3 ショッピング

 洗い物も終わり、しばらく食休みでゴロゴロした後、俺達は買い物へと出掛ける事にした。


「えーっと……似合う、かな?」

「似合う似合う」


「これはこれは?」

「いや、すげえ似合うな」


「これはどうかな!」

「いやお前冗談抜きで何着ても似合うな。天才かよ」


 電車に暫く揺られて辿り着いたショッピングモールにて、色々と服を試着するメリー。


「えへへー。そんな事ないよー」


 次第に機嫌が良くなっていき、最初は自信なさげだったのに今ではドヤ顔だ。

 可愛いなコイツ。いや、冗談抜きで。

 本当に何を着ても似合うんだ。

 メリーが楽しんでくれればだとか、満足してくれればと思って此処に来た訳だが、思いの他俺も楽しい。


 ちょっとコイツ可愛すぎじゃないかな。

 こうなってくると……昨日までの自分が、僅かな時間だけでも彼女の事を明確に敵と判断して、畏怖の念すら抱いていた事に大きな違和感を覚える。

 そんな無茶苦茶な感情に、違和感を覚えない訳がない。


 ……いや、分かる。分かるんだ。


 違和感こそあっても、そんな感情を抱くに至る理由は理解できて、寧ろこの短期間でその感情に違和感を感じる事の方が無茶苦茶で。

 それは分かっているけれど……でも、俺の感情の動きの事なんてどうでもいいんだ。

 俺の事なんて、本当にどうでもいい話なんだ。


「よし! 将吾! これなんてどうでしょう!」


 ドヤ顔と共に現れるメリーが幸せそうなら、それでいいんだ。

 そうしてメリーはその後、肌着や部屋着などを含めた品々を購入。

 とりあえずここの所は俺が立て替えて置いた。

 当然立て替えでも結構な痛手ではあるが別に良いだろう。

 メリーの為ならその位は別にいい。

 悪い事なんて何もない。

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