第6話

お昼を食べ終えた俺は、自分の部屋にてベッドに仰向けになっていた。

「はぁぁ......幼女が来てから、2日経ったのか......楽しいもんだな......」

最初に考えたことは、幼女である朱莉とゆあが来てくれて、すごい楽しくなったこと。

やっぱり、一人で過ごすよりも、誰かと過ごしている方が楽しいという事が実感できたと思う。

「疲れた......」

なぜベッドで仰向けになっているかというと、普通に疲れたから。

まあ、小説がほとんどなのだが......。

とりあえず、俺はそのまま寝てしまった。


「うーん......やっぱり続きだな......」

一人部屋で唸る俺。

結局の所、小説の次のシチュエーションで悩んでいる。

「ショッピングとか......か?いや、1回やったしな......」

基本的には、1回やったようなシチュエーションを2度もやるというのは、読者が飽きると思う。

ここでの読者っていうのが、朱莉だ。

そして、ゆあ。

ゆあに関しては、えっちな描写を入れてくれと言う事だった。

朱莉に関しては、同じ展開をいれるとよくない、とのこと。

「どうしたら、いいんだ......」

俺は、このまま小説家になれずに終わってしまうのか......。

いや、今そのことを考える時間ではないだろう。

数分考えていると、

「終わった?お兄ちゃん」

扉が開く音が聞こえ、なぜかパジャマ姿のゆあがいた。

「あれ......終わってなかった?」

「あ、いや、その......というか、なぜパジャマ?今から寝るの?」

「お兄ちゃんと、一緒に寝たいと思って......」

「......」

というか、最初会ったときは朱莉の後ろに隠れる子だったのに、今となってはすっかり積極的じゃないか。

お兄ちゃんは、そんな子になってくれて嬉しい!

......違う。

そうじゃない。

今考えるのは、小説だ。

「朱莉は?」

「朱莉は.....リビングで寝てるよ」

「そっか......寝とりしていい?」

「うーん......私は、別になんでもいいけど......朱莉がどういうかな......」

「あはは、嘘だって、じゃあ......ゆあを寝とっても?」

「わ、私......?」

と、ゆあの顔は徐々に赤くなっていった。

「......」

そして、ゆあは顔を赤くして無言のまま小さくうなずいた。

「は、恥ずかしいけど......その、お兄ちゃんなら......」

ゆあがもしも妹だったら、俺は毎日ゆあを抱いているだろう。

「それじゃあ、この仕事終わらせてからな」

「......ん......」

ゆあは、小さく言うと俺の隣に、ぎこちなくも小さな体を寄せてきた。

「抱きついていい?」

俺が言うと、ゆあは俺に体をくっつけてきた。

「えへへ......いいよ、お兄ちゃんがしたいって言うなら......」

そして俺はゆあに抱き着いていた。

「んっ......変な所触っちゃダメぇ......っ」

「おお......かわいい」

「あうっ......!んあぁ......」

謎に喘ぐゆあ。

俺は普通に抱き着いているはずなのだが......?

小さな体をびくっとさせるゆあ。

「はぁ、はぁ、はぁぁ......」

ゆあは肩で息をしながら息を整えていた。

「だ、大丈夫?」

「......えへっ......もっとして......?」

......マジか。


――すごい夢だった。

ゆあが急にドМになるとは。

「......?どうしたの、お兄ちゃん?」

「ゆあって、ドМ?」

「えっ?......多分、そんなはずないと思うけど......」

ああ、良かった。

「でも......なんで?」

「え、あ.......その、夢でさ、パジャマ姿のゆあがいて、それで、ゆあに抱きついたら、謎に喘いでて......」

そんな話をしていると、ゆあの顔が赤くなっていた。

「......というか、なぜ俺のベッドに?」

ゆあの事について話をしていたので分からなかったけど、そもそもここは俺の部屋だ。

「そ、その......お兄ちゃんと寝ようかなって思って......」

なんか、夢で起きたよなことが起きているのだが。

「そうか......じゃあ、今夜な」

「えっ?いいの......?」

「もちろん、というか、かわいい子と一緒に寝たいし」

「あ......えへへ......そっか」

ロリコンなら一度は考えたことはあるだろう、幼女もしくは妹と一緒に寝たいと。

それが、今夜出来るとは......!

