第20話
「とりあえず、練習相手を探さないと、私も奏空もできないよね」
「そうだね、とりあえず、緊急時にはここに電話かけてくださいって言われてたから、そこに電話かけてみよ」
「奏空、お願いできる?」
「了解!」
と、なんかお世話さん?から支給されたスマホからその番号に電話をかけると、颯爽と私たちがいる体育館にそのお世話さんは現れ、私が今起こったことを話すとすぐさま電話をかけ始めた。
「…大丈夫そうですか?」
「ええ、練習相手はダブルスのときに必要になられるだろうとこちら側も考えていて、その練習相手の1組を呼んだ次第です。少々お待ちください。多分その3分もかからずに来れると思うのですが…」
「そんなに早くですか…?」
琉愛が驚いたような声をあげて聞いた。私も驚いてるけど…。
「勇者様と聖女様の練習に合わせて、どんな対応でもできるようにこちら側も準備いたしております。ご飯や水分補給、怪我などの対応をすぐさまできるようにするのが私たちの使命ですので」
「…そんなにこの対決って重要なんですか…?」
「まあ、昔とは違って、領土を奪い合うなどの野蛮なことではなくなりましたけれど、実際はどちらの方がより優れているのかということを決定づける、いわば、『戦』ですから、ぼろぼろにやられるのはこちらとしても恥になります」
と、無表情で語るお世話さん?の方。
「まあ、でも、ある意味、こういう大会で勝った方が準備した私たちもうれしいというかなんというか、心地いい気分になるので、万全な環境で戦ってほしいのです」
と、表情をやや緩めるお世話さん?の方。
「ちなみになんですけど、お名前はなんって言うんですか?」
「私ですか…?あっ、名前を言っておりませんでしたね。紫田未来(むらたみく)と申します。以後よろしくお願いたします」
やや緩んだ表情であれば、聞けると思ったのか、琉愛が名前を聞き出すと、すぐに答えていただいた。
「こちらこそよろしくお願いします」
お辞儀にはお辞儀を返すのは日本人のいいところだといつも思っているけど、ここの世界でもそうなんだろうなと思いつつ、紫田さんがお辞儀をしたので、私たちもお辞儀で返す。
「「よろしくお願いします!」」
とお辞儀をしていると体育館の入り口の方から声が聞こえる。
「あっ、練習相手の方が来たようです。あちらの対応は他のものに任せておりますので、しばしお待ちください」
と練習相手の来訪を告げる紫井さん。
「どんな方が練習相手になってくださるんですか?」
と、琉愛が聞くと、紫田さんは淡々と作業のようにこう答えた。
「人間界ランク1位の日本人の女子ダブルスのペアの方です」
と。
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