第13話 跳梁跋扈

 港湾部の廃倉庫。

 北高生が集合している。

 スマホで銀髪の少女の画像を見ながら、

「結局んトコ、魔女の身柄ガラさらってくればいいんスよね?」


 ちょろい仕事だ、と笑っている。

 少年達より年嵩としかさな男は顔をしかめ、


「くれぐれも傷はつけないように」

魔女この女に何があるんスか?」


 リーダー格の少年の問いには、


「知らなくていい事だ。口止め料込の依頼なのだから」

「前金で一千万。成功報酬で二千万。マジっスよね?」

「無論。これが前金一千万だ」

「すげえ!」

「こんな大金はじめて見たぜ!」


 沸き立つ少年達を尻目に、 


標的ターゲットも感付いたのか護衛ボディーガードを増やした」

「面倒スね」


 男が送信した画像を見たリーダー格は僅かに顔をしかめた。


「こいつ、狂犬マッドドッグか」

「知っているのかね?」

「この辺じゃあ有名ス。正義面セイギヅラした生意気な奴スよ」



「正義の味方ヤンキー、か」



「狂犬が邪魔してきたら?」

「好きにしたまえ。殺してもいいが後始末は自分の手で」

「了解っス」

「宜しく」


 その男の指先から極細の魔力の糸が北高生に伸びていることに、その場の誰も気づいていなかった。

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