ロリコンに幼女

らかん

第1話

「あー、ちっぱいっていいなー......触りたい......」

自分の部屋でぶつぶつと独り言を言っている俺こと悠真は、結構なロリコン......だと自分では思っている。

「ふぅ......小説も楽じゃない......」

現役高校生ながら小説を趣味で書いている。

作中に出てくるヒロインは、ほとんどがロリである。

なんせロリコンなものでね......。

「はぁぁ......」

中々いい作品が出来ず、悩みに悩んでいる今日この頃。

小説を書いていて思う事は、『とにかく、ヒロインを触りたい』という思いが出てくることだった。

俺としては、ちっぱいとかを触りたいのだが......そんなことをしたら、俺は確実に刑務所行きである。

「なんとかならないんですかね......」

ベッドで、仰向けになりながらそう言う俺氏。

そもそも、そんなことが出来たら今頃触っているはずだ。

なんとかならないのが、現実である。

「いっそのこと、異世界にでも......」

異世界ならワンチャンあるのでは?と考えるが、

「いや、無理だな」

結局、無理なものは無理だという考えが先に勝ってしまうのだった。


「なんかないのかな......」

とにかく暇なので、俺はショッピングモールに行くことにした。

別に、何かを買ったりするという目的で来てない。

じゃあ、何のためにここに来たのか?

「幼女か......ふぅ......」

小さい子を見るためだった。

結論としては、見るだけならいいが、触るのだけは絶対にしてはいけないという事。

「ロリコンも楽じゃないよ......」

俺はその辺にある、椅子と言うのかベンチというのか、そこに座りながら小言を言う。

行きかう幼女を見ながら、俺はちょっと悲しい気持ちになっていた。

そして数分後。

「......ん?」

俺は行きかう幼女を見ているとある幼女と、目が合ってしまった。

その子は、俺と目が合うとぺこりとお辞儀をした。

「あ......!」

俺も慌てて、お辞儀をする。

「......見るだけ......それ以上はダメ......」

俺は暗示のようにそんなことを言いながら下を向いた。

これがロリコンの辛い所である。

見るだけしかできないという、非常に悲しくて辛い状況てある。

例えるならば、ある有名女優が街中を歩いているとき、見ることは出来るが、握手とかはとてもじゃないけど出来ないという、そう言う感じだと思う。

ロリコンならではの、この辛い感じ。

多分、分かる人は分かるんじゃないかなと思っている。

「あ、あの......大丈夫ですか?」

「......へ?」

そんな声が聞こえたので、俺はゆっくりと顔をあげる。

「何か悩んでいることとかあるなら、私が聞いてあげますけど......」

「あ、いや!そ、そんな事じゃないよ......」

そこには、さきほど目が合ってしまった幼女が立っていた。

「そう、なんですか?じゃあ、なんで顔を下に......?」

その幼女は、首をかしげて俺の方を見る。

「え......ええと......」

返答に困る。

というか、幼女が触りたかったとか言ったら、間違いなく警察行きだ。

どうしたものか......。

「その......ちよっと考え事をね......あ、あはは......」

乾いた笑いをしながら俺はそう言う。

少なくとも、嘘は言っていないはずだ。

「考え事ですか......ちなみに、どんな考え事を?」

うっ、そう来たか......。

俺が考えていたことを聞いてくるとは......以外にやるなこの子は。

「ええと......小説、そう!小説の事について考えていたんだよ!その、次何書こうかなって!」

俺は半分ヤケクソな気持ちでそう言った。

「あ、あー!小説ですか!もしかして、お兄さんって小説家ですか?」

「え?あ、うん、まあ一応......そんな、小説家って言うほどじゃないんだけどさ......」

「なるほど......小説家ですか......もしかして、web小説ってやってたりします?」

「web小説?......あー、1年ほど前まではやってたかな」

というか、どうしてweb小説の話を?

