第6話 セルリアンの擬態


──"GUAAAaaaaa!!...


──キャアアアアアアァァァ...


「悲鳴!?それにこの鳴き声は...まさか?」


───助けなければならない様だな?


「誰かがセルリアンに襲われてる!

鳴き声的に恐らくは君を襲った奴の様に

かなり強いだろう...これを預かってくれ、

ボスも頼んだぞ。」


イッカクにC4の入ったバッグを渡す。


「俺はさっき見つけた車両で助けに行って

くる。君は安全な場所に居るんだ!」


「わ、分かった、だが私もあっちに行くぞ?

彼等の事も心配だからな。」


「...分かった、だが気を付けろ?」


「あぁ...彼等を助けてくれ、頼むぞ。」


彼は車両に乗り込んでキーを取り、

エンジンをかける...


「頼むぞ...掛かってくれ?(キャシシシシ...)

よし...掛かった」(ブロォン...ブロロロロ...)


…待ってろ...今助けに行くから耐えてくれ...


*



時は少し遡り...


「エゾヒグマさん...本当にこっちで合ってる

んですか...」


「あぁ、合っているぞ...多分?」


髪型がツインテールのフレンズ、エゾヒグマは言った。


「もう...多分じゃダメじゃないですかぁ!」


髪型がおさげ風のフレンズ、コディアックは

すかさずツッコミを入れる。


「ボクりんはだいじょブイブイだよん☆

それに違うおおきいの見つけられるかも?」


髪型がポニーテールのフレンズ、

カムチャッカがフォローする。


...彼ら「L♡Lべアーズ」は森の調査を

任されていた。


「エゾヒグマさん...来た道を戻りましょう?

これ以上進んでも余計に迷うだけです!」


「あぁ、そうしたいのは山々なんだが...

皆...気付いたか?」


「「っ!?」」


──"GUROrrrro...


三人は異様な静けさの中に、何が潜んでいる

のに気付いた。それは...


色は赤く...翼や尻尾があり堂々とした威圧感

を漂わせる大型セルリアンだった。

そしてただのセルリアンではないと感じる事

が出来るほどにリアル過ぎていた。


「おおきいな...ただ、おおきすぎて怖い

くらいだが...」


「これ...私達に倒せるんでしょうか?正直、

勝てる気がしません...」


「コディアックりん?心配ないよっ!

三人ならきっと倒せるよん♪」


...しかし内心カムチャッカも身の危機を感じ

始めていた、無理にあざとさを作る。


「そうさ!私達は「L♡Lべアーズ」だ。

おおきいものをこよなく愛する私達が

負けてたまるか、気を引き締めよう!」


───しかし奴はエゾヒグマ達を一歩も二歩

も上回っていた...


キィン...


"──GUAAAAAAaaaa!!


奴の目が光ると同時に空気が揺れる...

彼女らは無意識のうちに野生解放を

していた...さもなくば、


───喰らわれぬのではない...死ぬと。


「あ...あぁ...体が...動か...ないよぉ...」


コディアックの体が恐慌状態なってしまい、

身動きが取れなくなってしまった。


「コディアック!?しっかりするんだ!」


「ボクりんも、結構やばめ...どうしよう

エゾりん...このままじゃ...」


どうすればいいのかわからなかった...

思考が止まり、何故かニヤリと笑う。


…あぁ、なんだ簡単じゃないか。


「カムチャッカ、コディアックを連れて逃げ

てくれ...私が時間を稼ぐから。」


「エゾりん!?嫌だよそんな事...」


「ここで皆やられても意味がない...頼む。」


「エゾヒグマ...さん...嫌ですよぉ...嫌ぁ...

逃げて...くださ...い...」


「うぅ...ごめん...エゾりん、必ず助けに

くるから...!」


コディアックを担ぎ、カムチャッカは退避

する、コディアックは泣いていた。


「さて...出来るとこまで頑張るか...」


自分の命を掛け、二人を十分な距離まで

避難させると決めた...大切な仲間だから。


───"GUROroror...