「そういえば、朱莉は?」

「朱莉は、自分の部屋にいるよ」

「そうか......朱莉も今夜一緒に寝ないかな」

「うーん......寝ると思うけど......」

「それなら、行くか」

「あ、待って......!」

と、ベッドから起き上がり、朱莉の部屋に行こうとした時ゆあに呼び止められた。

「ねぇ......一ついい?」

「うん......?いいけど......」

「私も......お兄ちゃんの家に住んでいいかな......?」

マジすか......!

「も、もちろん!いいよ!」

俺は即答してしまった。

いや、別に住んでもいいけど......というか、ゆあが住むことで、なにか悪いことが起きるのか?

そんなことはないだろう。

「あはっ......ありがと」

そして、満面の笑みを俺に見せるゆあ。

......すごくかわいいんですけど!

これは、抱きついていいですかね?

「――わっ......ど、どうしたの?急に......」

「いや、ゆあがかわい過ぎるから」

「......そ、そうなんだ......」

そして、俺はゆあに抱きついてしまった。

ベッドで、ゆあを押し倒すくらいにゆあはかわいい。

「あうぅぅ......」

ゆあは恥ずかしさのせいなのか、俺と目を合わせようとしない。

「ねぇキスしていい?」

俺の問いに、ゆあは無言で目をつぶった。

「......マジか」

冗談で言ったつもりが、まさか本当にしていいとは......。

静かに待つゆあ。

少し荒い吐息が、俺の顔にかかる。

そして、徐々に顔を近づけていき、最後にはキスを――


「悠真さん!!」

「――わっ!?」

突然、そんな声と共に部屋の扉が勢いよく開いた。

俺は、ビックリしてドアの方を慌てて見る。

そこには、なにかの書類敷物を持った朱莉が立っていた。

「あ、あれ......もしかして、ゆあと取り込んでいました?」

「い、いや!そ、そんな事無いです!」

俺は慌てて拒否するものの、ゆあが、

「んもぅ......せっかく、いいとこだったのに......」

と、小な声で言うゆあ。

「......と、とりあえず、どうした?」

「あ、はい、ええと......これです、この書類......」

「ん?......マジか」

その書類とは、学校側からの物だった。

「......もうじき、退学か......だろうな」

学校に行かず、毎日のように家に引きこもり、小説を書いている俺こと悠真。

そりゃあ、毎日学校に行かなかったら、退学とかになるだろう。

その、書類の中身はこうなっていた。


『一週間以内に学校に来なかった場合、学校側から君を退学にする。退学になりたくなかったら、明日以降必ず学校に来ること。どうするかは君次第だ、こちら側は、別に来る来ないはどうでもいい。とにかく、一週間以内には学校に来ないと、退学になるぞ。気をつけろ』


「なるほど......ん?最後の文章って......誰が書いたんだ?」

最後の文章、『とにかく、一週間以内には学校に来ないと、退学になるぞ。気をつけろ』という文章は、別人が書いたようだった。

なぜかというと、文の濃さがそもそも違うし、文体も違う......一体誰が?

「どういう......」

とりあえず、現段階で分かることは、一週間以内に学校に来ないと、退学になること。

俺は、出来る事なら......このまま、幼女二人と過ごしたいのだが......。

「退学ですか......」

と、いつもの間にかベッドに乗ってきた朱莉が、その文章を読んでいた。

「どうしたらいいですかね......」

「とりあえず......明日、学校に行きましょうよ。私たちが、一緒に行ってあげますから」

「う、うん......私も、行ってあげる......」

なるほど、幼女二人が一緒にね......。

「それは、嬉しいけど......というか、学校は?」

「なんか知らないけど......この一年間、休校なんだって」

そりゃまたどうして......。

なにか悪いことが起きるような気がする。

......なぜかは知らないけど。

「ま、まあ......明日は、学校に行くよ」

と言う事で、俺は明日から学校に行くことを決意した。



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