第4話 地下迷宮への同行者

「「「いらっしゃいませ。迷宮都市ラピスラズリへようこそ」」」


 冒険者ギルドへと入った四人を待ち受けていたのは数人の受付嬢だった。皆それなりに美人である。やはり見た目がよくないと受付嬢は務まらないのか。


「どのようなご用件でしょうか?」

「は、はい。私達、最近冒険者学校を卒業して冒険者パーティーを結成したんです。それで地下迷宮の探索をしたくて」

「そうですか。それではFランクの冒険者パーティーという事になるでしょうか?」


 受付嬢は聞く。


「はい。そうなります」

「まずはこちらのパーティーリストにパーティーメンバーの情報を記載してください。遭難した場合、捜索に必要なものになります」


 受付嬢はリストを渡される。パーティー名を書く爛。それからメンバーを書く欄。その他注意事項を書く欄などが存在していた。


「あっ、はい」

「それで書きながらでいいんですけど。聞いて欲しいんです。ダンジョンクエストと一般の冒険者ギルドでのクエストの違いなんですけど。ダンジョンは一般のクエストと違って、簡単に逃げて帰ってくる事が多いんです。基本的には階層の深さが増すほど出現するモンスターも強くなるんですけど、勿論例外もあります。イレギュラーでその階層に出現しないような強力なモンスターが出現する事もあるんです。さっき説明したように、そういう場合でもダンジョン内ですから逃げ帰る事は困難なんです。それで最初のクエスト、できたらその後数回のダンジョンクエストは熟練した冒険者と同行して貰う事を当ギルドは推奨しているんです」

「は、はぁ……そうなんですか」


 熟練の冒険者の同行。それは頼もしい事だろう。何せこのパーティーは結成したばかりなのだ。言わば初心者パーティーである。ダンジョン内にはどんな危険があるかわからない。熟練の冒険者が最初ら辺だけとはいえ同行してくれるこは心強い事であった。


「それで今回同行してくれるのはこのSランクの冒険者、ダンジョンマスターとして知られている。ラカン・アルカシアさんです」


 男が現れた。気さくそうな男である。ろくな鎧を装備をしていない。目立つのは背中の二本の剣である。彼は双剣使いのようだった。職業としては恐らくは剣士系のジョブであろう。 物理攻撃が主な前衛タイプだ。


「よろしくな。俺の事はダンジョンマスターと呼んでくれていいぜ」

「は、はい。よろしくお願いします。ダンジョンマスターさん」

「どうでもいいけど、通称が本名より長いの何とかならないの?」そう、イシスは聞く。

「ならラカンさんでいい」

「はい。ラカンさん」


 これからダンジョンの探索に行くというのにその飄々とした態度は彼が幾度となくダンジョンに潜ってきた表れでもった。流石にSランクの冒険者の風格というべきか。


「これから地下迷宮(ダンジョン)へと潜っていく。一度潜ったら簡単には引き返せない。準備はいいか?」

「準備はいいですか? 皆さん?」 そう、リーネは聞く。

「私の方は別にいいです」 そうエルクは答える。

「私も別にいい」そう、イシスは答える。

「私もです。さっき先生のポーションを飲んで体力も全快ですし」そう、リーシアも言う。

「そうですか。では行きましょう。地下迷宮(ダンジョン)へ」

「はい!」

「うん!」

「……それではいきますか。私達Fランクパーティー『ラブリー・ラピッド』の船出」


 エルクは思っていた事を言う。


「今はこのパーティー名でいいんですが、もっとランクがあがったら名前を変えませんか?」

「え? そうですか? 可愛いのに」

「兎(ラピッド)は可愛いですが、強さの連想とは無縁ですよ」

「だったら『ラブリー・ドラゴン』にしましょう」

「そもそもラブリーの時点であまり強そうではない」とイシスは言う。

「まあ、それは私達がSランクにあがった時に考えましょうか。今はその名前でいいです。ラブリー・ラピッドで」

「さあ、準備はいいか?」

 

 ダンジョンマスターであるラカンはそう問う。返答はない。ラカンはそれを肯定と取った。

「よし! 行くぜ! 地下迷宮へ! ルーキー冒険者パーティーの初ダンジョンクエスト。このダンジョンマスター、ラカン・アルカシアが全力でサポートさせて貰うぜ」


 ラカンはそう言って意気込んだ。ラカンというゲストメンバーをパーティーに加え五人となった冒険者パーティーはギルドでの事務手続きを終え、地下迷宮(ダンジョン)へと向かった。

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