第2話やっぱり女性基準を超えるのは難しい

「なぁどうなったんだよ?」

「何だようるさいな」

 昨日合コンに一緒に行った最上正道もがみまさみちがしつこく訊いてくる。

「いい子いたって話しだよ」

「いたよ」

 俺は自信満々に答えた。

「誰?」

「あの一番人気の「えーお前星野さん。すごいな」

 正道は俺が全て答える間もなく食い気味で話しを遮った。

 人の話しは最後まできちんと聞こうね。

「違う違う」

「あーそれじゃあ近藤美香だ?」

「違う違う」

「後誰だっけ?」

「ほらいたじゃん地味系の」

「名前は?」

 名前は確か……。

 やべー聞き忘れた。

 正道俺名前を訊くことすらしていなかった。

「お前幻でも見たんじゃねーの」

 そ、そんなバナナ。

 あれが幻だなんて。

「ちなみにお前は出来たのかよ?」

 正道は何も答えずにその場を去って行った。

 ご愁傷様です。


「ようモアイ」

 俺に話しかけてきたのはこの前合コンを開催してくれた待合崇(まちあいたかし)だ。

「また合コンやるんだけど来るかい?」  

「行く」

「了解」

 次こそは必ずものにする決戦の地へと向かった。


『カンパーイ』

 の音頭で今日の合コンがはじまりをつげた。

 デジャブやん。

 これしか最初の挨拶はないのかね。

参加人数は俺を含め男性はいつもの三人と女性も三人、見た目的にはみんな美人、外れはいないな。

「当たりだな」

 崇は自信満々の表情をした。

 あのドヤ顔腹立つわ。

 まぁ何にせよ、当たりだわ。

 俺は指定された場所について、横の女の人に話し掛ける事にした。


「な…何歳ですか?」

 やべー。

 またかんでしまった。

 これもデジャブやん。

「あなた女性と付き合った事ないでしょ?」

「な…ないですよ。何でですか?」

「女性に年齢訊くなんて正気じゃないですよ」

 俺も別に話す事ないから仕方なく喋ったんだよ。

「す…すいません。ちょっと女性と喋るの慣れてなくて」

 この時点で性格悪いのは分かるが、それを凌駕するほど綺麗だ。

「み…皆さんはどう言った関係なんですか?」

「同じ大学生です」

「そ…そうなんですね」

「……」

 話しが終わってしまった。

「何か趣味とかありますか?」

「……」

 またですか。

 また無視のはじまりですか。

 それから二人には会話はなく終了した。

 デジャブやん。


 次に座った人も綺麗な人だがまた無視で終わった。


 最後の人も無視で終了した。

 これまたデジャブだ。

 俺今日何回デジャブって言ったが分からないほど同じ事の繰り返しだ。


 次の日俺達は近くのファミレスで反省会を開いた。

「今回の収穫はどうだい?」

 まず第一声を開いたのは崇だ。

「「ゼロ~」」

 俺と正道はどこかのニュース番組のような発言をして答えた。

「お前らゼロって何やってんだよ。今回はみんな可愛い子を揃えてやったってのに」

「面目ねーでガンス」

「ふざけてんなよモアイ。あんな上玉二度と現れねーぞ」

「だってそんな事言ったってしょうがないじゃないか」

「だからふざけんなよモアイ。あーもったいねー」

「お前はどうなんだよ?」

「ゼロ~」

「お前もふざけてんじゃん」

「分かった。次はお前らにも似合う人を選んでやる」

「また合コンするの?」

 当たり前だ。

 崇はドヤ顔をし、正道は首を縦に振るだけだった。

 こんな話しを聞いた事がある。

 女性には男性に対してある程度基準点がある。

 その基準点を俺達は超える事が出来なかったから、散々な結果になってしまったのだろう。

 次こそはその基準点を超えるぜ。

 



 

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