俺はどうしてその話になったのか分からないまま、そう言ってしまった。

「もしかして......悠真さんですか?」

「――へ?」

「お兄さんって、悠真さんなんですか!?」

「あ、は、はい、そうですけど......って、なぜ俺の事知ってる?」

「えーと......webで小説を書いていて、しかも一年ほど前までやっていたとすると......悠真さんかなって思ったんです!」

それは、すごい推理だな......こっちが参った。

「小説の中には、ほとんどが小っちゃい子ですもんね、悠真さんの作品って!それがまた良いんですけど!」

「あ、う、うん......そ、それは、どうも......?」

ちなみに、俺はそもそも褒められ馴れていないのでちょっと照れくさい。

「わー、すごい、本物なんだ!あ、握手してください!」

すると、その幼女は小っちゃい右手を前に出してきた。

これが、幼女の手......というか、ほんとに触っていいのかこれ?

「あ、うん......その、何と言ったらいいか.....」

俺はどう言ったらいいか分からないまま、その出された小っちゃい手と握手をした。

うおー!これが、幼女の手か......なんというか、すごく柔らかい。

「はぁぁ、すごい嬉しいです!」

「そ、それは良かったよ」

その幼女は、顔をほころばせながらそう言う。

めちゃくちゃ可愛いんだが。

抱きしめていいかかなこのまま。

「あ、私、藍浦朱莉あいうらあかりですっ!」

「かわいい名前だね」

「そうですか?ふひひっ、ありがとうございます」

顔をほころばせながら言う幼女こと藍浦朱莉。

「じゃあ、これから朱莉って呼んでいい?」

「あ、はい!悠真さんの好きなように呼んでください!」

すると、朱莉はほんとに現実なのかな?という感じで、自分のほっぺを抓った。

「あ、普通に痛いです!」

俺は苦笑しながら「そりゃそうだろ?」と言った。

これが小さい子のかわいさという、一言でいえば最高だ。

この何とも言えない愛くるしい感じの笑顔とか......ロリコンだからこそ、この感じが分かると思う。


「ところで悠真さん?」

さっきまで立っていた朱莉が、俺の隣に腰かけてきた。

多分、立っているのが疲れたのだろう。

「今日はここで何してたんですか?」と、朱莉が俺に訊いてきた。

「ええと......特に理由は無いんだけど......強いて言うなら、小説の取材......かな」

嘘は言っていないと思う。

「幼女を見たいからここに来た」という理由は、取材という理由に繋がると思う。

「なるほど、取材ですか!」

と、朱莉は俺の方を見ながらそう言う。

そんなに見られると、緊張するのだが......。

「ということは......小さい子を見て、どの子が小説のネタになるかなっていう事ですか?」

まさかの、本当の理由が朱莉に知られてしまった。

「ぅ......ま、まあ、そういうこと......だね」

結局、俺はそのことについては、そうですと言うしかなかった。

「なるほど!それで、どの子が良いみたいな感じで決まったんですか?」

「まあ、一応......その、朱莉が良いかなって」

「え、わ、私ですか!?」

すると、朱莉は、驚いたように声を大きく上げてしまう。

「あ、す、すいません......ちょっと、ビックリしちゃって......」

朱莉は、その場で謝った。

「わ、私が、悠真さんの作品に......!う、嬉しいです!」

「そ、そっか......その、多分、ちょっとは性格とかは変えるかもしれないけど......」

「あ、全然良いですよ、その、悠真さん好みの私にしてください!」

「あ、うん、ありがと」

「――ふにゃ!?」

俺は、無意識になぜか朱莉の頭を撫でてしまった。

「あ......っ!ご、ごめん!」

俺はとっさに朱莉の頭から手を離し謝った。

「あ、だ、大丈夫です、ちょっとビックリしただけなので......」

朱音はワタワタと慌ててしまった。

「と、とりあえず......わたしは、もうここには用はないので......その、良ければ、一緒に途中まで帰ります?」

「あ、うん、朱莉が良いっていうなら......」

「では、行きましょっか」

「うん」

朱莉は立ち上がると、小さな右手を差し出してきた。

俺はその小さな右手を取り、立ち上がるとそのショッピングモールを後にしたのだった。








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