キャラクター小説と世界観小説の共存

 最近はインターネット小説だが、インターネット小説らしさのない小説を読むことに嵌っている。インターネット小説たるものが何かというのは個人の価値観で大きく変わってくるので、一概にこうだと定義することはできないが、私にとってドラゴンチェイサーズはインターネット小説っぽくない小説だった。
 恐らく反射では書いていない丁寧な地の文に、下手に改行されていない詰まった文章。そしてよく考えられているであろうSF的世界観は非常に読み応えがある。しかしだらだらと堅い文章が続くのではなく、クズと評価された個性豊かなでキャッチ―なキャラクター達の楽し気な会話によって、テンポよく読むことが出来る。
 また序盤では小さな事件を交えながら、特異的な世界観の説明を丁寧にしてくれるため、SF初心者にも優しい構成になっている。
 少し丁寧すぎるかという印象を受けるかもしれないが、後半になるにつれ、愛着の湧いたキャラクターたちが大きな事件に巻き込まれていく様子は非常に読書欲を掻き立てられる。
 もし読み応えのあるキャラクター小説が読みたいと思っている人にはぜひこのドラゴンチェイサーズをお勧めしたい。

その他のおすすめレビュー

九詰文登さんの他のおすすめレビュー12