第2章 少年時代

第8話 2000年


 ギルドから、少し離れた所にある高級住宅街。


 その一角にステインの屋敷がある。


 帰ると、メイドが迎えてくれる。


 メイドはサヤという名前だった。今年19歳になる。


 長い金髪に青い瞳、巨乳の部類に入るであろう胸、引き締まった腰、細すぎない綺麗な足。


 身長は165㎝ほどだろう。


 黒をベースにしたメイド服に白のエプロン、肩の部分は見えている、いわゆるオフショルダーというやつだった。


 「おかえりなさいませ、ステイン様」


 「ああ、これは金庫に入れておいてくれ」


 「はい」そう言ってステインから大量の金貨を受け取る。


 お気に入りのソファに腰を掛けると、テーブルには既に夕飯の支度がされていた。



 これも、サヤの手作りだ。


 豚肉とサラダ、ワインも置いてある。

 

 ステインは豪快に食べていく。


 絶妙な合間でサヤがワインを注いでくれる。


 ワインを注ぐ時にサヤの胸元がステインの目の前を通るが、ステインは何の反応も示さない。



 ワインは5杯目になっただろうか、一仕事終わって飲むワインは格別だった。


 少し、酔いが回ってきたようだ。


 ソファに吸い込まれるように意識が遠くなる。





 「グレイ…グレイ…」

 呼ばれて目を覚ますと、目の前には母親がいた。


 まだ若い、30代だろうか。


 父親もいる、そうだ、今日は町のフェスティバルだ。


 町の人々は皆着飾っている。


 町から、唯一冒険者になったデビッドが誇らしげにホバーバイクに乗って凱旋している。


 デビッドのバイクはグレイ少年の目に眩しく見えた。


 将来、デビッドのような冒険者になりたい、そう思えるほど鮮烈な印象を与えた。



 「グレイ、何していたんだよ」


 「トールか、おはよう」


 「おはようじゃねえよ、今日は1年に1回のお祭りなんだぜ?」


 「あ、うん」


 「ほら、カナリアも着飾っているだろ」通りの向こうにいるカナリアを指さした。


 茶色の髪に黒い瞳、髪の毛を腰まで伸ばした幼なじみの少女はワンピースのドレスを着ていた。


 話をしていると、カナリアはグレイとトールのほうまで歩いてきた。


 スカートの裾を持ち上げ、お辞儀をする。


 グレイもトールも少し顔を赤くしていた。


 初恋だったのかもしれない。


 3人で、屋台の方へ歩いて行った。


 飴を食べながら、大道芸人のショーなどを見て過ごす。

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