第5話 一人

あの後、沢山の話をした。

どのように生活してきたか。

生きていた頃の話、霊になってからの話。

どれも興味を惹かれる話ばかりだった。

空も雪も、火事で死んだらしい。

死人の話を聞いているのだが、どこかファンタジーの世界のように聞こえる。

物語を終え、また来るよと。小指と小指を握り合う。

必ず会う。そんな気持ちを抱く。初めての友人との出会いはトラブルからだが、だからこその強い思いがお互いにある。


「ただいま~」


「おかえり! 楽しんでこれた?」


「うん! とっても」

余程、顔が楽しそうだったのだろう。

そして、頼み事もされたのだ。

京都の北にある、鞍馬寺近辺に住む天狗に会って渡してほしいものがあるとのことだった。

風呂敷に包まれた、それの中身を覗くのは裏切りな気がする。

京都の北西に位置する鞍馬。

山伏の恰好をした天狗が、義経に平家を倒すことを勧める。

そしてその為の、武の稽古を義経につけたという。

空を飛翔できるとも言われる天狗。

そんな実在するのか分からなかった天狗は、どうやら実在するらしい。


しかし、今度その天狗に会いに行かなければならない。

そして天狗と知り合いだった空と雪は何者なのだろうか。

様々な疑問が生まれてくる。

今度会ったときに、二人に聞いてみるのも悪くないだろう。


部屋に戻ると、緩んだ顔が少し元に戻った。

部屋の壁に貼り付けた夏休みの課題表が、冷徹にこちらを眺めてくるのだ。


「課題を終わらせたチェックの数、少し寂しいな……」

残りの宿題と休みの日数を考えると、比較的いいペースだが見るだけで溜息が出る。

宿題がなければ、どれほど休みを楽しめるのだろうか。

だが、予備校や塾に通っていない俺から宿題を取り上げると死活問題だ。

大学進学できない可能性すら出てくる。


「隆~! 水をくれぇ~」

酒に酔って、ぐったりとしている。

安倍晴明とは、思えない姿だ。


「こんなになるまで呑むなよ! 完全に酒に呑まれてるじゃないか~」


「いや~ あまりにも呑みやすってな……」


「少し、待ってろよ~ 水汲んできてやるから」


「おぉ~ すまんのう」


「意外と酒弱いのか?」


「弱くはないんじゃがの~ なんでじゃろ?」


「俺に聞くなって~」


「うっ!」


「俺の部屋で吐くな!」


「危なかったわい! 液体が喉まで……」


「少し大人しく、横になってろよ~」

こりゃ、暫く駄目だな。

座布団に晴明を寝かせ、平和で静かな空間で宿題をこなすべくノートとテキストを取り出す。

晴明が来てから、賑やかなことが多かった事もあり変な感覚だ。

いつの間にか、賑やかな日常になってしまっていたのだろう。


「晴明に、平安時代の出来事をもっと聞いてみたいな~」

平安時代の人間である晴明と暮らしているなんて人間はこの世にいないはずだ。

そんな貴重な経験を活かしきれていない。

だが、壮絶な人生を歩んできたのだろう。

初めて壊霊を祓った時の晴明に恐れが見えなかった。

相当、危険な目に遭ってきたのだろう。


[はっ!!]

課題をこなしているうちに眠気に襲われて眠ってしまったようだ。

時計を見ると、18時30分を指している。

そんなに長い時間眠っていたわけではなさそうだ。

その証拠に晴明はまだ、しっかりと寝ている。


[晴明! 晩御飯は、食べられるか?]

晩御飯の時間が迫っており、食べられないのなら鈴子に言っておかなければならない。


[うー??]


[こりゃ駄目だな〜  晴明が食べない事を言っておこう]

それはそうと、なんと言えばいいのだろう。

酒の呑み過ぎなんて、言えるわけがない。

手頃な言い訳は無いだろうか?


[普通に、寝ているから要らないでいいか〜]

あまり、心配をさせてしまう事は言わないに越したことはない。


[母さん  晴明が熟睡して起きる気配がないから、晴明の分の晩御飯は要らない!]



