Dearest.最愛の君よ、星屑の向こうで待つ

つるよしの

第1章 ある邂逅

0-0 イヴァン

 戦争が終わったら、俺の顔の半分は、機械になっていた。


「よお、イヴァン、気が付いたか? 気分はどうだ?」


 見覚えのある軍医が、意識を取り戻した俺に呼びかける。

 ここは軍の医療施設か。

 それはつまり、俺は生きているということだ。


 俺はようやくそこで、記憶の最後に残る閃光を思いだし、あの宇宙船シップの爆発の中、よく生き延びたものだと自分で己の運の良さに感心する。


「まったくお前は悪運が強い。あの敵襲での生き残りはお前だけだ」

「そうか、皆、死んだか」


 集中治療室の白いひかりのなか、俺は、戦友たちの顔ひとりひとりを思い出しながら、呟いた。


「ああ、だがお前だって無傷じゃないぞ。今は分からないだろうが、お前の顔の右半分は吹き飛んじまったんだ」

「そうか、じゃあ俺の顔は、もはや機械か。科学技術の発展に感謝だな」


 努めて皮肉っぽく言い放ってやったつもりだが、通じたかどうか。


 ともあれ俺はリハビリに励み、その甲斐あって一ヶ月後には退院となった。ただ、身体は使い物にならないということで、軍は退役、お役御免となったが。


 そして、さて、これから、どうしようかというところで、彼女スノウに出会ったのだ。

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