心の傷は、あなたが思うよりずっと根深い。

ブリーゲル家の長女として誕生したアイリーン。貴族の娘として大事に育てられるはずが、実際には高圧的な両親、さらに弟にまで侮辱される日々を送ることになる。

その後、政略結婚としてシュトラウス家の当主・マインラートと結ばれるが、どんな時もアイリーンの頭をよぎるのは原家族から浴びせられてきた、心無い言葉の数々。その言葉はいつの間にか、アイリーンの価値観そのものとなり、彼女を幾年にもわたって苦しめていく。

愛情の原点を学ぶべき家庭で負った傷を癒すには、これほどの膨大な時間が必要なのかと絶句しました。アイリーンが本当の自分自身と向き合っていくのを、心から応援して拝読していました。

一般庶民の私達にも深く通ずる、大事なテーマだと思います。ぜひ、ご一読をお勧めしたいです。