災害をパワーアームで解決する

「えらいこっただ! これはえらいこっただ!」


「国王様! 俺達もう限界だ!」


「なんとかするだ! 我慢してろだ!」


「もう無理だだーーーーーー! 死ぬだーーーーーー!」


 下敷きになっているドワーフも何人もいる。ドワーフは驚異的な程頑丈なのだ。何とか耐えしのいでいる様子だ。


「国王様、このドワーフの国に工房はありませんか?」


「武具を鍛錬する工房だか? あるが、何を言ってるだ? こんな時にだ」


「貸してくれませんか?」


「好きにするだ! 俺達は復興で忙しいんだ」


 とはいえ、誰が案内してくれるというのだ。


「ドワ娘、相手にしろだ!」


「はいだ! ドワ娘だわさ」


 ドワーフの娘が現れた。確かにちびだ。ずんどーというのもうなずける。


「あんさん! イケメンだわさ! 背が高くてすらっとしてて」


「え? うん」


 そりゃ人間だもの。ドワーフより背は高いだろう。


「あてをお嫁さんしてだわさ!」


「なっ!?」


「んっ!?」


 ユースとシャロは表情を歪めた。何をドワーフ相手にムキになっているんだ。相手は子供みたいなものじゃないか。


「ははっ! 残念ながら今はそんな事言っている場合じゃないよ。工房はどこ?」


「こっちだわさ」


 こうして俺はドワーフの工房に案内された。土製の建物に工房があった。炉もある。ハンマーもあった。


「よし! これで大丈夫だ!」


「フェイ様! 一体、何を作るんですか!?」


 トントンカンカン!


 俺は鋼鉄製のアームのようなものを作った。


「なんですか? それは?」


「パワーアームだよ。ハメてみて」


「はい。……これはっ! すごい、鉄でできているのに。軽い! 力が何倍にも倍増されている気がします!」


「これでドワーフの人達を助けるんだ」


 俺は三つのアームを鍛造した。


 そして、下敷きになっているドワーフの民のところへ駆けつける。


 ◆◆◆◆◆


「待ってろだ! すぐ助けるだ!」


「もう無理だーーーーーーーー! 死ぬだーーーーーーーー!」


「どいてください!」


「なんだ! 非力な人間に何ができるだ!」


 俺は大岩を軽々持ち上げ、どける。


「な、なんだ! その怪力は! 俺らみたこともないだ!」


 ドワーフ王は感心していた。


 ユースとシャロの三人で瓦礫をどける。そして大岩もどけた。こうして救命活動は行われたのだ。


「大丈夫だ!?」


「ああ!! なんとか大丈夫だ!! もうすぐ死ぬところだっただ!」


「ありがとうだ! 人間様! エルフ様! あなた達は命の恩人だ」


「当然の事をしたまでですよ」


「いや。俺達ドワーフは人間やエルフにとっては他種族だ。だから家畜や何かみたいに扱われる事も多いだ。簡単にできることではないだ!」


「俺は感動しただ! ありがとう! 人間殿! 名前はなんと言っただ?」


「鍛冶師のフェイです」


「フェイ殿! 本当にありがとうだ! おかげで国民の命が救われただ!」


「ええ。命が救われてよかったです。それじゃあ援軍の件は残念でしたけど俺達はこれで」


「待つだ!」


 ドワーフ王は俺を呼び止めた。


「え?」


「国民の命さ救った恩人を手ぶれで返すわけにもいかねぇだ! 援軍の話、しかと了承しただ! あんたには大きな借りができただ!」


「それって!」


「はい!」


「やりましたね。フェイ様」


 俺達は大喜びした。こうしてドワーフ国の協力を得る事ができたのである。

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