ビッチすぎるよ!冴子ちゃん!

サマエル3151

第1話 売れない小説家 ラッキースケベもあるよ

前書き


Amazonの Kindleで僕が学園のアイドルと付き合えた理由を販売中。よければそれを買ってくれると幸いです。


 では、本編どうぞ




 



  ビッチすぎるよ!冴子ちゃん!


 

                              サマエル





「なんじゃこりゃ!」

 僕は読んでいたライトノベルを放り投げた。


 僕の名前は三和真吾(みわしんご)。33歳の無職の男性である。

 話せば長くなるが、僕は小学生の時に不登校でドロップアウト、それから社会のレールに戻れぬまま今に至る。


 いや、一応、バイトとかはしたよ?でも、仕事が遅くてクビになってそのまま無職生活に至るのだった。


 しかし、不登校になった期間からただ単に漫然と時を過ごしていたわけではない。僕はライトノベルを読み、他にも政治に関する本や哲学に関する本なども読み学識を深め、そして20歳の頃には小説を書き始め、ありとあらゆる新人賞に応募した。結果は全て惨敗(ざんぱい)。惨めな結果に終わった。


 そして、今2020年。世の中がコロナで大問題になっている昨今、テレビアニメ化もされて大ヒットしたライトノベル『俺、異世界で無双勇者目指します☆』を勉強のために買って読んだのだが、それがまあくだらないこと、くだらないこと。


「いや、くだらなくはないさ。文章自体は読みやすい」

 ただ、異世界に行って普通に冒険者になってスキルを覚えるというのは・・・・・・・。


 違和感が多すぎる。ライトノベルを読んでいたのは10代後半までで、その時以降は映画なり、海外の文学なり、哲学書を読んでいたのだ。だから、僕が読んでいたライトノベルというのは古本屋で買った。90年代の、2000年初期のライトノベルが大半で、そこからの知識とそして、アニメとか読んでいた知識で作っているわけだから・・・・・


「まさか、ライトノベルがこんなにくだらなくなっていたなんて想像もしていなかった」


 この無双勇者は。今あるネット小説のカウンターカルチャーで、ネット小説の異世界転生のお約束をことごとく破った小説で、レビューでも大変好評なのだが。


「だが、そもそも異世界転生に興味を覚えない読者には絶対にささらない作品だ」


 なぜなら、僕がそうだからだ。90年代、2000年代初期のライトノベルばかり読んでいた最近の異世界転生者は全く刺さらない。一体あれの何が面白いのだ?というより。


異世界転生者の世界観はゲームのRPGが軸になっているけど・・・・・・


そんなにもゲームが好きなら、ゲームの会社に就職してください。

 

僕が世の中の異世界転生を出している作者に言えるのはこれで十分だ。


「ああ」

 ちらりと時計を見る。短針が11時を指している。


「腹減ったな。何か食うか」

 俺はいそいそと準備を始めた。




 今日は9月の2日。残暑の頃。しかし、最近の異常気象で残暑といえど、全く暑さが和らがない日本の秋。そんな猛暑の中、今日は岡山駅に来た。俺は大元駅近くのアパートに住んでいる。というか両親が住んでいるのを俺が寄生しているわけだが、しかし、働けない以上どうしようもない。


 そして、久々に岡山に来て、岡山駅前のおしゃれなファミレスに入っていった。


 それにマスクをつけた従業員が対応してくる。ちなみに俺はつけてない。いや、持っているんだけどね。何せ、まだ暑いし。人気がいないところでは外すようにしているが、岡山駅前のファミレスについたからつけておこう。・・・・・・よし、大丈夫。


「はい。ひとりです」

「はい、ご注文がお決まりでしたらお呼びください」

 と、メニューを突き出して、ウェイトレス入った。それに俺は遮った。(さえぎった。)


