第33話 のじゃロリ×少女ドラゴン①

娘を蘇らせる覚悟を決めたラニャ。

その方法は常に考えているが、今日も今日とて客は来る。


午前中は人間の客で占いをした。

商売のことで店を構える方角、場所、時期などの相談だった。


午後は神秘系の依頼。

ガチャッ

「こんにちはー……」

「いらっしゃいませ~♪ご予約の方ですか?」

「あっ、はい!ティアっていいます!一応人の姿にしてるけど、ドラゴン、です!」


今日の依頼主はドラゴン。

先日神にあってしまったのでもう誰も驚かない。サロ以外は。

「まぁ、ドラゴンですか!?すごい!ここもすごい方が来るようになりましたね~。」

「そうっすね~あ、お茶出さないと。」

「そちらのソファーでお待ちくださいね~♪」

「は、はい。あ、あれ?あんまり驚かれない?」


ティアという少女ドラゴンは前髪が両目が見えないくらい長い。図書委員長とかやってそうな地味少女ドラゴン。帽子をとったら角が二本生えていた。


~数分後~



「またせたのぅ。わしが主人のラニャじゃ。」

「はじめまして、ドラゴンのティアといいます。」

「ドラゴンか。ドラゴンはうちでは初めての客じゃな」

「そうなんですか?その割には皆さん落ち着いてるような……」

「まあ、最近色々すごい奴に出会ってのぅ……」

「そうなんですか?てっきり私が地味だから驚かれないのかと思いました。」

「そんなことはないぞ?その前髪からたまにみえる可愛らしい瞳、それは美少女の目じゃ!わしにはわかるぞ!だって賢者だからのぅ!」

「びっ、美少女!?とんでもないです……///」

「おお、最近では久しく見ないこの反応、そそるのぅ……ジュルリ」

「店長~お客さん怖がってますよ~。はい、コーヒーっす。」

「スラ子もこのくらい慎ましさがあればのぅ……慎ましいのは胸だけじゃ……。」

「やかましか!あたしはスライムだから変幻自在だっつーの!」

「スライムなんですか?」

「そうなんですよ~♪私はサキュバスです!」

「うわぁ~!本当にみんな人外なんですね~!安心するな~!」

「わしはかろうじて人間じゃがな。むしろ人間のわしの方がアウェイじゃわい。


「で、今日の依頼はなんなんすか?」


「いやそれ!わしの!セリフだから!とらないで!お願い……」

「店長は前置きが長いんすよ~。おばあちゃんかよ。」

「おばあちゃんじゃ!初めての会話で雑談は大事じゃぞ。」

「店長はそっちの方が長いっす。」

「うわぁーん!サロー!!スラ子がいじめるよー!!!」

「あらあら。ダメですよミルカさん、ご主人様に歳の話は!」

「いや、そんな話はしてないっすよ?サロ先輩」

「あらら?」

「うわぁーん!」


「賑やかでいいですね~。」

「あーごめんなさい。ご依頼内容を聞いてもいいですか?」

ルーがとっさに仕切り直す。

最近はこのパターンが多い。


「はい!実は、人間の食事に興味があって!」


ティアによると、ドラゴンの数は激減しているらしい。理由として食糧問題がある。


ドラゴンは大食で、牛一頭を毎食食べることもできる。しかし、その食事量で生きていくことは出来なくなり、その辺が上手くいったものは生き残ってるらしい。


「人に化けられるものは人とおなじ食事量にできているですが、私はどうせ食べるならおいしいものが食べたいんです!」

「まあ毎回生肉ではのぅ……」

「そうなんです。なので、何か私に作れそうな肉料理を教えてほしい、というのが依頼です!」


「ついに料理教室が始まるのか、ここ……もう何でも屋じゃな。」

「元からそうではございません?」

「えっ、そうなの?」


今更な事である。


「肉料理か。ならあれじゃな?」

ラニャはルーを見る。

「あっ!師匠のアレが久々に!?」

「やるかー。今日の夕飯じゃ。」

「やったぁぁあ!」


ルーの大好物。

ルーが初めて食べた人の料理。



「ハンバーーーーグ!!!」






つづくのじゃ!


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