聖剣…………えっ?

まずは彼の事を尋ねる事にした。


「余り時間がないので手短に聞くわ。貴方は誰?どうしてここにいるのかしら?」


シオンもお人好しなだけではなく、敵か味方かわからないので、すぐに剣を抜けるように集中していた。


「………俺はアーク。旅の剣士だ。魔王軍と戦う為に隠された聖剣を求めてやってきた」


旅の剣士ね………


「表の魔王軍は貴方が?」

「ああ、運悪く鉢合わせになってな。魔王軍に聖剣を奪われる訳にはいかないから戦うハメになった」


「あんた、魔法も使うのか?」

「どうしてそう思う?」

「倒された魔物に魔法で焼かれたと思われる傷があった」


アークは目を閉じて少し考えてから答えた。


「そうだ。多少の魔法が使える」

「わかったわ。魔王軍から聖剣を守ってくれてありがとう。…………でも─」


ここでシオンは剣を抜き、アークの首に当てた。


「シオン!?」

「聖剣の事は勇者の隠れ里でも一部の者しか知らなかった情報よ!旅の剣士が聞き込みで知れる情報ではないのよ。貴方の目的はなに!」


シオンの剣幕にアークは答えた。


「………詳しくは言えない。ただ、大切な人を救うのに聖剣が必要だった。それだけだ」


アークはシオンの目をじっと見詰めて答えた。


「どうやら嘘ではなさそうね。わかったわ。魔王軍に対抗するには1人でも腕利きが必要だからね。取り敢えず敵ではないと信じましょう」


カチンッと剣を鞘にしまった。


「シオンいいのか?」

「ええ、私は人を見る眼はあるからね。彼は少なくとも敵ではないわ。それより早速、聖剣を手に入れるわよ!」


シオンはアークに手を貸して起き上がらせ、目の前の扉に手を当てた。


ゴゴゴゴッ!!!!!


重たい石の扉が開いていった。


「俺が押した時はびくともしなかったんだがな?」

「これも勇者の血脈じゃないと作動しないのよ。まぁ、壊せば別だけどね」


扉が開き中に入ると、部屋の中央に聖剣が石の台座に突き刺さっていた。


「さぁ!グレン、引いてちょうだいなっ!」


シオンは腰に手を当て、指を突き刺していった。


「どうして俺なんだよ」

「グレン?か弱い女の子に力仕事をさせようって言うの?酷いわ!?」


「………シオン、そのぶりっ子ヤメロ。気持ち悪い!それより、本当はどうなんだ?」

「ん~、罠とかあったら嫌じゃん?」


グレンは口をパクパクさせた。


「お、おまっ─!?」

「ほら、怪我しても私の回復魔法があるし?」


この二人のやり取りを見ていたアークがグレンの肩を叩いた。


「………苦労するな」

「うぅぅ………会って間もないのにわかってくれるか!?」


グレンが泣き出してしまった。失敬な!


「さてと、さっそく引いてみるか………」


グレンが聖剣に触れると─


あばばばばばばば!!!!!!!!


感電しグレンが痺れた。


「やっぱり罠があったか」


いや、感心してないで助けろよ?


「うきゅ~!」


そんなに強い電撃では無かったのかダメージは少なそうだ。


「さて、どうしようかな?」


いや、はやく回復魔法を掛けてあげて!?


『………私に………ふ……………て』


「あれ?グレンなにか言った?」


ようやくグレンに回復魔法を掛けながら尋ねた。


「………ぐふっ、何も言ってねぇ……」


『私に………触れて』


「あ、やっぱり聞こえた!」


辺りを見渡し聖剣を見つめた。


「どうしたシオン?」

「『女性』の声が聞こえるのよ。私に触れてって」


「聖剣が呼んでいるのか?」


シオンはゆっくりと近付き、ツンツンッと触ってみた。


キュルン


「げっ!魔力がごっそり奪われた!?」


少し触っただけなのに!?


「いや、電撃を喰らうよりましだろう?」


すると聖剣が光だした。


『勇者の末裔よ。待っていました』


「おおっ!はっきり聞こえる!」


『魔力が足りず申し訳ありませんでした。魔王が復活した今、私の力を振るって世界を救って下さい』


「話のわかる聖剣だね♪」


『貴女には私を引きヌク【素質】があります』


「いやー!照れるね♪」


『では儀式を始めましょう』


「儀式ってなんだ?」

「ただ抜くだけじゃダメなの?」


『はい、正式な手順を踏まないと正しい力が出せないのです』


ふむふむ!


『シオンでしたね。貴女に魔王を討つ為に自分を犠牲にする覚悟がありますか?』


モチのロンよ!!!


「ええ、大切な家族や友人、そして生まれ故郷を守る為なら何でもやるわ!」


『………貴女の覚悟しかと聞き届けました。では儀式を始めましょう!』


ごくりっ!

何でも来なさい!必ず乗り越えてやるわ!!!


『では……………脱いで下さい』



「………えっ?」

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