名前はミャウ

アキヅキ

第1話ミャウとソロ

 私の名前はミャウ。


 ただのミャウだ。

「ミャゥ」

 ここのお姉さんに拾われて鳴き声の響きからつけただろうことは私でもわかった。


 失礼ですけど、バカですか?

 まぁでも拾われたことには感謝していた。

 私はソロ先輩と違って血統も何もない。

「ミャウ!お風呂入ろ!語りはあとで構わないからさ!」

 なぜ私が語りを入れていることが、、


 諦めろ。クミには全部動物の心の声が聞こえている。


 先輩!?

 聞こえてるって何で!?


 私もよくわかってはいない。

 マルチリンガルとか本人は言っているが、関係ないだろう。


 え?マルチリンガルって多言語話者ですよね?


 そうだ。

 彼女は日本語しか話せないが、人以外全ての動物の言葉を聞き取れるらしい。


 えぇ。ないわー。


 まぁそんな顔をするな。

 折角の顔が台無しだぞ?


 え?そうですか?

 あ、ありがとうございます!


 どうしよう。

 憧れの先輩から褒めて貰えた!

 めちゃ萌えるんですけど!


ぎゅ


 その先輩から踏まれた。


 何となくだ。

 気にするな。


 えぇ気にしません。ご褒美ですもの。


ぎゅ


「こら、ソロはすぐミャウいぢめるんだから!」

 ミャウは女の子なんだからね?

 いぢめちゃダメだよ?

 私を大事そうに抱えたクミさんは勿論裸で、


 あ、主人。


 先輩がボソッと呟いたのも聞こえずに先輩の視線を辿り振り向いた。

「うわ!クミちゃん!」

 まぁ男性の主人様に見られたワケです。

 何をとは私の口からは申しませんが。


 慌てて仔猫で隠すクミさん。

 しかし、そんなので隠れるようなものでもなく、

 覚悟を決めたように、

「こうなったら、、」

 じりじりと退く、、と見せかけ

「エリィも脱げ!皆でお風呂入るぞ!」

 え!?みんなで?先輩も?

 やだ、先輩に裸見られちゃう。


 落ち着け。

 私達はいつも裸だ。


 そんなワケ、、

 でもそっか隠す習慣ないし。

 って急に恥ずかしくなってきた。


 どーしよぅ先輩!

 知らん勝手にしろ。


 ところで私を放り投げたクミさんは勢いをつけてエリィさんを押し倒していた。


 妙な覚え方をするな。主人はエルリックだ。


 クミさんが裸なのでエルリックさんは手を出せず、洗いざらい脱がされてしまう。


キャッ


 私も目を反らすが、脱がしたクミさんまでなぜか目を反らした。


 きっと想像以上だったのだろう。

 何とは言いませんが。


 流石主人。

 執筆にかまけてなまっているかと思えば、、


 先輩は見たことあるんですよね?


 勿論だ。

 何度も見ている。


 以前はトレーニングにも付き合っていた。

 だが、今は執筆に従事したいとの要望で付き合えていなかった。

 残念なことだ。


 それより、やはり私の主人は、

「バカなのか?」

 クミは、


「ちょっと何か言った?二人とも」


「わん!ミャゥ」

 鳴いて誤魔化した。


 勿論意味は乗せていない。

 ですよね?先輩。


「何ですって!」

 ソロ先輩!怒ってますよ?何でですか!

 私は本当のことを言っただけだ。

 バカぁ!意味乗せちゃダメでしょー!

 私はソロ先輩を引き連れてキャットウォークを駆け上がった。

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