[そうなの!  今夜は、晴明ちゃんの好きなお刺身だったのに]



[晴明が、あとから聞いて悔しがりそう!]


[そうね!]



[じゃあ、俺は一足先に! 頂きます!!]

鮪とサーモン、ヒラメ。

どの刺し身も美味しい。

昼間に、油物を多く食べたせいか、余計美味しく感じる。


[隆〜  今日は、お友達と何したの?]


[普通に御飯を食べて、沢山話した!]


[何日も出かける事が珍しいから、余程いいお友達なのね!]


[うん!  明後日は、鞍馬に遊びに行く!]


[仲が良いのね!  母さんも学生の時、鞍馬はよく遊びに行ったなぁ〜]


[そうなの!! どうだった?]


[碧が綺麗で、夏には丁度良いところね!

そういえば、秋に行った時どんぐりが頭に落ちてきたの。それが何故か空中で無くなって……

そんな、変な事もあったわ! 今では、とても懐かしい思い出だけどね!]


[へぇ〜 何だろう……  鳥が食べたとか?]


[さぁ〜? そうかもしれないわね!]


[そっか!  ごちそうさま!]


[もう、食べたの! 相変わらず、早いわね!]


[それだけが取り柄なんで!]

ドヤ顔をしてから、席を立った。

今日の刺し身は、本当に美味しかったな。

晴明にも食べさせてあげたかった。

そんな事を思いながら、自室に戻る。


[さて、続きをやるか〜]

少し伸びをしてから、手首をまわす。


[ぐぅ〜]

隣から、なんとも言えない音が聞こえた。

晴明が、いびきをかいて寝ている。

小さい身体だと余計に体力が必要なのかもしれない。

だが、それにしても女性感が無さ過ぎる。

どちらかというと、おっさんに近い……


課題をこなす時間はたっぷりあるが、一問一問に時間を取られていく。

夏休みの課題の6割が終わろうとしていた頃、時間は23時の少し前を指していた。


[やば!!  風呂入んなきゃ!]

何か物事を始めると、時計を見る回数が極端に減る。

そんな、悪い癖が出てしまった。

晴明を横目に見ると、いびきは無く静かにスヤスヤと眠っている。

寝ている晴明は、放っておいて一階の風呂に行く。

すると、もう入ったと思われたのだろう。

お湯が抜かれて全部無くなっていた。


[仕方ないか〜  今日は、シャワーで我慢だな]

何故か、お風呂を沸かすという考えには至る事は、無かった。

普段は、湯船には絶対に浸かるようにしている。

シャワーだけだと、どうも身体の緊張がほぐれない。

そんな、感覚がある。


[ジャーー]

シャンプーの混じったお湯が、頬を伝い床に落ちる。

天狗とは、どういう生き物なのか?

襲ってきたりはしないのか?

そもそも、見つけることができるのか?

まだ来てもいない明日に不安や疑問を抱きながら身体を洗い流していく。

このお湯で不安が流れれば、どれだけ楽なのだろう。

不安がっても仕方ないのに、その事を考えてしまう。人間とはそういう生き物だ。


シャワーだけで、かなりさっぱりしパジャマに着替え、歯を磨き部屋に戻る。


[おぉ!  風呂に入っておったのか〜]


[なんだ、起きたのか〜]


[身体を洗わないと気持ち悪くてな〜

身体が酒臭い……]


[それは、俺の忠告を聞かなかった晴明の自業自得だろ〜]


[まぁ、そう言わずに桶にお湯を張ってくれ〜]


[仕方ないな〜 行くぞ、晴明]


[やはり、おぬしは優しいのぉ〜]


[そういう晴明は、調子がいいなぁー]

本日二回目の、風呂場だ。


[猫がお湯に浸かってる……]

