第31話 暗い道の中で

集中が切れたところで窓から外を覗くとだいぶ暗い空になっていた。私は気づかないほど集中して読んでいたみたいだ。遅い時間まで図書館に留まってしまってウィルさんにもグレンさんたちにも申し訳ないことをしてしまった。


「夢中になってしまってこんな時間まで…」

「問題ないですよ。熱心なことはいいことです。もう暗いですから早めにお部屋に戻った方がいいでしょう」


うぅ…ウィルさん優しい。図書館に来て知りたかったことが少しは分かったからよしとしてすぐ帰ろう。図書館を出て、すぐの道は明かりがあり明るかったが進むにつれて光は弱くなっているそれがまた怖い。後ろにいたグレンさんが私の隣に来て聞こえないようにだろう耳元で話してきた。


「ツキノ様、何者かが私たちの後をつけています。もうすぐ、さらに暗い道なのでそこで狙ってくるかもしれません。万が一、ツキノ様に危害を加えるような事をするようなものでしたら侍女たちとライナと部屋まで走ってください。私とクラウスで足止めをいたします」

「分かりました。ありがとうございます」


私は、何も気づかなかった。グレンさんたちは三人とも気づいていたみたいだった。ここから、グレンさんが言っていた道だ。緊張しながらも変わらないスピードで進む。急にある声が道に響いた。


「急に、悪いがあんたには死んでもらわなきゃいけないんだ」


うっすらとしか見えないがいつの間にか前に人影がある。それに死んでもらわなきゃいけないという言葉。前だけではなく後ろにも仲間がいるみたいだ。


「ツキノ様!お逃げください!」


その声で一斉に剣が当たり合う音が響いた。前の敵をクラウスさんが抑えてくれているうちに私は言われた通り部屋まで走った。まだ少し距離はあったが私があそこにいたらただの足手まとい。はっきり言って邪魔だ。あんまり体力がないはずだが、魔法の練習をし始めたからだろうか前よりは体力がついている気がする。息を荒げながらも部屋に着いた。


「ツキノ様、お入りください!私は外で護衛を。侍女もなんかあった時の為に準備を」


「「分かりました!」」


部屋の中からでも剣の音がまだ聞こえる。きっと、グレンさんたちなら大丈夫と自分に言い聞かせる。少しすると剣の音は聞こえなくなり終わったという事は分かった。でもどっちがどうなったかは分からなかった。こっちに走ってくる足音が響く。その音で、全員の顔が緊張に染まる。扉が開いた時に見えた顔で安心して力が抜けた。


「ツキノ様!お怪我はありませんか?」

「はい、私は大丈夫です。グレンさんたちは大丈夫ですか?」

「大丈夫です。さっきの者らは気絶をさせて縄で縛ってきました。ですが、放置してきてしまっているので騎士団に引き渡してきます。もう夜遅いですしツキノ様はお休みください。」

「ありがとうございます。そうさせてもらいますね」

「クラウスが護衛にいますので安心してください」

「はい、分かりました。クラウスさんお願いします」


そう言ってライナさんとグレンさんは部屋を出ていき、クラウスさんは部屋の前で護衛をしてくれた。休むと言ったが寝るのが怖い…ここ最近こんなことばかり本当はここ何日かは眠れていない、警戒しなきゃいけないのだが精神を結構使うのだ。でも、こんなことまで起きてる意味警戒心を解くことは絶対に出来ないだろう。今夜の事を忘れたいがために目を瞑った。まさか、今日襲ってきた者があの人の命令だとは知らずに…

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