MI・SA・KI ~ 永遠の恋人 ~(仮タイトル)

ハル

第1話 指切りした思い出の記憶

「唯那(ゆいな)帰るわよー」

「はーい!じゃあね!速渡(はやと)君」

「うん、バイバーイ」




唯那(ゆいな)。4歳。

速渡(はやと)。4歳。



保育園も幼稚園も行っていなかった私は、ちょっと遠い所の公園まで母親と来ていた。


そんな中、一人と男の子、速渡君と良く遊んでいた。





そんなある日。


「唯那ちゃん……僕……引っ越すんだ……」

「えっ!?引越しちゃうの?」

「……うん……」




唯那。5歳。

速渡。5歳。




「そうか……また……逢えるよね?」

「うん!きっと逢えるよ!」



指切りしたあの日の思い出を


心の奥に残して


私達は誓いの指切りをした


幼き頃の記憶


大切に大切にしまって ――――





そんな私も1年後引っ越しをした。




唯那。10歳。



同じクラスの男の子に恋をしている。



彼の名前は



悠木 速渡(ゆうき はやと)君。


明るくてカッコ良くてモテモテ君。


だけど…速渡君は幼い時に良く遊んでいた男の子と同姓同名で、こんな偶然もあるんだなぁ~と思っていた。


本人だったらと思うけど、結局、何も聞くこともないまま、彼、悠木 速渡君は、転校した。





更に、5年後 ―――― 冬



唯那。15歳。




「じゃあねー」

「うん、またねー」




中3。


受験真っ只中。




一人の男の子と出逢う


寒い冬の海


一人の男女が出逢う


淋しい表情で


海を見つめる姿に


私の心は奪われた




ドキーン……



「……男の子……」




惹かれるように歩み寄る私


振り向く男の子


淋しい表情で見つめる瞳




≪怪我して……≫



男の子はオデコ(頭)に包帯を巻いていた。




≪病院抜け出したのかな?≫



海の近くに大きい病院がある。


歩いてそう掛からない。


多分、そこから抜け出して来たのだろう?




「あの……病院……抜け出して来たんですか?」


「えっ?」


「包帯、巻いてるから」


「あ、うん。でも許可もらってるから」


「そうなんですね。すみません…突然声をかけてしまって……こんな寒い冬の海に人がいたから気になってしまって……」


「自殺するんじゃないか? って?」


「えっ?」




微かに微笑む男の子。



「ねえ、君、名前は? 俺は…速渡…。悠木…速渡」




ドキーン……




「……悠木…速渡……」




≪同姓同名?≫




「唯那…岬…唯那……」

「……岬…唯那…」

「うん…」




その時だ。



「速渡っ!」



ビクッ

誰かが男の子の名前を呼んだ。

駆け寄る女の人。



「母さん!」

「また、あなたは病院から抜け出して」

「いや…看護婦さんには言っておいたんだけど……」

「まだ病院に行く前だから。あなたを見掛けて寄ったた所よ。ほら、風邪引くから病院に戻るわよ」


「はいはい。じゃあね、唯那ちゃん。また逢えると良いね。その時は、もっとゆっくり話そうね」


「う、うん…」




グイッと引き寄せられ、オデコにキスされた。




ドキーン



「君とはまた逢える気がする!」



そう言うと男の子。悠木 速渡君は去って行く。





一瞬幼い頃の記憶が蘇った



『また逢えるよね』


『きっと逢えるよ』



指切りしたあの日


例え台詞が違っても


あの頃の思い出が


ふと思い出される


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