猫が水嫌いなのは、よく聞く話だ。

それを踏まえると、今の絵面はとてもシュールな気がする。


「隆~ 背中を流してくれぇ~」

猫となった晴明は、手が短い事により当然背中が洗えない。


最初の頃は

「あれ、届かんぞ!」と悪戦苦闘する晴明が見れた。

それはそれは、愛くるしいの言葉では収まりきらないないほどだ。


だが、諦めたのか少し偉そうに頼んでくるようになった。

仕方がないので、何も言わずに流すようにしている。


「はい、はい」

優しく、優しく、白いフカフカした毛並みにお湯を通していく。


「ホォ~」

液体のように緩んだ晴明に、こいつは猫だと自分に言い聞かせる俺。

忘れてはいけない。一応、晴明は女性だということを。

それがあるから、気が進まない。

そんな俺の気持ちに、気を使ってくれない晴明。

普通なら、とても不健全だ。


今でこそ慣れたが、少しは気を使ってほしい。


「じゃあ、ドライヤーで乾かすからじっとしてろよ~」


「もう少し、それを話してくれ~ 少し、熱い」


「あぁ、ごめん!」

危ない危ない。つい、ボォ~っとしてしまった。

晴明の綺麗な毛並みが、チリチリになってしまう。


「にゃに、笑っとるんじゃ~」


「いや、チリチリな毛の晴明を想像すると面白くて」


「おぬし、そんな邪悪なことを考えておったのか!」


「想像だから、いいだろう~」


「考えるのはよいが、口に出すのは感心せんぞ」


「口に出さないと気持ちは伝わらないから」


「ええい! ああ言ったら、こう言う!  もういいわい!」


「ごめん ごめん!」


「分かればよい! 早く毛を乾かしてくれ~」


「はい はい!」

毛が乾き、ふんわりとした感覚に晴明は包まれる。

どうやら、まだ呑み過ぎで腹の調子が良くないらしく晩御飯は要らないと言って、寝床に戻って丸い物体へと変形した。


「はぁ~」

自分も晴明の後を追い、寝床に滑り込む。

身体から力が抜け、溜息が零れる。

窓からは、月光が差し込み部屋の中を薄暗く照らす。

太陽の光をその身体に浴びた月が、その光を反射する。


陰と陽。

互いに対立した属性を持ったもの。

太陽と月は、果たしてこれに当てはまるのか。

そんなことを考えているうちに眠ってしまった。


次の日は、瞬く間に過ぎていった。

晴明も復活し、もりもりと大量の飯を平らげる。

抱えたとき「重!」と、つい言ってしまった程だ。

散歩に出かけ、宿題をこなす。

夏休みを迎えた生徒の、模範解答のような生徒だ。

自分で言っていては、ただの自負だが。


「起きるのじゃ~」


「晴明  痛い~」

晴明が俺の腹の上で、跳ね回る。

朝ぐらい、ゆっくりさせてほしい……


「鞍馬に行くんじゃろ~」


「そうだけど、痛い……」

頭が起きない。喉と口だけでその言葉を絞り出す。


「起きろ~」


「うるさーい!」

がばっと起き上がり、晴明がころころと転がった。晴明は、目を回している。

そんな騒がしい朝を迎え、ついに出発の時だ。


「いってきます!」


「は~い いってらっしゃい!」

玄関に向かう途中で鈴子に声を掛け、外に出る。

忘れ物は、たぶん大丈夫だ。

晴明を動物用の籠に入れ、歩き出す。

電車を使っての移動になるので、どうしてもそうしなければいけないのだ。

晴明は、狭いところが居心地が良いらしく、大人しくしている。


「電車で出かけるのは、久しぶりだな~」


「大丈夫じゃ! わしゃがついておる」


「いや、そういう事じゃないから」

京阪中書島駅~叡山電鉄鞍馬駅の往復切符を買う。

危うく、俺と晴明の二人分買いそうになったが、それを辛うじて免れた。


出町柳行きの特急電車に乗り込み、外を眺める。

早々と景色が通り過ぎていき、地下に入った。


この時、昔鈴子が言っていたことを思い出した。

「昔は、京阪電車は全路線、地上に出ていたのよ~」


「へぇ~ それじゃ、鴨川沿いの桜並木も見れたの?」