「いえ、ナポリタンと抹茶パフェとホットコーヒーをください」


「はい、かしこまりました。ナポリタンと抹茶パフェとホットコーヒーがお一つずつ、と」


「はい。パフェとコーヒーはナポリタンが終わってからで」

「了解しました。メニューをお下げします」


 そして、ウェイトレスはメニューを持つといそいそとレストランの中へ入っていった。


 ふと、視界に黒が揺れた。


 黒い方に目をやると、そこには腰までかかるサラリとしたロングストレートヘアの女性が一心不乱に本を読んでいた。一番目を引いたのはその黒髪。しかし、顔も絶世の美女かくやという顔立ちで、本当にすごい美人だし、胸も白のブラウスが窮屈(きゅうくつ)だと言わんばかりにパンパンと盛り上がっていたし、しかし、あまりに端正な顔立ちにまるで女神を連想させるような上品さを感じさせて、爆乳が変に下品には感じられなかった。


 そして、彼女のアンダーは紺のスカートを履いていて、とても、彼女の上品さに磨きがかかっていた。

 これは、声をかけるしかない!


 俺は気分で、気に入った女の子には声をかけている。ただ、今までの経験からは全てドン引きされたが。


 ここで、注意が必要なのはここはレストランの中だ。こういう行為は店側はかなり快く思わないケースが多い。なので、相手が少しでも嫌がったら辞めるということを鉄則にするのだ。


 そして、俺は臨戦態勢のオーラを纏い(まとい)戦場に向かった。


「あの」

女性が振り向いた。横顔だと結構な美人だと思えたが、正面を向いたらちょっと顔が幼い。大学生ぐらいか?


