第6話 坂本城で就職活動

 今日の添削はここまでに致します。

 さすがに目がチカチカしてしまって(^_^;)

 だから添削箇所も抑えよう、と思ったのでズカ、気づくと長文に。

 添削箇所自体は少ないのですが、アメリッシュ様に伝わるかわからなかったので言葉を尽くしてみました。



 いやいや…

⇒以前指摘したとおり「 いやいや……。」です。


 お気の毒ですと言おうと思った。確かにそう頭では思っていた。

 けどね、口が、口がね、口がかってにツバをとばして吹き出しちまって。犯人は口であって私じゃないから。

 大爆笑した。姑の姿に大爆笑って、アカン、嫁としては絶対にアカンやつだ。

⇒「勢い」がちょっと乱れているなと感じます。

 最初の二文は「思った」「思っていた」と韻を踏む形です。ですが「確かにそう頭では思っていた。」だとちょっととおりが悪いように感じます。

 「頭では確かにそう思っていた。」文としてはこれが最適解です。

 「言おうと思った。」と「そう思っていた。」なら音が似ていませんか。

 さらに近づけようとすれば「確かに頭ではそう思っていた。」とします。

 これなら「毒ですと」「頭では」と音を近づけられます。

 つまり文として正しければ「お気の毒ですと言おうと思った。頭では確かにそう思っていた。」、韻を踏むのなら「お気の毒ですと言おうと思った。確かに頭ではそう思っていた。」になります。

⇒次は「犯人は口であって私じゃないから。」の位置についてです。

 原文では三文目に入れていますが、文意を考えるとこの一文だけ妙に浮いています。

 今回抜き書きした部分の終わりに移動させると、自然な流れになります。


上から目線で皮肉に口元ゆがめている。

⇒「口元をゆがめている」ですね。

 ただアメが「い抜き言葉」を使っていたら「口元ゆがめてる」でも合いますね。リズムもよいですし。


 明智光秀が築城に苦心した坂本城は琵琶湖の西側に位置している。そもそもは水城として作られ、比叡山を見張る位置にあった城は、当時としては最先端の技術を駆使した。現代では焼失してしまった幻の城でもあったんだ。

⇒「当時としては最先端の技術を駆使した。」と句点で区切ると意味がわからなくなりますね。また「城」の字が近いところで三回出てきます。しかも助詞「は」が二回ありますね。ということは、本来の並び順から外れていると推察できます。

 まず「城」を減らすにはどうするか。混ぜてしまえばよいのです。

⇒そもそも比叡山を見張る位置に、当時の最先端技術が駆使されて水城は築かれた。

 「城を作る」は漢語では「築城する」ですよね。であれば「城を築く」が正しい表現です。

 すると「明智光秀が築城に苦心した」の「築城」と「水城は築かれた」がバッティングするため、「明智光秀が苦心した坂本城は琵琶湖の西側に位置している。」と築城を削れば「城」の重複も解消できます。

 さらに言えば「坂本城」が「琵琶湖に隣接した東南寺川河口に築かれた」のですから「琵琶湖の西に面している。」ですね。

 ここまで長々と書いてきたので、すべてをまとめると以下になります。

⇒明智光秀が苦心した坂本城は琵琶湖の西に面している。そもそも比叡山を見張る位置に、当時の最先端技術が駆使されて水城は築かれた。現代では焼失してしまった幻の城でもあったんだ。


慣れない道を下り、まだ木材の香りも高い坂本城に到着したのは、夕刻近くになっていた。

⇒この「到着したのは、夕刻近くになっていた。」がおかしく感じるのは「到着したのはいつなのか」の答えを「夕刻近くになっていた」で受けるからです。

 「到着したのは、夕刻近く」が基本形で、これをどう活用するか。

 「到着したのは」なら「夕刻近くだ。」でよいし、「夕刻近くになっていた。」なら「到着した頃には、すでに」とするべきでしょう。つまり次の二文のどちらかです。

⇒慣れない道を下り、まだ木材の香りも高い坂本城に到着したのは、夕刻近く(だ)。

⇒慣れない道を下り、まだ木材の香りも高い坂本城に到着した頃には、すでに夕刻近くになっていた。


まだ木の香りが臭う。

⇒好ましい香りは「匂う」です。


今頃、足利義昭は必死に諸国の大名を動かそうと策を練って早馬を飛ばしているはずです

⇒これこそが「檄を飛ばす」です。


「ま、いい、さて、もらったこの札をどうしたらいい」

⇒ここは「ま、いい。」と句点で区切るべきでしょう。



 添削は以上になります。

 やはりここまで読んでも文章に「勢い」があってよいですね。

 「勢い」はひとつの才能だと思っているので、この「勢い」を殺さないよう、萎縮しないように書いていってください。

 本文を書き終えてから、文章を整えていけば「勢い」を保ったまま巧みな文章に仕上がりますよ。

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