第6話

リビングでくつろぎながら今日の事を考えてた。不破さんの意外な一面を知ったし桔梗がまさかのブラコンだったしで今日の出来事だけでラブコメみたいな一日だった。最後の不破さんは結構卑怯な感じだった。


「……最初から今日みたいな感じだったら僕は付き合ってたのかな」


不破さんの第一印象はかなりやばい人。いきなり付き合ってくれないと殺すとか普通じゃない。ただここ何日か一緒にいる不破さんは言動以外は割と普通だ。人を好きになったことがないからよくわかんないけど好きになるとおかしくなるんだろうか?桔梗も今日で大分キャラが破壊された。


僕は一人、ソファに座りながらそんな二人の事を考えてた。すると家の鍵が開き「ただいま〜」と桔梗が帰ってきた。僕はソファに座りながら「おかえり〜」と返す。すると僕を見つけるやいなや僕の胸ぐらを掴んで


「今日帰り不破さんと何もなかったでしょうね!?」


お前は僕の彼女かなんかですか?と言いたいくらい圧が強くて若干鬱陶しい。僕は「何もなかったよ」といいながら桔梗の腕をどかし服を直した。


「そう。ならいいわ」


だから何目線なんだよ。桔梗ってこんなんだったっけ?僕が変わった桔梗をじーと見ていると


「な、なによ!そそそんなにみて」と若干顔を赤らめる桔梗。僕に見られたくらいで赤くするなよ。


「なぁ、桔梗?お前って僕のこと好き過ぎない?」


するとタコくらい赤くなった桔梗が


「はぁぁぁぁぁぁ!?すすすすきききなわけないじゃろがい!」とそれどこの方言?わけのわからん方言をするほどテンパる桔梗。これ以上は桔梗が爆発しかねないため僕は「ごめんごめん。」と謝り、当番である夕食の用意に取り掛かった。後ろで


「…………バカ」と小さく言っていたがスルー。ちょっと、いやかなり可愛かった。思わずドキッとしてしまった事を忘れるために無心でじゃがいもの皮を剥いた。


その後落ち着きを取り戻した桔梗と話をしながら夕食を作り、僕の得意料理でもあるカレーを二人で食べた。食べてる途中でこの話題を振ったらまた桔梗の機嫌が悪くなるかもしれないがどうしても聞きたかったので思い切って聞くことにする。


「なぁ、不破さんっていつもはあんな感じじゃないんだろ?普段はどんな感じなんだ?」


と僕が聞くと案の定眉間にシワがよったので補足を


「あくまで友達として気になる感じだ。それ以上の感情はないからそのシワを解いてくれ。な?」


桔梗は若干まだ不満のようだが渋々といった感じで不破さんの話をしてくれた。


「確かに普段の不破さんとお兄ちゃんと接してる時の不破さんってまるで別人みたいだった。」


「クラスの不破さんってみんなと仲良くしてるんだけどどこか壁を作ってる感じがするの。私もそうだからよくわかる。」


壁か。あまり想像ができないな。僕の前ではなんというか欲が漏れてる感じだから。桔梗はさらに


「だから今日の不破さんには驚いた。それと同時にめちゃくちゃムカついた!本当いやらしい!ちょっと私よりも胸があるくらいで、まじムカつく!」


後半悪口になった桔梗に苦笑いをして「そっかそっか、教えてくれてありがと」とお礼を言って会話を終えた。これ以上話すと桔梗が止まらなくなりそうだったから。でもそうか。やっぱり人は好きな人ができると変わるものなのか。それとも不破さんはもともとあんな性格だったのだろうか?


僕も恋をしたら何か変わるのだろうか?そんなことを考えながらカレーを食べ、その後お風呂に入って自分の部屋に戻った。ここ最近はずっと活動的だったので元来省エネな僕にとっては結構な体力を消耗していた。今日はもう寝よう、そう思い部屋の電気を切ろうとしたとき、部屋をノックされ僕が「なに?」と扉越しにいうと


「………ちょっとお兄ちゃんの部屋入ってもいい?」


何年かぶりかの桔梗のその言葉に一瞬言葉が出てこなかったが少しして「……いいよ」といい部屋のドアを開けた。疲れていたがまだ寝れそうにないなと僕は心でつぶやいた。


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