第6話 母は全てを受け入れる

 真宙の予想通り、母由紀子はリビングにいた。お気に入りの雑誌に目を通していたようだ。お目当ての人物の居場所を一発で見つけられた事に、真宙はほっと胸をなでおろす。

 それから一旦深呼吸して呼吸を整えると、そのまま由紀子のもとに向かった。


「ママッ!」

「ん?」

「ぷりんの事、どこまで話を聞いてるの?」


 真宙は顔をずいっと近付けると、真剣な眼差しで追求する。この勢いにただならぬものを感じた由紀子は、読んでいた雑誌をパタンと畳むと改めて娘の方に顔を向ける。

 そうして、その真剣な眼差しに真摯に答えようと顎に人差し指を当てて記憶を辿り始めた。


「えっと、真宙ちゃんがぷりんちゃんを魔法陣で呼び出したんでしょ? その直後にあなたは倒れちゃって、ぷりんちゃんがここまで運んできてくれたのよ。私もびっくりしちゃった」

「ママはその話を信じるの?」

「信じるも何も、それが本当の事だもの」


 普通だったら簡単には信じない話を、由紀子は何の疑いも持たずに信じている。この状況に真宙の頭は軽く混乱した。この調子だと父親も同じ事になっているのだろう。

 少し時間が経って落ち着いた彼女は、この状況が成立する条件をひとつ思い浮かべた。


「洗脳じゃないよ」


 真宙が口にしようとした言葉が背後から先に放たれる。焦った彼女が振り返ると、案の定、そこにはぷりんが呆れた顔をして立っていた。


「あなっ、なんで?」

「なんでも何も、説明が必要でしょ」

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