「何を読んでいるのですか?」

俺はニコニコ言って話しかけた。彼女はハブを見つけたマングースのような視線を僕に送ってきた。


「スタンダールの『赤と黒』です」

「へー、スタンダール!女性はそれが好きな方多いですね。実は僕も本はうるさい方でしてね。最近じゃあようやく古典の純文学の面白さにきづいたんですよ」


 そう、ニコニコ顔で話しかける。

 女性、いや、女子はアイスコーヒーをストローでチュルリと飲んだ。


「あの、失礼ですがご職業は何を?」

「いや、失敬(しっけい)。実は僕は小説家でして。小説家と言っても電子書籍で本を販売しているんですが、ほとんど売れなくて実質的に無職です」


 そう、頭をかいて俺は答えた。

 ここで、普通の女性なら引かれるところだ。しかし、ここから、お友達になれるかどうかが、腕の見せ所・・・・・・


「へー、小説を」

 その瞬間警戒というシャボン玉がはじけた気がした。女子はまじまじとこちらを向いた。


「失礼ですが何の本を書いてらっしゃるのですか?」

「うーん。ライトノベルと純文学の中間的な作品を。しかし、これはいうより読んでもらったほうが早いですね」


「読みます」

「え?」

 思いがけない言葉に俺は戸惑った。

 女子は真っ直ぐ俺を見つめてくる。


「あなたの本読んでもいいですか?」

「も、もちろん」


「なら、クロスで連絡先交換しますか?スマホ持っています?」

「え。ええ?」


 防御の姿勢を取っていたマングースをどう崩すか?と考えていた俺だったが、しかし、意外にもマングースの方が懐に入ってきた。しかも結構押しが強いし。


 そのままクロスで連絡先を交換して、俺たちは次に会う日を約束した。

 彼女が微笑む。


「あなたはどんな小説を書いているんでしょう?何か楽しみですね」

 クロスの連絡先の名前に藤堂冴子(とうどうさえこ)という名前が入っていた。


「クロスで連絡先教えたから名前知っているとお思うけど、一応言っておこうか?俺の名前は三和慎吾。よろしく」

 俺は藤堂さんに手を突き出した。

「藤堂冴子です、よろしくです」


 俺たちは握手をした。

 その時注文のナポリタンが届いた。

「お、いただきます」

 ナポリタンをフォークですくって食べる。それにクスクスと東堂さんが笑っていた。


「何だ?」

「いえ、男の子でもパスタ注文するんですね」


「ああ、美味しいからな」

「でも、足りてますか?」


「大丈夫だ、抹茶パフェも注文したから」

 それに東堂さんの目が丸くなる。


「男の子なのに、パフェ食べるんですか!?」

「ああ、それと、男の子っていう言葉できればやめてくれない?僕、今年でもう33なんだけど」


 そう、ナポリタンをすすりながら話しかけた。

 いや、相手は白のブラウスを着ているからな。パスタをすすりながら話すのはやめておこうか。

 それに東堂さんがああ、と言った表情をした。


「でも・・・・」

 啜る(すする)のを一旦やめる。

「でも?」

「三和さんて、なんか男の子っぽい」

「まあ、無理強いはしないけどな」

 そして、東堂さんはハタと何かに気づいた。


「あれ?今、12時半。あれ?いつの間にこんなに時間がたっちゃったのかしら?私も注文しよう」

 東堂さんはカルボナーラを注文して、また俺の方に目を向けた。


「三和さん」

「はいよ」


「抹茶パフェ分けてもらってもいいですか?」

「いいとも。でも、スプーンが一つしかないから間接キスになるかも・・・・・・」

 それにクスクスと東堂さんが笑った。


「気にしませんよ。私は中学生ですか?」

「それもそうだね」

 そして、二人してクスクス笑う。

 それから二人ともパスタを食べ終え、パフェがきた。

 俺は食べ刺しのパフェを東堂さんに突き出す。


「ほれ、好きなだけどうぞ。先に少し食ってしまったけど」

「はい。いただきます」

 この店ではショートサイズのパフェだが、結構量はあった。普通のパフェと同じぐらいの量だ。まあ、だから俺はこの店に来たんだが。

東堂さんは、二口、パフェを頬張る。


「東堂さんて」

 東堂さんがガラスの瞳をこちらに向ける。


「かわいいね」

 その時、大きな鼻息が聞こえた。そして、東堂さんは手を顔に挟み込んで顔を赤らめた。


「どうも、ありがとうございます」

「容姿とこじゃなくてさ、なんか食べているときの仕草が可愛かったよ」


 そう、まるで小動物のような感じで可愛らしかった。

 また、顔を赤らめる。


「どうも、ありがとう」

「うん。じゃあ残りはいただくわ」

 そして、残りのパフェを食べ終えた後、コーヒーもっていると東堂さんが昼食を食べながら話しかけてきた。


「また、明日、会いませんか?できればあなたの小説を見たいです」

「明日ねぇ」

 大学生なのか、平日でもOKなのか。


「明後日はどうだ?会いているか?」

 それに東堂さんはガラス瓶の表情をした。

「はい。空いてます」


「よし、明後日にしよう」

 でないと心臓がもたない。今日知り合ったばかりの美少女に2日練奥で会うなんて。東堂さんもパスタを食べ終えて、パフェとコーヒーを食べていた。


「俺、小説歴10年ぐらいあるからさ、結構書いてきたんだよね」

 それに東堂さんが納得したかのようにうなずいた。


「なるほど、なるほど」

 東堂さんが狐の目をする。


「食べます?」

 東堂さんのパフェはキャラメルパフェだった。俺はスプーンをもらった。


「いただこう。このキャラメルアイスの部分を頂いても良いかな?」

 東堂さんは狸の笑みをした。

「どうぞ、どうぞ」

「じゃ、いただきます」


 一口食べてみる。キャラメルの甘さが良い感じにしつこく舌に残った。


「はい、ごちそうさま」

 僕はスプーンとパフェを返した。

 東堂さんは満月の笑みをする。


「はい、お粗末様(おそまつさま)でした」

 それから、東堂さんはパフェを食べ終え、僕は言った。


「じゃ、出るか」

「はい」


 先に東堂さんが立ち上がって、レジに向かおうとしたその時。

 そばにある観葉植物の枝がスカートにかかって、もろにパンティが見えた。

 デカかった。パンティーを履いていたが、それからはみ出るほどの桃尻でかなりエロかった。

 俺はさっと目を逸らした。

 すぐに東堂さんも気づいて、スカートを直す。


 そして、ちょっと怒ったような顔をしてこちらにキッと睨み(にらみ)つけてきた。


「見ました?」

「いえ、何も」

 まだ、睨んでいたが、ふっと緊張を下ろした。


「まあ、見てないならいいです」

 ごめんなさい。見ました。今晩のおかずにさせていただきます。すみません。

 そう、嬉しさと、後ろめたさの感情で俺の心はいっぱいだった。

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