第41話 頑張っているのに

やばい、死にそう…息できないってちょっとコルセット締め過ぎやしませんか?


「もうよくないですか…」

「いや、まだ全然ですよ」


そんなやりとりをいくつか交わし、数十分コルセットと格闘した。


「ツキノ様、お疲れ様でした。」 


あのコルセットからだいぶ時間が経った。やっと解放される…そう息をつくのもあっという間ですぐ準備が出来たと案内された。案内された場所には、すでにレティ様が座っていた。


「待ってたわ。ドレス着てきたのね!良く見せて頂戴」


そう言われ、どうすればいいのかと戸惑いつつレティ様の居る所まで行き、くるっと一回りした。正直、ドレスとは無縁だったからどう見せるのが正しいか私にはわからなかった。


「やっぱり、アオイにはそのデザインが一番似合ってるわ」


私の目は、間違いなかったというようにレティ様は私をよく見た。


「こんなにも綺麗なドレスを送ってくださりありがとうございます」

「いいのよ。アオイにもこういうドレスは一つ必要だと思っていたのよ。気にすることはないわ。それに私が最初にドレスを送れて嬉しいわ。話は、ここまでにして本来の目的のお茶しましょうか」


私は、ドレスを踏まないように慎重に席まで向かった。はず、なのになぜ私はグレンさんに支えられているのでしょうか。そう、ドレスを踏んでしまってコケそうな私を支えてくれたのだ


「支えてくださってありがとうございます」

「いえ、ツキノ様慣れてないのでは…と思ったので近くに居てよかったです」


それから、グレンさんに支えてもらいながら今度こそ慎重に席に着いた。


「改めて、アオイ。美容院オープンおめでとう」

「ありがとうございます。オープン出来たのもレティ様が声を掛けてくださったからです。まさかこの国で自分のお店を持つことが出来るなんて思ってもみませんでした」

「私は、私がしたいことをしただけよ」


そう話すレティ様はとてもカッコよかった。


「そういえば、聖女様についての話をしてもいいかしら」

「あ、はい。何かありましたか?」

「口が軽い、アルに ちょっと探りを言えてみたの」



数日前…


◇◆◇



「アル、少しいいかしら?」

「何でしょうか。私は、今聖女様で急いでいるのですが?」

「貴方から見て、聖女様はどういう方なのかしら。私は、最近忙しくて会えていないから聖女様と一番長い時間居る貴方に聞いた方がいいと思ったのだけれど…」

「セナは、外見から内面まで美しく魔法に関しても優秀な子です!」

「そう、あれから魔法上達したのね?」

「いや、それは…勿論です!セナが本当の聖女様なのですから使えて当たり前ではありませんか。前回は急な覆う税の前での披露でいつの調子が出せなかっただけです!」


この感じだと、まだ魔法の部分ではうまくいっていないようね。


「それならば、この国の聖女様についてや国についてはもう勉強されたのよね?」

「あ、当たり前です!」


全て覚えろとは私も言わないけれど、簡単な歴史ぐらいはやらせときなさいよ。アル!アオイはこちらが何も言わなくても自分で図書館に出向いて知識をちゃんとつけているのに…何をしているのかしら。やっぱり聖女様は…まだ分からない事を決めつけてはいけないわよね。まだ調べることはありそうね…



◇◆◇



「聖女様、まだ魔法を使えないぽいのよ。魔法関連の話を聞けばちゃんと答えないのよ。アル」

「魔法が使えない…それは不味いんじゃないんですか?言ってはあれですが…聖女様は魔法が使えないのであれば居る意味がないのでは…?」

「そうね、魔法が使えなくても。せめて、国の歴史ぐらいは把握しないといけないのにそれもして無いみたいなのよね。聖女様ではない、アオイはちゃんと把握しているどころか色々頭に入れてくれているのに…夫とアルは何を考えているのかしら」


私にもわからない。勉強も魔法もしず、この国で何をしているのか。私は、ここに来てから自分が出来ることを精一杯やっているつもりだ。結果が出てるかは分からない。それでも私に親切にしてくれる方々の役に立ちたいとは思ってる。だから、勉強しているのだ。まだ、先が見えず不安だけど頑張るしかない。そう思いながらレティ様を見た。

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