第39話 願い

2才の石田華は、お正月が大好きだ。


お母さんのお友達のトモコおばちゃんの家にいって、いっぱい美味しいご飯を食べて、遊んでもらい、お母さんもよく笑うから。


「ブルックコーヒー、おいしかったよ、華ちゃん」

ヒカルおじちゃんは、華が入れてあげるコーヒーを楽しみにしてくれる。


トモコおばちゃんと仲良しのお姉さんは、いつも甘いよいにおいがして、華をはさんで川の字で夜、一緒に眠ってくれて、華が怖い夢をみて起きると、すぐに手をつないで、お母さんとお父さんの部屋に連れていってくれた。


トモコおばちゃんのお母さんのご飯は、お母さんと味は違うけれど、華が好きな甘い味にしてくれる。


おいしくて、華が全部食べると、お母さんが少しむっとした顔をした後、お母さんももっと華にご飯を食べてもらうために、頑張るねと笑う。



近所の公園で、いつも遊ぶカナちゃんと会えないのはさみしいけれど、お正月にもらったおもちゃをお互いに見せあいっこして、こうかんしながら遊ぶのが、華とカナちゃんの楽しみだ。


お父さんは、いつもお仕事でお家にいないけれど、お正月はずっとお家にいるから楽しくて安心する。



華が、笑うとみんな笑う。ふしぎだけどう、華はしあわせな気持ちになる。



ずっと、ずっと、みんなが笑っていたらいいのに。



小さな華の小さな願い事だ。





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