創作に役立つ資料? 自然科学(物理編)

 資料シリーズ第四弾。今回は自然科学シリーズの最後、「物理」について書きたいと思います。数学も自然科学に入りますが、個人的にやや概念的な要素(物事の本質を抽象化した感じ)が強いと感じたため、現実の事象により近しい物理を最後としました。物理は現実の物理現象を研究する学問、ある意味でファンタジーを全否定してしまうスーパーシビアな学問です。物理には力学や波動、原子に関する諸々の分類がありますが、これらを本気で学ぼうとすると、かなりの労力が要ります。このエッセイを書いている僕自身も、本当は物理があまり得意ではないのですが、「このラスボスから逃げてはダメだ」と思い、こいつを書き書きしている感じです。いやぁ、本当に難敵ですね。様々な法則が頭の中をぐるんぐるん回っております。が、そんな物理さんも、創作ではかなり役立ちます。特に現実寄りの物語を書きたい場合、ファンタジーの世界に現実的な設定を設けたい場合は、これ以上に使える学問はありません。


 ファンタジーの世界は、色々な意味で自由です。現実の縛りから解きはなたれて、書き手の思うままに描けます。それこそ、一人の人間が巨大な山脈を吹き飛ばしても良いし、広大な海を干上がらせても良い。文字通りの「何でもあり」です。Web小説やライトノベルなどでファンタジーが特に多いのは、その自由度が高いが故に初心者でも書きやすいからでしょう。難しい専門知識を知っていなくても、ファンタジーならその諸々を誤魔化せる、あるいは、誤魔化しやすくなる。本当はファンタジーにも様々な知識が必要なのでしょうが、最近はいわゆるテンプレートが多く使われている感じなので、それらの知識を知ってさえいれば、極端な話、一夜にしてランキング入りも夢ではないのです。僕も非テンプレ的な物、今の主流とは異なる作品をいくつか読んでみましたが、作品の内容が素晴らしいにも関わらず、それがランキングに入ってなかったことを知り、その現実に落ちこんでしまいました。「やっぱり、流行りに乗らなきゃダメなのか?」と、そう思っちゃったんですね。


 だから、流行り物には一種の抵抗感を覚えてしまいます。その内容がどんなに良くても、「流行補正がかかっている」と思ってしまうのです。「これは作品の質で選ばれているのではなく、流行の作品に似ているから受けているんだ」って感じに。どこかこう、寂しい気持ちになってしまうんですね。「何かが流行ること自体は悪いことではないけれど、他にも面白い物があるんだよ?」と、そう教えたくなってしまう。ですが、そこが厳しい現実です。流行には、波がある。その文化にも、浮き沈みがあるように。自分がその波に乗れるまで、水面をずっと漂っていなければならない。それは本当に苦しいですが、その苦しみに負けない対抗手段として、ファンタジーに物理を活かすのも一つの手です。


 物理で扱う主な現象、例えば、落下の法則を活かしてみる。落下現象は力学の一種、人間が普通の日常に生きていれば自然と見られる現象です。物体は手から放せば、落ちる。物体の重心から伸びている力と等しい垂直抗力を失えば、それも同じように落ちてしまう。物体には「力学的エネルギー(法則)」が働いているため、運動エネルギーと位置エネルギーの総和は一定である。ファンタジーにこの法則を活かすだけで、同じファンタジージャンルの作品でありながら、どこか知的なファンタジーに仕上がります。つまりは、周りとの差別化ができるのです。「この作品を読んでいると、頭がなんか良くなった気がするぞ!」ってなるわけですね。これは、かなり使える武器だと思います。


 そんな僕も、素粒子の勉強を頑張ろうと思います(「いま」とは、いってない)。

 

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