第10話 独白

 あはは……じゃないよ。またねじゃないよ!


 わかるに決まってるじゃない! あなたの字だもの……!


 あなたが不器用なのも、愛してくれてたのも知ってたよ……なんでお金のことには気が回るのに、他のことには気が回らないの……?


 どうして勝手にいっちゃったの?


 幸せを願ってくれるなら一緒に居てよ!


 一人で生きろなんて言わないでよ!


「……そっか。もうどんなに叫んでみても、あの人は抱きつかれに来てくれないんだ……」


 悲しいとき、辛いとき、苦しいとき、あの人は近くに来てくれた。自分から抱き締めてくれることはほとんどなかったけど、確かに来て、わたしが抱きつくのを許してくれた。


 たとえわたしが心で泣いているときも……来てくれた。あのお葬式のときのように……。


 あなたは……本当はすごく、やさしいんだ……


「どうして最初からなついていたか、知りたいなら教えてあげる……。

あなたが優しい人だって、わかっていたからだよ……ばーか」


 わたしもずっとだいすきだよ。

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