「さあ...来いよ?獲物はこっちだぞ...」


セルリアンを誘い出そうとするが、見向きも

しない。だが、ある方を見た瞬間に奴は

走り出した。その方向に居たのは...


「うぅ...ダメでち...体が動かないでち...ミナ

ミコアリクイだけでも逃げて欲しいでち...」


「わ、私も...無理だよぉ〜...体が動かない...

ぅわ!セルリアンこっち来た!?」


ミナミコアリクイとジョフロイネコが、

先程のセルリアンの咆哮を受けていた。


───"GUAAAAAAaaaa!!


「「キャアアアアアアァァァ!!

誰か、誰か助けて!」でち!」


セルリアンが爪で攻撃をしようとする...


…くっ、間に合ってくれ...


「うおおおおおお!!(熊手を振りかぶる)」


ガキィン!!


間一髪のところでセルリアンの攻撃を防ぐ

事が出来た。だが...


ビキビキ...バキィ!


「なっ!?」


衝撃に耐えられなかったのか、熊手は粉々

に破壊されてしまった...


…どうする...武器が壊れてしまったから、

二人を庇いきれない...どうすれば...


「「あっ危ない!!」でち!!」


セルリアンが攻撃を仕掛ける。


「はっ!?しまった!(ドガァ!)ぐうっ...」


なんとかセルリアンの攻撃を掴んで耐える。


───だがその時だった...


タッタッタッタッ...

「エゾヒグマさん!危ない!!」ドン!


ズシャア...


「「きゃあ!?」 「ぐっ!?コ、コディアック!?逃げろと言っ...た...」


目の前に広がっていたのは...


「うぐ...ゴボッ...うぅエゾヒグマ...さん?」


セルリアンの鋭利な触手がコディアックの

脇腹を突き刺していた。


ザシュ「うっ...かはっ...逃げ...(ドガァ!)」


バキバキメリィ...


セルリアンはコディアックに突き刺した触手

を引き抜いた後、尻尾で殴り飛ばした。

その後、骨の砕ける音が響き渡る...


「コディアック!コディアック!?」ガシィ


助けようと走り出そうとするが、コディアッ

クを追いかけて来たカムチャッカが止める。


「ぐっ!離せ!コディアックがセルリアンに

食べられてしまうんだ!離せ!」


「エゾりん!無茶だよ!熊手持たないで行く

なんて、エゾりんもやられちゃう...」


───"GUOOoooo...


セルリアンは弱った獲物を捕食しようと

動き出す...


「嫌だ...やめてくれ...コディアック!?

逃げるんだ!!はっ...!!」


倒れているコディアックと目が合った、

何か言っている様に見える。


に、げ、て、く、だ、さ、い。


彼女は笑った...


「コディアック?諦めるんじゃない!?

嫌だよ...やめろぉ!!」


エゾヒグマは願った、友を助けて欲しいと。


…頼む...誰でもいい、コディアックを奴から

助けてくれ...頼むよ...


セルリアンが捕食しようと口を開けた...


その時だった───


ブロロロロ...ブロォン!オオオォォォォ...


段差で飛び上がり車体が浮く、

そしてそのままセルリアンに突っ込んだ。


ガァン!!───"GUAAAAAaaaa!?!?


キュロロロロロ!キキィ...ブロロロロ...


「なっ、なんだ?一体...何が...」


「何あれ!?なんかおおきそう?」


パカ...バタン!


装甲車から出て来た、彼は確信した...


「何とか間に合ったか...?」


"───GUAAAAAaaaa!!



さて、パッカーン!と行きますか?

...いいえ、俺はドッカーン!と行きますよ?


彼はRPG-7を構える...


「さて?戦闘開始だ!」カチッ


ドン!プシャアアアァァァァン...


ドガアァン!!───"GAAAAAaaaa!?



残念だが今回は俺が先行だ───





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