第6話 サブクエスト ルルクの実採取

「♪いーとーまきまき~いーとーまきまき~♪」

軽快に腕をグルグルする

「♪まーいてまーいて・・・・」

巻いた手を止めて・・・

「そのままドーン!!!!」

大声と共に腕を振り下ろした

・・・・

「・・・うん、疲れてるな。」

冷静を取り戻す。

この非現実を受け入れて今まで我慢したんだ

これぐらいの奇行・・・

人が見てないならいいでしょ!!!

そう思いながら周りを見渡した

・・・

セーフ!!!

危うく異世界での称号に

『クレイジー』

を追加するところだったぜ!!!

あるかは知らんけど・・・

一人の時間が長かったおかげで

さみしさ対策は抜群だった

同時に泣きそうになった

「しょうもない耐性をもってしまったな・・・この人生で・・・」

そんな人生の振り返りをしているうちに目的の森の中へ

「ここがルルクの実がある場所か・・・」

目的地にはついたが

肝心のルルクの実についてはわからない

「くればわかるかな、なんて思っていたけど・・・」

周りを見渡し他の森との変化を探す

「う~ん」

歩き木を観察しているとそこに赤い実が

「あれ?これは・・・?」

とりあえず、枝を探し実に向けて投げつける

すると実が数粒落ちてきた

現実でいうところのナナカマドの実というところか?

日本の寒い地方にあるあの実に似ている

カバンに入れて端末を確認

すると

『ルルクの実』

『熟成させて果実酒の原料に使われる』

ビンゴ!!!どうやら正解だったようだ

村につくまで緑しかなかったからな

赤いと目立つしこの一帯が生息地というところだな

だがここで疑問

(確かに少し遠いが村人がこれないほどでは・・・ないよな・・・)

誰かに頼むほどでもないように感じるこのサブクエスト

ゲームでもよくあるがこういうのは危ないからみたいな

単純な理由だったりする

しかし、村人曰くモンスターは弱いって言ってたしな・・・

そんなことを思っていると

ガサガサ

「ん?ファンシーか?」

すると木の陰からウリウリボーが現れた

「やっぱり!だが今日の俺は一味違う!!」

そう言いながら突進してくるウリウリボーを躱した!

そのままキックの体制をとった

その時

後ろから何者かに吹き飛ばされる

「うわぁぁ!!」

絶叫してしまう

ごろごろと転がったあと飛ばされた方向を見ると

そこには突撃ウサギが・・・

しかもあと1匹いる

(やべぇファンシーが多い・・・)

いままで一匹づつしか現れなかったが多数いる・・・

(なるほど、だから・・・)

簡単なサブクエストのからくり

モンスターは弱くても束になってくる・・・

そういうことか

とりあえず立ち上がる

そして、モンスターに警戒しながら

間合いをとる

(多勢に無勢・・・一回もどるか?)

そんなこと考えているうちにファンシーモンスターは

間合いを詰めてくる

「まいったな・・・」

正直、逃げ足には自信ない

体力が続かない。

マイペースに動くのは問題ないが瞬発力は・・・

(ちくせう!!老化の弊害!!!)

そんなことを思い後ずさりするがそこに木が

背に木を背負い終わりを感じた・・・

その時

(ピカン!!思いついた!!!)

老化の弊害しかし、経験の恩恵!!

チャンスがピンチ!ピンチがチャンス!!!

襲い来るファンシーモンスター!!

それをぎりぎりまで引きつけ

体を木の裏に翻す!!

その瞬間

「「「ドガンっ!!」」」

木に衝突して目を回している

ここだ!!

目を回すモンスター目がけて容赦なき

「キーック!!」

「キューーーー」

「おりゃーーーー!!!」

「ブーーーーー」

「せい!!!」

「キューーーー」

大人げなき追撃・・・

ファンシーなモンスターの絶命の叫び

「・・・ヒーローは背にいろいろなモノを背負って戦ってるのだ・・・」

なんとなくカッコいいこと言って

心の天使さんをごまかした。

にしても

「さすがに数がそろうともうファンシーとか言ってられないな」

見た目はファンシーだがしっかりモンスターと

認識を改めた。

それでも収穫は大きくドロップアイテム3点に

ルルクの実が多数・・・

突撃の勢いで落ちたのだろう

カバンに収納しようとアイテムを拾う

しかし

また多数のファンシーモンスターが寄ってくる

「な!!」

囲まれるまでではなくても

数はそこそこ

「仕方ない・・・まずは片付けるか・・・」

そのあと戦闘を続ける

実はモンスターが食べたり踏んだりで数は拾えなかった

戦闘スタイルは木をバックに正面に敵を見据えるスタイル

初期モンスターのためか知恵はないようで囲まれることはなかった

あらかた片付けてドロップアイテムを拾ったころには

もう夕方だった

「ルルクの実はそこまでだったな」

たぶんルルクの実はモンスターも食料としていて

地面に落ちたことで食べに群がったのだろう

「さすがにHP減ったな」

HP37まで下がった

でもLvは6まで上がった

それになにより生き残れた・・・

死を予感したあの時

ここは生と死がしっかりあるものだと実感した

とりあえず、村に帰り換金して

これからの作戦を練り直さないとな・・・

「これが異世界・・・」

つぶやいて村に戻った

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