第51回 卑弥呼の理不尽な地雷に浜水は無自覚で走ろうとしている

浜水は過去を振り返り、今がとても恵まれていることを自覚した。


だから、憧れの卑弥呼様と距離を近づけたいという思いが先行した。


すこしでも、盛り上げたいと思った。


 


「卑弥呼様はどうして、配信しているんですか?」


浜水は、まず安牌な話題を出して、様子を見ている。


 


「え~とね。ことちゃんの影響かな。


ことちゃんのファンだったしね。」


卑弥呼様が自分のプライベートを探らせないように考えこみながら、時間をかけて言っていた。


 


高校の同級生で同じエンタメの道にいこうと誘われているからと言ったら、それこそ、情報漏洩につながっているし、しょうがないけど。


 


一応は、嘘はついていないと俺も納得している。


 


ふっと息をつこうとしていたら、浜水の表情が嫉妬で眉が細くなっている。


卑弥呼が自分以外の人間を好意的に思うことが気にくわないのだろう。


 


俺は少しびくびくしており、どうやってこの場を切り抜けようかと考えていた。


 


「卑弥呼様、浜水さんもタイプじゃないですか?


声もかわいいし、卑弥呼様ラブですよ。」


卑弥呼の中では、理は一番の地獄から救ってくれたヒーローであり、今の浜水がそれ以上の特別になることは難しいと思い、俺は瞬時に話をずらした。


 


「もちろん、我のタイプだよ。仲良くなったら、サシコラボしたいよ」


卑弥呼は、ニコニコしながら答えていた。


 


コメント


:コラボ先が3つになりましたね。


:やった~


:4人でコラボしてほしいですね。


:4人でやってください。


 


コメントのみんなも喜んでいるから、コラボ先を増やして、俺の胃をいたわってくれよ。


 


俺には、4人でコラボしてほしいって頭のおかしいコメントは見えないからね。


きっと、理・卑弥呼・浜水・夏目の4人だよね。


4人の百合てぇてぇを見たいと思う。


もし仮に理・卑弥呼・浜水・俺だったら、胃が爆発しちゃうからね。


この悪夢のようなコラボが実現したら、何が起こるか予想できないし、想像するだけで、胃がグルグル言うわ。


 


「そういえば、浜水ちゃんはどうしてV始めたの?」


卑弥呼も、浜水に対して興味津々のためか、すぐに聞いてきた。


 


「え~とですね。


昔子供の時見ていた林の法則


主人公の林に恋しちゃってですね。


こういう魅力的なキャラに声を当てたいなと思ってですね。


声優って、将来性ないからこうやって趣味で声活動していますね。」


憧れの卑弥呼に興味を持たれたことでうれしい浜水は照れながら、答えていた。


 


「へぇ~、そうなんだ。声活動でね。我も似たようなことしているし、いい理由だと思います。」


卑弥呼は一般人が聞くと上機嫌だと思わせるように、ニコニコ笑いながら答えていた。


 


ゾクっとした―――――――――――。


 


この笑い声を聞いた瞬間、俺は鳥肌が立っていた。


俺の卑弥呼レーダーは、ここで卑弥呼が怒り狂うと直感させている。


浜水は、この言葉を真に受けており、かなり喜んでいる。


このままでは危ないのだ・・・


例えるなら、卑弥呼の理不尽な地雷に浜水は無自覚で走ろうとしている。

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