第9話 世界観測協会3

 瞬間移動さながら一瞬で現れた黒髪のショタ、歳は十代前半だろうか。

 白い布を上手いことアレンジした神っぽい服を着ている。

 眼鏡が無いのでなんとなくではあるが。

 謎のショタの出現と共に顔が青ざめていく職員二名とメイドさん。

 ソファーに立って俺を指差しながらドヤ顔であろうショタ。

 男の娘やショタ属性を持ち合わせていないイマイチなおっさん的にはただイラッとするだけなんだけど。


「いや、君誰?初対面の相手にその態度はどうなのよ」


 初対面の年上に指差しちゃいけませんよ。


「ひっ!?コウ様!いけません!こちらに!」


「えっ?なんで?って、うわっ!」


 メイさんにテーブル脇に引っ張られて強制的に土下座ポーズ。

 気付くと右隣に職員二名も土下座ってる、メイさんは左で土下座りながら俺が頭を上げないように押さえつけていた。


「あははっ!そんなかしこまらなくていいよ!僕そういうのあんまり好きじゃないんだ、皆こっち来て座んなよ!」


 どうやらお偉いさんの御様子。

 というかこの土下座っぷりをみるにもしかしてこれ最上位の神的な感じ?

 神の怒りをかましにきたのか?

 だとしたらさっきの俺の発言ヤバくね?


「わ、私達はこのままで結構ですのでどうぞお、お話しをお続けください!」


 支部長が喋るが声が震えていらっしゃる。

 横目に見ると冷や汗ダラダラで体も若干震えてるんだけど。


「僕そういうのあんまり好きじゃないって言ったじゃーん!いいからこっち来て座んなよ!2度言わせんなよー、3度目は無いからねー!」


『ハイッ!!』


 ショタを怒らせない為か、いい返事をして立ち上がる御三方。

 ぼーっと土下座継続してたらまたメイさんに引っ張られて連行された。

 偉いショタを対面に、ソファーに四人で並んで着席する。

 狭いんですけど。

 だが左側にいるメイさんと密着、柔らかくていい匂い、堪らん!

 しかし右側は支部長に密着、汗臭い。

 だが四人で座らないと密着状態にはならないので気持ち悪いが存在を許す。

 ニアちゃんと支部長の位置を交換するべきじゃないかな。

 そうしたらとっても幸せな気持ちになれると思うんだ。


「お、お待たせ致しました。どっ、どうぞお話しを…」


 密着して隣でバイブってる支部長、気持ち悪い。

 だが隣のメイドさんもバイブっている、凄くイイ。

 遠隔型の震える玩具でメイドさんと遊ぶ妄想をしていたら一部を除いて体の緊張がほぐれてきた。

 だがまだ怪我のせいか興奮すると痛みが増していく。

 くそぅ。


「いやー、それじゃ狭いでしょ!黒石幸君、君はあまり僕にビビってないでしょ?僕の隣においでよ!」


「あっ、はい」


 …行きたくねー、確かにバイブ状態の人達ほどショタにビビってはいないがね。

 もうちょっとだけ、左側の心地イイ振動を味わっていたかった。

 立ち上がり、とぼとぼとショタの隣に向かい着席。


「なんだかすっごく、残念そうだね!あっ!そうか!ごめんね気が利かなくて!ちょっと待って!」


 ハイテンションなショタがそう言うと光に包まれる。


「これでいいかな!こっちの方が男性はいいよね!」


 光が収まり、そこから現れたのはハイテンションな黒髪ロリ巨乳。


「あへっ!?うん、はぁ、はい!凄くイイと思います!」


 その上こちらの腕に抱きついてくるものだからうれしはずかし柔らこい。

 ノーブラ、イエスノーブラ!

 至近距離で顔を完全に把握、超絶美少女。


「良かった良かった!んじゃ、凄くイイみたいだし!話の前に体をバッチリ治すから!動かないでね!」


「ふぐっ!?ンホゥ…!」


 頭を抑えられ唇に柔らかい感触、美少女にキスされてる!?