「そうよ! とっても綺麗だったわ~」


「そっか、見てみたかったな~」


ここに、今それが広がっていても葉桜だが、それはそれで綺麗だったのだろう。

出町柳の駅に着き、叡山電鉄に乗り込む。

京阪電車とは異なり、揺れる。

弱い人は、少し酔うかもしれない。

だが、景色は山に近づく程、素晴らしいものに変わっていった。


「鞍馬~ 鞍馬~ 終点です」

電車内に終点を知らせるアナウンスが流れた。

駅では、天狗の像が迎えてくれる。

この天狗は、いつか忘れたが積雪により自慢の鼻が折れてしまったそうだ。

鼻の短い天狗なんて、殆ど人間と変わらない。

そして一人、俺を出迎える人影があった。


「あれ、俺のクラスメイトだ。何してんだろう?」

天狗の横に、髪の長い清楚な恰好の可愛い子が立っていた。

名前は確か、相楽 菫だ。

男子の中で、人気が高い方だと思う。

ただ、変わっているからと直接関わろうとする奴は、あまりいない。



「おぬしのファンかもしれないぞ~」


「嫌味は、その顔だけにしてくれ!」


「なにを~!!」


「あの、すいません……」


「へ! はい、どうしました?」

まさか本当に声を掛けられると思っていなかった為、声が裏返ってしまった。


[私、同じクラスの相楽 菫です!]


[えーと、勝村 隆です……]

状況がイマイチ飲み込めない。



[えーと、ですね……  一昨日、御香宮で何をされていたのですか?]


[えーと、少しランチを……]

しまった、見られていたか?

猫が酒を飲んでいるところ等、非日常の場面が多数あった。



[勝村さん、噂は聞いています。幽霊が本当に見えるんですか?]

少し、遠慮気味に尋ねて来たことを考えると答えにくい質問だと理解はしているようだ。



[見えるって、言ったらどうします?]

今更、誰かに嫌われることは問題じゃない。

だが、ややこしくならない保証もない。

少し大胆に、懐を探るように言葉を探した。


[どうもしません……  私は、霊がいるとうっすら分かります!]



[そうなんですね……]

霊感ってやつか?

でも、見えるわけではないのか。



[なので、御香宮で霊と御飯を食べていた事は、なんとなくわかりました]


[それで、僕に何か用ですか?]


[御香宮で、天狗に会って来るように頼まれたことを、恥ずかしながら盗み聞きしてしまいました…… それで、私も連れて行って貰おうと、朝から待っていたんです!]

少しドヤ顔をしているように見えるが、要するにストーカーじゃないか!

それにしても、うっすら分かる程度なのに声が聞こえるとは変な事もあるものだ。


[いいですよ……  ここで朝から待っていたって事は引き下がる気はないでしょう]

溜息が出る。

変を通り越して、残念だ。

残念美人とは、正しくこの事だろう。


[やった!! ありがとうございます!]


[同学年だから、タメ口でいいよ。 俺もそうするから]


[了解でーす!]

相楽 菫の目がキラキラとしている。

漫画で効果音でもついてそうな程に……



[晴明、そういうことだから 連れて行くぞ]

大人しく、猫のフリをしている晴明に声を掛けた。


[つくづく、お人好しじゃの〜]


[お人好しなら、人に好かれてるよ……]


[その猫、喋るの!!  抱っこさせて!]

晴明の言葉も聞こえるのか。

身近にこういう人が居たとは、世間は狭いな。



[やめ やめるのじゃー]

顔をスリスリと擦りつけられ晴明が、逃げようともがいている。

悪い人には見えないし、そこまで警戒する事はないだろう。

俺の事をほったらかしにして、二人で楽しんでいる。

どこか疎外感を覚えてしまい、居心地が悪い。


「そろそろ、行くぞ~」

三分程、二人の戯れを見守り耐えられなくなった頃に声を掛けた。

慣れていないこともあり、少しぎこちなくなったが切り替えるには十分だ



[うん!!]


