第34話 星空に願いを 

こんなにも綺麗だったんだ…知らなかったな。私は、今部屋の外で星を見ている。レティ様がお帰りになってからやることもなくぼーっとしていたら時間がいつの間にか夜になっていた。ずっと布団に入っていたけど寝れずに思い切って外に出ようと思った。まぁ、勿論扉の前にいる護衛にバレるんだけど…


「ツキノ様、どうかいたしましたか?」


今日の護衛は、グレンさんみたいだった。


「実は、寝れなくて…外で星を見たいなって思って」

「風邪を引くといけませんから、少しだけですからね」


この部屋を出てすぐ近くに外に出れる場所があった。私たちはそこから外へ出た。


「わぁ、綺麗…」


それ以外出てこないような、凄くきれいな星空だった。いつもの窓から見ている景色とは別格。細かいダイヤがまんべんなく空に散らばっているみたい。


「ここは、あまり明かりもないですし、周りに何もないですからね。綺麗に見えますね」

「あ、今!流れ星!」

「流れ星とは…?」

「名前の通り、流れる星ですね。私の居た国では、それを見た時に願い事をすると叶うと言われてるんですよ。まさかエルメルトでも見れるなんて」


流れ星があるとは知らなかった。もう一回見れないかな?願い事するの忘れてた。あ、また流れた!今度はお願い事しなきゃ。


「グレンさんもなにかお願い事を!」

「願い事ですか…」


少し悩んでから、私と同じように手を握った。この国が救われますようにと願った。


「グレンさんは何をお願いしたんですか?」

「秘密です。叶ったら教えますね」


そう言いながら口元に指を当ててる姿はカッコよすぎた。つい、見惚れてしまった。


「そろそろ、戻りましょうか」

「そうですね。ありがとうございました」


さっきよりは、気分転換をしたことで眠気が来たようだ。布団に入ったところすぐ意識は無くなった。



◇◆◇



「聖女様がアオイに言ったのね」

「はい、本当にご迷惑ばっか…」

「いいのよ。頼ってくれて、私は嬉しいわ」


今日は、レティ様の部屋にお邪魔してこの前の事件の話をしている。話を進めていくとレティ様がある可能性を話した。


「もしかしたら、お茶会に来たのも偶然じゃなかったら…アオイを脅すために」

「可能性はありますね。星宮さんはグレンさんが好きらしいみたいですし」

「そうなのグレン?」

「なんか、聖女様から色々聞かれるなとは思ってました」

「まぁ、まさか王妃と繋がってるとは思わないわよね」


確かに私みたいな人が王族と仲良いとか思わないよね…


「母上、とことん潰しましょう」

「そんなの当たり前じゃない、でも聖女様なのよ。彼女はあれでも」

「そうですね。アオイの方が魔力も上だと言うのに…」

「確かにあれには驚いたわ。使えないと聞いていたから」


森に行って急に覚醒した魔法の事だろう。あれは私も驚いた。使えない、魔力がないに近いと言われたんだから…未だに原因が分かっていない。


「私も、びっくりしました」

「それにしても、ルイ聖女様には興味ないのにアオイの時は全く違うわよね」

「それは…聖女様があんなですからね。なんで兄もあれに惚れてるのか…」


うわぁ、みんな毒舌…何か惹かれる所があったんじゃないかな?そこからこれからどうするべきかなどを話し合った。ちなみに私は誰かと常に一緒に居た方がいいと言われた。色んな人に目を付けられてると自分でも自覚してるから分かったと言った。まぁどこに居ても護衛はいてくれるから大丈夫だと思うけど…


「私の方でも聖女様がどんなか探ってみるけど…気を付けなさいね」

「私が、部屋まで送るよ」

「でも…」

「剣の腕はいい方だからは安心して」


心配になってレティ様の方を向くけど安心しなさいって顔しないで~本当にいいのかな…


「お言葉に甘えてお願いします」


ルイ様の護衛もいるらしいからちょっと安心した。私たちはそのまま部屋を出て歩き始めた。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る