 ディープな感じのキスではないが凄く熱い何かが口に流れ込んできた。

 瞬間、全身が熱くなり頭の中が真っ白になった、滅茶苦茶気持ちいい。


「ぷはぁっ!!どうかな!?バッチリ治ったと思うけど!」


 ショタあらためロリの唇が離れ、問いかけてくる。

 あまりの気持ち良さに昇天寸前の意識を戻すと体を確認する。


「痛くない…体が軽い。目もちゃんと見える!?」


「よーし!成功成功!キスしなくてもできたんだけどね!口から直接ブチ込んだ方が早いし!見た目も気に入ってもらえたみたいだからね!サービスサービス!あははっ!」


 なにこのとってもラヴいロリ。

 元がショタとか関係ないわ、大事なのは今だよ。

 超絶美少女ロリ巨乳とキスした、その事実だけでいい。

 明らかに自分の顔が緩んでいるのを感じる。

 回復した視力でメイさんとニアちゃんの顔を見る。

 いやー、二人共超絶可愛い!

 メイさんはやっぱりおっとりお姉さんって感じがいいね!

 ニアちゃんは少し目付きが悪いけどやさぐれ可愛い!

 でもその冷たい目は止めて、新しい扉が開いちゃうから。


「よし!治ったとこで説明前に一個だけ質問だ!その答え次第ではちゃんと説明する必要無くなるし!」


「はい!治していただいてありがとうございます!なんでも聞いてください!」


 怪我する前以上の健康体にしてもらえたんだ。

 何でも聞いてつかぁーさい!


「うん!じゃあ質問するよ!…黒石幸、君はこの世界を恨んでるか?理不尽にここに転移させられたせいで君という存在はもう地球には戻れない。この世界の奴等を君と同じように理不尽な目に合わせる権利が君にはある。好きなように復讐してくれて構わない、その為の力も与えよう。ただし、それで終わりだ。死のうが生きようがもう関与しない。まず確実に死ぬと思え。復讐しないのであれば、地球でもこの神界でもない世界に転生する事になる。記憶は多少は残るだろうが、あくまで少し優遇された普通の人間としてだ。知識チートで成り上がる等は不可能な世界だとは言っておこう。どちらを選ぶ?…っていうのが今までの転移者への質問なんだけどね!君の場合は違うんだな!」


「へっ?」


 真面目雰囲気が急に軽い雰囲気に変わってあっけにとられる。

 正直、どっちの選択義も微妙だったけど。

 死ぬほど糞ビッチに復讐したいかと言われたらそうでもないし、あんなんに復讐してほぼ死ぬ運命とか冗談じゃない。

 違う世界に普通の人間として転生とかも興味無い。

 多少記憶残るって言ってるけど曖昧だし、それもう別人じゃね?

 怖いわ。

 別に俺は俺のままでいいわけですよ。

 とりあえず違う質問とやらを聞こうじゃないの。


「いやー、いつもなら下の神がやらかしても自業自得でキツめの罰与えてたんだけどさ!君の場合、大元は上の僕等が原因じゃん!これで復讐するって虐殺されたら困るんだよね!転生させるにしても今までと違うじゃん?上の神として誠意をみせて優遇すると転生先見つけるのが大変なんだよ!あははっ!」


 あははっ!じゃねーよ。

 やっぱりシステムとやらのミスだったのか。


「そこで黒石幸君に質問だ。君、この世界で使徒として生きてみないか?もしここで君が生きるなら、お詫びとして力を与えるよう創造神様から言われている。実は僕、この部屋に君が来た時からずっと話を聞いていたんだよ。幸い、君はそこまで悪感情をこの世界に持っていないようだし。ルミーナに復讐がしたいなら殺さなければある程度は僕が許可する。ここで生きるのが無理なら、なんとか創造神様に転生先を探してもらうよ。かなり時間がかかるかもしれないからその間眠っていてもらう事になると思うけど。どうかな?僕は君にこの世界で生きてもらえたら嬉しいんだけどな♪」


 くっ、上目遣いでノーブラ巨乳パイパイ腕挟みグリグリ(強)の攻撃力!

 イエスロリータノーブラタッチ!


「使徒としてイキます!!」


 女性二名の目が冷たい、というか氷のよう。

 右腕がパイパイしてる現状、さりげなく左手で膨らんだ新生使徒のコアを隠す。

 完全健康体だからね、そりゃオッキする。

 左曲がりで良かった、右曲がりなら完全アウトだろ。

 美少女ロリ巨乳と密着し、美女二人にオッキした姿を蔑んだような目で見られる。

 ヤバい、新たな扉が開く…。


「やった!嬉しいな!それじゃあ神のシステムについて説明するよ!ここで生きていくには大事な事だからね!」


 あっ、パイパイが離れた。

 大事な話をするんだから仕方ないね。

 真面目に聞くとしよう。









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