[うーん……]

鬱憤を晴らしたかのように、爽やかな笑顔を浮かべる相楽 菫。

それとは、対象的に疲れ果て元気のない晴明。



駅の改札を抜け、鞍馬寺の方へ向かい歩く。

鞍馬寺を通り過ぎ、青々と茂る草の間にできた道を進む。

緑が深くなり、鳥のさえずりが俺達を歓迎している。



[この森に、なんのようだ?]

一瞬の静寂を迎えた森に、低く強い声が木霊す。



[友人に頼まれた物を、天狗に持ってきました!!]


[今の声、何??]

どうやら、相楽 菫にもこの声は聞こえるようだ。


[私に、荷物だと??]

知らぬ間に、俺の真後ろに降り立っていた。

身動きすら取ることができない。



[私達の間に、天狗がいるの?]

天真爛漫に、尋ねて来られるがそんな余裕はこちらにはない。



[はい……   白神さんと白銀さんからです……]

緊張の糸が、天狗の声によりピンと張っている。


[そうかそうか!  アイツらからか!]

当然、陽気なおじさんのような声に変わった。


[はい。  こちらです! プッ……]

振り返り、天狗の顔が目に入る。

その途端、笑いが込み上げてきた。

確かに、鼻は長い。

オーラもある。

だが、目がクリクリなのだ。

あそこまで、人を威嚇するような雰囲気で如何にも天狗だという雰囲気だったのに。

何というギャップ……

変顔一発ギャグでもされたような気分だ。


[こら、隆。人の顔を見て……ニャハハ!!]



[え!! どうなっているの!!私も見たい!!]

俺を咎めようと、我慢していたが晴明も堪えきれず。

そして、なんとなくでしか分からない相楽 菫は、置いてけぼりをくらって怒っている。



[こら!!  私の顔を笑うんではない!!]


[そんな事を言われても……]

やばい! やばすぎる。

顔を見るだけで笑いが込み上げてくる。


[ええい! 無礼な奴らめ!]



[すいません……]

なるべく、反省の色を浮べようと努めながら天狗に預かった物を渡した。



[おおう。 それより、この匂いどこかで……]

天狗が考え始めた。


[お前は、あの時の少女か!!]

数十秒程経った時、突然声を張り上げた。


[……へ?]

このクリクリの目は、節穴なのか?

どう見ても、俺は男だぞ!]


[あ、すまぬ…… 男だったな]



[いえ、大丈夫ですよ]



[昔、鞍馬寺に遊びに来た少女がおってな。

私の下僕の鳥達が悪さをして人にどんぐりをぶつける遊びをしていたのじゃ!

その時、どんぐりが当たりそうになったのを止めた少女の匂いにおぬしは似ておる]

どこかで聞いた話だな。

デジャブか?

そうか!鈴子が、してくれた昔の話だ。


[それ、僕の母親です!]


[そうか、そうか! そうであったか!!]


[妖怪の一生は長いからの〜

間違えてしまうのも仕方がない]

晴明が、何故か天狗のフォローをしている。

歴史に出てくる、二人が今、目の前に。

こんな奇跡、専門にしている人が見たら涙を流すレベルだな。


[そうか、あの少女。もう母親になっておったか〜]


[はい 前に鞍馬寺を訪れた時の話をしてくれたことがあったので、もしかしたらと思ってたんです]



[それで、名は何という?]


[母は、鈴子。 僕は、隆です]


[隆とやら、今日はありがとうな!

さてと、中身はなんじゃろな〜]


[そういや、なんですかね?]

中身を覗くような、最低の行為はしていない。

だが、とても気になる。

霊から天狗に渡されるもの。

検討もつかない。


[おぉ!!  あやつら、ちゃんと約束を覚えておいてくれたのか〜]


[ん??]


[?]


[おぉ、そこに天狗がいるのか〜 え?]

中から取り出されたのは、トップアイドル kyonのCDだった。それも、特装版の。


開いた口が塞がらない。

この為に、天狗に会いに来たのか……



[クッソー  なんか、納得行かねー!!]

こうして、天狗に出会う旅は終わったのであった。










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