第3話 エルフがハグする時・・・

 耳が邪魔だよねぇ。


 こう、抱きしめ合ってさあ、頬と頬をくっつけるじゃない?

 そうするとさあ、お互いの耳が目とか鼻にペトッて当たるんだよね。


 それが邪魔くさいの。


 でさ、たまに相手の鼻息が耳に当たってうるさいの。

 まあ、そこまで行くと慣れないでキスする時に歯が当たっちゃって痛い程度の微妙なあるあるネタなんだけどさ。


 耳ってさ、なんかひんやりしてて、柔らかいような固いような、なんか変な感じじゃない?

 相手のそれが頬とかに当たるとさ、なんか気持ち良く感じる事もあるんだけどさ。

 それが自分の耳だったりすると耳くすぐったいわけじゃない?

 それがわかってるからさぁ、なんか笑っちゃうんだけど、相手の耳が当たってると自分の耳が当たってなくてもくすぐったいような気がしてさ、ちょっと離れちゃうよね。

 

 でさ、抱きしめ合ったまま耳だけ離そうとするとさ、自然と相手の頬にキスするみたいになっちゃったりしてさ。

 たまに、エルフがエロいとか言うの聞くとさ、ひょっとしてこれのせいかなとか思っちゃったりしてさ。


 いや、実際別にエロくは無いと思うよ?他と比べて?

 うん、まあ、他も良く知らないんだけどさ?


 でも、この耳も超邪魔だよねぇ。


 別にこの耳のせいで音が良く聞こえるってわけでもないしさ。ホント、何の役に立ってんだろうね?

 ほら、象だったら暑い時はあの耳で放熱して体温さげてるらしいじゃん?

 でも、うちらエルフの耳はさすがにそこまで放熱性良くないだろうしさ。

 いや、ホントにそうだったら笑っちゃうんだけど。


 でも冬はヤバいよね。

 隠しとかないとマジ冷える。痛い時あるもん。

 雪降る地方のエルフとかだとさあ、耳がよく霜焼けになるっていうしさぁ。

 アタシもなったことあるけど、あれマジ痒いじゃん?

 真っ赤に腫れるしさぁ・・・。

 外出て冷えると痛いし、家入ってあったまってきた時とかさ、超痒くなんの!

 何、高い山の上とか北極とか南極とか行くとマジで耳が凍傷になるって聞くしさ。いやそれで耳無くしちゃったエルフもいるって言うしさ。

 やっぱ冬はヤバいよ。

 寒いのヤバい。マジヤバい。


 てことはやっぱ放熱のために大きいのかねぇ?

 だって、ホント何の役にも立ってないじゃない?


 そう言えばさ!村に一人くらいいるよね、耳動かせる人!

 あれ、初めて見る人には超ウケるよね。

 人間でもたまに動かせる人いるけどさ、エルフだと耳が大きいから目立つんだよね。

 何?羽ばたくの?空飛ぶの?って。

 マジ、ウケる。


 でも、あれも一発芸よね。

 何回もはさすがにウケないし、ウチの村の耳動かせるエルフもさ、それでお金稼げるかっていうとそうでもないもんね。

 何か、何年かに一度、宴会の時にたまに披露して笑ってもらえるくらい?


 うん、ホントそれくらいだよね。


 え、ピアス?


 つけるわけ無いじゃん!

 だって痛そうだし・・・だいたいこんだけ大きい耳にピアスたくさんつけたら重くなっちゃうよ。


 むしろ、髪かす時とかさ、イチイチ引っかかってすっごい邪魔だなんだよね。


 うん、ホント邪魔だよ。邪魔なだけ。

 何でアタシらの耳ってこんなんなんだろ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る