第3話 のじゃロリ元賢者の生態

「んん……?もう昼か……。」


 一人で暮らしているラニャ・オウルは非常に自堕落な生活を送っている。


 白髪のロングヘア―、赤い瞳、14歳ぐらいの見た目。

 語尾は「のじゃ」「のぅ」「ぞえ」など年寄り臭い。

 それもそのはず、彼女の実年齢は不明だがおよそ60は超えているのだ。


 これは自ら望んでなった姿。

 ある事実を忘れないために。



 家の中では、いつも大きめのTシャツと短パン、変なウサギのスリッパをはいて、酒の瓶を傍らに置いている。


 あらゆる魔術に精通し

 基本杖なしでもある程度の事はできる。


 属性魔術・補助魔術・呪詛・召喚術・陣術・解呪・・・・・・

「コポコポコポ・・・・」

 さらに彼女は錬金術にも精通しているため毎日色々な薬を調合している。

 錬金術で開発、調合した【のじゃロリ霊薬】という適当な名前の薬で若さを保っている。



 かつては軍人だったらしいが、様々ないきさつで一度は賢者にまでなった魔術使いだ。


 賢者とは、

 誰にも到達できない魔術に到達したものに与えられる称号。


 うわさによるとラニャは錬金術の最高到達点


 【賢者の石】


 これを作ったことで賢者になったらしいが、すぐ後にその世界から退いたので嘘か本当かは、本人しかわからない。


「よしこれで、ゴクゴクゴク・・・・ぷはー変な味じゃのう」


 今週分の霊薬を飲み干した。





 彼女の家兼仕事場の占い処【モーニング☆スター】は それなりに人も予約も来るが、本人の性質上、営業は昼からだった。


 占い事体も占星術、風水、タロット、など色々できるため結構な評判で 裏家業の【神秘系】の裏の仕事もたまにある。


 失せ者探し、解呪、心霊相談、またもっと特異なケースもある。

 めんどくさがりで自堕落な彼女だが頼み事は断れない性格が結局彼女の良さであることに周りの人間はわかるのだろう。



 しかし、

 彼女が元賢者だと知って頼ってくるものも入れば、 彼女の命を狙うものも少なくないのが現状だった。




 今日最後の依頼人カップルの旅先の占いをするラニャ。


「んんー、旅先では水に注意じゃのぅ。いくらきれいでも生水は絶対飲まず、なるべく川とかには行かんようにすべきじゃな。」


「避ける方角は北東。ラッキーカラーは黄色じゃな。黄色の物を多めにもっていくとよいのぅ。」


「タロットは【愚者】の逆位置か。まあ、お互いよく話し合って色々決めるんじゃな。」


・・・・


「ありがとうございました!」


占いを終えて帰って行ったカップル。


「さて、今日は店じまいじゃの。」


ソファーから立ちあがる。と、


バラバラバラ・・・・


さっき使ったタロットが机から落ちて床に広がった。


「あー……めんどくさいのぅ……」


仕方なくひろうが、カードが一枚表になっている


「【塔】の正位置か……」

「一応結界もしておくかの。」


といってラニャはチョークで扉の近くの床に五芒星の陣を書いた。






ーメモー


属性魔術:火・雷・水・風など自然の事象を利用した攻撃系魔術


補助魔術:強化・軟化、重くする・軽くするなどの物質に作用する補助的魔術


呪詛:相手を呪い死に至らす術。「直呪詛」と「媒介呪詛」がある。


召喚術:使い魔や精霊を呼び出し使役する術。コストが高い。


陣術:地面に陣を書き、罠にはめたり回復したり、特殊なフィールドを築いたりする術。


解呪:呪詛に対するアンチマジック。呪いを解く


錬金術:調合、変成を通じて素材の力を通常より大きく引き出し新たな物質を生み出す術の総称



※この物語はフィクションです。

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