第9話 舌が飢えてる博士達


by作者「 ま た せ た な ! ( 迫 真 ) 」


*



「何か料理を作るのです!」


「...はい?」


…何故だ、何故こんなに目を輝かせてこちら

を見てくるのだ...


「あー...拒否権は有るのかなぁ?」


「ないです。食べさせるのです」


…あー、これは引かないわぁ...どうしよ...


「あっそうだ(唐突)森で爆発とかしただろ?

博士は大丈夫だったのか?」


「それはもう凄い怖がっていm「助手?少し

黙っているのですよ?(迫真)」


「アッ、ハイ...」


「全く...心臓に悪いったらありゃしないの

です、もう少し「自重」するのですよ...」


「あれ?でもイッカクとエゾヒグマ達は

大丈夫だったよな、何故だ?」


「何...?今なんと?」


…やべ、地雷踏んだ...


「あー...実のところあまり覚えてないんだ。

あの時はかなり焦っていたから...」


「ボクりんも同じく?」


「私は...死に掛けていたので...」


「...そうですか、ならいいのです。」


…すまん...ナイス回避だ。


「しょうがない、迷惑かけたっぽいからな...

作ってやるよ?料理。」


言質げんちは取りました、今更逃げるのは無しですよ?さっさと作るのです。」


「はいはい...エゾヒグマ達も食べてくか?

丁度居るわけだし。」


「作る量が多くなってしまうがいいのか?」


「まぁ構わん、皆で食べた方が旨いからな。

それにさっきはすまなかった...」


「ハルが作る料理って美味しいかな?

ボクりん楽しみ!」


「そうですね...料理を食べるのはPPPがやっ

たヒトのおめでとうの会以来ですね...」


…ハルっていう名称が浸透してきたな...

あとヒトの会?あのヒトのフレンズの?


そんな気持ちを裏にハルは調理場へと連れて

行かれるのだった...



「さて、ここにある食材で美味しいものを

作るのです。ちなみにカレー以外を作るのですよ?」


「うん?何故カレー以外なんだ?」


「カレーは美味しいですが、せっかくなので

違う料理を作って欲しいのです。」


「美味しいものを頼むのですよ、では...」


そういうと博士達は、皆がいる方へ行って

しまった...


「...さて、何を作ろうかな?」


ハルは材料を確認する。


「野菜が多めか...うーむ、迷うなぁ...うん?

なんかメモがあるぞ、何だこれ...」


…えーと...なになに?


…水35ℓ、炭素20kg、アンモニア4ℓ 、

石灰1.5kg、リン800g、塩分250g、

硝石100g、 硫黄80g、フッ素7.5g、

鉄5g...ってこれレシピ違いじゃねーかぁ!


そういうと、ハルはメモを投げ捨てた...


「はぁ...もうミネストローネでいいや...」


ミネストローネ、彼が軍の遠征などでいつも

作っていたので難なく作ることが出来る...


…と思っていたのか?


ザク...ザク...ザク...


ボソッ「包丁の切れ味が...悪すぎる...」


…煮込む野菜の味が落ちそうだな...そうだ、ナイフで切るか。(テサグリ-ノナイナイ)

うん...あれまって?俺の装備どこだ!?


バサッ...バサッ...バサッ...


その時、助手が飛んできた。


「おや、そこそこ進んでいる様ですね?」


「あぁ、ミミちゃん丁度良いところで来てくれた...」


「み...ミミちゃん!?」


「いや?コノハ博士は博士って呼び易いけど

ミミ助手って語呂悪いし?」


「そ、そうですか...コホン、何か聞きたい事

があるのでしょう?何ですか?」


「俺が身に付けていた装備って何処にあるか知ってるか?」


「装備?あぁ毛皮の事ですか、それならあの

バスの中に置いてある筈ですが?」


…バスじゃなくて装甲車なんだがな...


「分かった!ちょっと取ってきていいか?」


「本来ならダメですが、まぁいいでしょう...

