二十八、倍音

跳ねる 跳ねる

落ちて 弾む

弾ける 跳ねる

落ちる 落ちる


落ちる 流れる

砕ける 割れる

跳ねる 跳ねる

弾ける 落ちる


線 円

千の線

円 線

延々と円


落ちる 割れる

流れる 響く

奏でる 撫でる

交わる 割れる


点 点

転々と点

連綿と線

滔々と円


音(ね)



私という存在の

内側に鼓動

外側に窓


ぐじゅぐじゅと不明瞭の口真似

鳥籠の声音


止めどなく乞う

休みない降雨

無作為な行為

やむを得ない故意


言の葉に遊ぶ

音のが泳ぐ

子供の歯 揃う

こともなく呪う

折り入って願う

折に触れ狙う


間断ない窓の外側の鼓動


音(おと)



カンカンと音が鳴る


雨の日は嫌だ

あの人が来る


びしゃびしゃと足音が鳴る

跳ね上げられる水溜まり


ボロボロと傘が鳴る


水滴を振り払って

くるくると振りかざして


逆さまの太陽が

雲間から股座またぐらを見てる


カンカンと鳴っている

かねの棒を叩いてる?

階段を上がってる?


ありんこが地べた這う

雨粒に潰される


アメンボがはね震わす

渡る虹を待っている


雨音が呼んでいる

あの人を呼んでいる


白い顔 濡れ窓に

蒼い闇 背負いながら


カンカンと

カンカンと……


音(オン)

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