪...」


 代数...?教科書持ってきたっけ...?

 カバンの中をごそごそと探す。


「暁月さん、教科書なかったら貸すわよ」

「あ、ありがとう。...七香ななか先生からこの学校の教科書が渡されたどうか覚えてなくって...」

「...あの担任は見かけによらずおっちょこちょいだからそういうところもあるのよ」

「見ていてわかるんだね」

「...いいえ、当の本人が言ってたわ」


 はぁとため息をつく三來さん。

 ガラガラと教室のドアが開いてメガネをかけた先生が入ってきた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る