待っているので早く取ってくるのですよ。」


*



ガタン...


「さて来た訳だが...あったな。」ガサゴソ


…RPGとかも積み込まれているな...

誰か積んでくれたのかな?


「ナイフだけ取って装備は置いておくか?

あ、そういえば...」


ハルはM240が故障したのを思い出した。

ナイフを置き、壊れたM240を手に取る...


「どうしようかなぁ...工具も持ってないし...

まぁぼちぼち直そうかな?」


ハルはマガジンを外してレバーを引き、

おもむろにトリガーを引いた...


ガキィン...


…うん?


空振りするハンマーの金属音がした...


「あれ...動くぞこれ...なんでだ?」


…あの時確かに壊れた筈...もしかして...


「ボスが直してくれたのか?」


…装甲車運転できるロボットだしあり得る...かなぁ?


───ハル!早く戻って料理を作るのです!


「あぁ!今行くよ!!」


銃を置きナイフを取って調理場へと走る...

置いた銃器からはサンドスターの結晶が

虹色に輝いていた...


*



「...こんなもんか?」


…完成したが何故か前作ったミネストローネ

より美味い様な?気のせいか...


「さてと、皆のもとに運ぶかぁ...」



「やっと来たのです、早く食べさせるので...

...何ですかこれは」


「ハイどうぞ?熱いから気を付けろ〜」


「...この赤い物、本当に食べられるのか?」


「安心して、あそこにあった野菜と調味料で

作った奴だから。」


「そ、そうですか...では...」はむっ...


助手が先陣を切って食べた。


「これは...!美味しいのです!」


「ハルが焼いた魚も美味かったが、こっちも

かなり美味い!」


「ず、ズルいのですイッカク!それも後で

食べさせるのです!」


ボソッ「また魚取れたらな...」


「わきゃー☆美味しい!」


「体がポカポカしてきますね〜」


「料理ってのもある意味おおきいかもな!」


…うんうん!良かっ、あ...


「どうしたのですか?ハル」もぐもぐ


「俺の飯作るの忘れてた...」


*



「...ほ、本当に大丈夫なのですか?」


「フフフ...大丈夫だ、

俺にはレーションがあるのだ...」ガサゴソ...


ハルはリュックの中を漁っている...

その時博士は、ハルが腕に何かを身に付けて

いるのをを見つけた...


「ハル?気になったのですがその腕に付けて

いる物は何ですか?まるでかばんが持って

いるラッキービーストの様な...」


「ああん?あぁこれか...腕時計って言って

時間を見る奴さ。まぁ他にも機能があるが

中でも一番なのは...あああぁぁぁ!?」


「ど、どうしたのですか!?」


タッタッタッタッ...


「ハルの叫び声が聞こえたぞ!?

何かあったのか!」


「いや、時計の事だ、何故気付かなかった?

そうじゃなくて何故なかったんだ?」

「どういう事ですか...」


「実はこれは只の腕時計じゃないんだ...

数ある機能の中に空間収納があってな?

その中に銃器を大量に仕舞ってあるんだ...」


「そんな物騒な物そのまま忘れてしまった方

がいいのですよ(切実)」


「博士?怖いのですか?」


「だ、誰が怖いなんか...兵器なんか怖くない

のです!」ガクブル...


「よし、そうと決まれば起動しようか...」



「「「「「「...機動?」」」」」」


「AIプログラムを起動させろ、おい?」


ヴォウン...ピピピピピ...


『プログラム執行中...データのバックアップ

を確認... 生体認証中... …確認しました...』


…皆が興味心身で見てくる...視線が痛い...


『マスター、失礼ですが此処はどこでしょう

か?位置情報を確認しましたが全く反応が

有りません...機能が壊れていますか?』


「いや、全くと言っていい程完璧だぞ?

なんせ此処はあの場所じゃないからな...」


『やっとあのクソみたいな場所から離れられ

たのですか?おめでとうございます☆』


「いや...意図してきた訳ではないが...」



───博士達は唖然としていた...


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