第2話 パパからの衝撃告白!(2)

――カランコロン


職場近くの昔ながらの喫茶店の扉が開く音が聞こえた。


心美「パパ久しぶり!私、昼休み休憩で抜けてきたから、すぐに戻らなくちゃいけないんだけど、話って…?」


パパ「元気だったか?久しぶりに会ったんだから、とりあえず1回落ち着かせてくれよ。」


パパは私と同じアイスコーヒーを店員さんに注文しながら言った。


心美「それもそうだね!まだお昼休みが終わるまで時間あるし、ゆっくり話せるよ。」


パパ「ふぅ~…。実はな、お前に大事な話があるんだ。パパなぁ、ママと離婚することになった…。」


心美「え…?今流行りの熟年離婚とか…?」


パパ「いや…実は急にパパは美容に目覚めてな…。」


心美「ん?美容に目覚めて、なんで離婚なの…?ていうか、美容…?」


パパ「なんて言えばいいのか…。正直に言うとな、パパはこれからの人生、女性として生きていきたいんだ…!」


心美「えぇぇぇぇ~!?!?」


店員さん「お待たせ致しました。アイスコーヒーです。」


パパからの話がまさかそんな話だとは思っていなかった私は、心にビリビリと衝撃が走るのを感じた…。


(コレはまずい…。)


内心ではそう思っていたものの、私の口は驚きのあまり、次の言葉を勝手に紡ぎ始めた。


心美「それで…?これからどうする気なの…?ママと離婚って、ママは納得してるの…?今後のことは…?」


心美「ママにはきちんと話はしたんだ。その上で理解はしてくれたよ。全部パパが悪いんだけど、パパもこうすることでしかもう本当の自分として生きられないと思ったんだ…。だからパパは女性として生きていくことにしたよ。」


私は思わず、口に含んでいたアイスコーヒーを吹き出しそうになった。


私「ちょっと待ってよ!?今までパパはサラリーマンとして真面目に生きてきたじゃない!しかももうすぐ定年だし、今更女性として生きていかなくても、ママと幸せに暮らしてよ!」


パパ「パパの中でもママは今までずっと人生を共にしてきたパートナーだし、大切な人だ。でもな、定年して第2の人生を始める時に、自分の本当の気持ちにずっと嘘をついたままの人生をこれからも歩み続ける自信がないんだ…。」


私「はぁ…。」


悪気は無かったが、私は大きなため息をついてしまった。


正直なところ、何が何だか分からない。


父親の口から女性として生きていきたいという言葉なんて聞きたくなかったし、

聞くこともないと思っていた…。


まさに衝撃告白…!!!


パパ「それでな、ママからは出て行って欲しいと言われたし、パパもさすがにママの気持ちを考えると、パパが出ていくしかないと思ってな…。だけど、心美に何も話さないままは許されないと思ったから、こうして話をしに来たんだ。」


心美「ちょっと今、頭がパニックになってて、悪いけどパパの話が全然頭に入ってこない…。こんなの冗談だよね…?」


パパ「そりゃ、そうだよな…。パパが悪かった。辛い思いをさせてごめんな…。でも冗談のつもりはない。また近々時間を作ってゆっくり話そう。急にこんな話をされてもやっぱり受け入れられないだろうし…。今日はありがとう。」


そう言うやいなや、パパはカバンと伝票を持って会計を済ませたかと思うと、そそくさと喫茶店を後にした…。


取り残された私は放心状態。


でもこうしちゃいられない!


気が付けば、お昼休み終了まであと10分!


私も急いで仕事に戻らなくちゃ…!






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