第28話文化祭 調査

「隆。おかえり!大丈夫だった?!」

家に帰った俺を鈴子が心配そうな顔で出迎えた。

「うん。ただいま。大丈夫!」


「ニュースで流れてたから心配で」


「ごめん、連絡するの忘れてた」


「それにしても無人の理科室からで良かったね」


「うん。怪我人も出てないみたいだし……」


「それにしても何で爆発なんかしたんだろうね」


「うーん。ガス管の老朽化じゃない?」

実際の所は恐らくアイツが犯人。

とりあえず晴明に相談しないといけないな。


「そうね〜校舎も古いもんね。なにはともあれ怪我なくて良かった!お風呂入ってきなさい」


「うん。ありがとう」



「ハァ〜」

強張っていた身体の力がスッと抜けていく。

何で無人の理科室が爆破された?

アイツが本当に犯人なのだろうか?

うちの高校が何でターゲットになったんだ?

これから何をするつもりなのか?

俺がターゲット?

いや、日本には少なからず見える人間はいる。

それに俺がターゲットならこんな回りくどいやり方をする必要もない。

相手の目的が分かれば対策をすることもできるのに。

明日は生徒全員自宅待機。

近所まで晴明や雪・空達と行って三人に現場を見てもらおう。

三人なら誰にも見られることなく、見られても問題なく校舎に侵入できる。

もしも何かあったときに備えて天狗にもお願いしようか?

いや、調査だけで一線交える訳でもない。

晴明もいるし大丈夫かか。


「晴明、今日学校で」


「分かっておる。わしゃも居ったからの〜」


「なっ!じゃあ、不審な奴とか見なかったか?」


「綺麗すぎるくらいそういった人物は居なかった……しかし、たこ煎餅なる物は大変美味であったぞ!」


「晴明、普通に文化祭に遊びに来てたんだな」


「何かあった時の為に来てやったのじゃろう!」


「明日、晴明と空達で現場を見てきて欲しいんだけど」


「わしゃの主張も聞くのじゃ!わしゃも、明日見に行くつもりじゃ」


「俺は恐らく現場には入れないから、頼むぞ」


「任せておくのじゃ!」


「くれぐれも無理はしないように」


「お主に言われるまでもないわ」

翌日、朝の九時に俺は家を出た。

その足で空や雪を迎えに行く。

少し強い日差しに目を細めた。

どういったことがわかるのか。

それすらも分からないけれど、確実に痕跡の一つでも得ないと。

そんな焦りが足を急がせた。


「おはよう。今日は頼むよ!」


「隆が無事で良かったよ」


「何だ、雪達も知ってたのか」


「これでも、俺たち耳は早いんだよ」


「それじゃあ、行こうか!」


「そうだな」

俺達はこの日、見たことのない晴明を見ることになる事をこの時は知る由もなかった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る