短い物語たち

小木原 見菊子

スピカ

 風で髪が舞った。


 広い草原を、歩いていた。


 緑の匂い。


 風の匂い。


 どこかで水音がした。



 小さな椅子に、あなたが座っていた。


 優しい微笑みに泣きそうになる。



 あなたの優しい手には、琥珀こはくの石。


 日の光を浴びて、きらきらしていた。



 ……私の問いに、あなたは微笑んだ。


「あなたの思うままに。それが答え」



 私は紅茶を淹れた。


 あなたはゆっくりと飲み干した。



「ありがとう」


 私の声に、あなたは微笑んだ。


 琥珀こはくを受け取ると、青く光って空に登った。




 



 


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